響の口の中に入りたがるピーちゃん
休日の朝、沢山寝るぞー!と朝食を食べた後すぐにベットで寝息を立て休む響
いびきをかきながら開閉する大きな口、いい夢を見てそうな顔
その様子を隣で眺める小鳥
生きとし生けるものに悲しみがある限り消滅することさえ叶わず永遠の時の流れを生きる生き物
「お前の寝顔はいつも飽きないな」
ピーちゃんの日課は響たちの生活を通してたくさんの喜びと悲しみを分かち合い、観察すること
寝ることも忘れずっと彼女のピアノの音や心臓の音を聴いていたり、寝相の悪い彼女が風邪をひかぬように自らの羽毛で温めたり…そして
「もっと大きな口を開けてはくれないか…」
ずっとその時が来る機会を伺っていた
それはこの身なればできること
響の体の一部になりたい
死んでも人々が悲しみの涙が流れればすぐに復活する、それをこれまでも何度も何度も体験してきた
あらゆる死に方をしてきた
炎に焼かれる痛みも人混みに踏み潰される苦しみも体験した
しかしそれ以上に多くの者に迫害され続けられる方が精神的にもっとも辛く、遂には己自身の生を捨て去るために多くの人々を、響たちを不幸に陥れようともした
こうしていられるのも響たちプリキュアのおかげ
彼女のたちの為なら何でもしたい…そう思っていたのだが…
「お前と永遠にいられる方法が、お前に食われることしかない」
だがしかし叶わない、彼女はそれを望まないであろう
大型の生き物に捕食された時のことを思い出す
羽を折られ、次に牙で息の根を止められ、ゆっくり全身を飲み込みやすいサイズになるまで噛み砕かれる、そしてそのまま嚥下し胃袋の中でじわじわと消化され死んだ時のことを
私ならばこんな事をせずとも直に吸収できるというのに…私なら!!
愛すらモノにできる
ところが現在、彼女が愛しいが故に捕食してほしいと願うようになったのだった
「お前が鶏肉料理を食べる度に私が横で嫉妬していることを知らんようだがな」
もっと太れば響は私を食べてくれるのだろうか
響の口に身を委ねる
あまりの息苦しさに彼女を起こさぬよう慎重に、慎重に
頭部に舌が触れ、食べ物と勘違いしたのか執拗に舐められる
唾液の温かさ、歯が当たる体が興奮する
彼女の口内にいるのだと思うだけで幸せになれる
もしかすると私もうおかしいのかもしれない
いや、おかしくならなければ永久の時を生きられるはずがない
響の口から離れ、唇にキスを落とす
「お前の全てを体に刻み付けたいんだ」
いつの日か私以外誰もいなくなっても忘れぬよう…