その9 【一方その頃のコルベ】※時系列的に、ヨレンタが異端審問所から脱走した翌日の話です。※
コルベはいつも通り、ピャスト伯の天文研究所に出勤した。
割り当てられた研究室の扉を開ける。
『”おはようございます!コルベさん。”』
と真っ先に挨拶してくれるヨレンタさんが今日はいなかった。
「? ヨレンタさんは今日は休み?珍しいな……。
休みの連絡は貰っていないのだけれど。」
『あぁ!そう言えば今日は来ていないですね!』と、一緒にいた研究員が大げさに首を傾げた。
『まぁ、そういう日もあるんじゃないですか?』と続けて誤魔化した。
何だか、ソワソワしている。彼は何かを隠しているみたいだ。
「言いたい事があるなら、私に言いなよ。」
コルベは、研究員に声をかけた。
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