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    matubahuki_2go

    @matubahuki_2go

    松葉蕗の🌏垢

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    matubahuki_2go

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    バ「彼とは仲良かったですから…」<<教えてくれ~~!!!

    #チ。
    #友バデ
    #友バ
    #バデーニ

    友バの出会い 捏造SS友バの出会い 捏造SS

    まだ少年のバデーニはワクワクしていた。
    背丈は、まだ大人の半分くらい。
    10才にも満たない年齢であった。
    しかし、好奇心は誰にも負けなかった。
    太陽と月が重なり始め、昼間でも薄暗かった。

    当時の天文学は、プトレマイオスの理論は完璧であり
    太陽と天とは必然的に完全であり、
    天空の決められた航路を巡っているハズだった。
    それ以外の”異常な現象”は起こり得ないハズだった。

    それが、今、バデーニの目の前で起こっている。
    バデーニは興奮して、観測手帳を持ち、部屋を飛び出した。
    家庭教師は呆れ顔で見送った。
    何かに夢中になったバデーニを止める事は出来なかった。

    バデーニは良い観測場所を探して、走り回った。
    同じく、手帳を持って走ってくる同じ年頃の少年と出会った。
    その少年はヤンと名乗った。



    *
    「はぁ…はぁ…」
    全速力で走ったので、子どものバデーニは息が切れた。
    町の中では、建物の屋根が邪魔して、太陽がよく見えない。
    辛うじて太陽が見える、広場に座りこんで、太陽が欠けいく様子を
    スケッチしようとした。

    手をかざして、目を細めて太陽を眺める。
    「い……ッ!」
    薄暗くなっているから大丈夫だと思ったが、肉眼で太陽を見続けると
    目に痛みが走った。

    目を手で抑え、しばらく経って痛みが治まった。
    目を開けると、視界がぼやけた。
    これでは、スケッチが出来そうにない。
    「くそッ……!」
    バデーニは天を仰いで悪態を吐いた。

    日食が終わる前に、太陽を直接見ないで観測する方法を探さなければ……!
    バデーニは立ち上がった。

    そこへ、息を切らして走ってくる同じ年ごろの少年が現れた。
    茶色い短い髪の少年は、手帳を持ち、もう片方の手には麦わら帽子を持っていた。
    バデーニは閃いた。



    *
    茶髪の少年は、バデーニと目が合うと走り寄って話しかけて来た。
    「ねぇ、君も太陽を観察しているの?」
    「そうさ! その麦わら帽子、貸して。」
    「あっ!」
    バデーニは少年の返事を待たずに、麦わら帽子を奪った。
    そして、麦わら帽子を地面にかざし影を作った。

    「やっぱり! これなら太陽を観察できるぞ!」
    バデーニは叫んだ。
    嬉しさで、地面をピョンピョン飛び跳ねた。

    「ええっ!?」
    少年はビックリして、地面の麦わら帽子の影を見た。
    麦わら帽子の影の中を、大量の三日月がぎゅうぎゅうに詰まっていた。

    「すごい!」
    驚きのあまり、少年から声が漏れ出た。
    帽子の網目から漏れ出た光が、全部、三日月型に欠けていたのだ。
    「やっぱり、私の予想通りだ!」

    バデーニは少年に
    「これ、持ってて動かさないで!」と麦わら帽子を押し付けた。
    少年はビックリした。
    「えぇ!? 待って! 僕も観測したいんだけど!」
    「は?君は誰?」
    「僕の名前はヤン! 君の名前は?」
    「私はバデーニ。 ヤンくん、私と一緒に観測しよう。」


    *
    ヤンとバデーニは、一緒に日食を観測し始めた。

    ヤンが麦わら帽子を持ち、地面に影を作った。
    バデーニが影の中の太陽の形の変化を、観測手帳に書きこんだ。

     ヤンはバデーニの手帳を覗き込んだ。
    バデーニの観測手帳には、丸(〇)がたくさん書きこんであった。
    左から右へ、丸が一列に並び、欠けた部分だけ後から書きこむようにしてあった。
    ヤンは感心した。
    「すごいや、バデーニくん! 僕も真似しようっと。」
    「は? ヤンくんは、あとで私のを見て写せばいいだろ?」
    バデーニの発言に、ヤンは腹を立てた。

    「じゃあ、バデーニくんには帽子を貸さない。」
    「はっ!?」
    ヤンは帽子を被った。
    バデーニは抗議した。
    「なんで? 私も、君も、書くのは同じ太陽じゃないか!
    ヤンくんが帽子を持って、私が記録を書く。
    その方が早いし、別々に書くのは時間の無駄だ。」

    「僕だって、バデーニくんみたいに、自分で観測記録をつけたいんだよ!!!」
    ヤンは大声を出した。

    バデーニは呆れた。
    「はぁ?このやり方を考えたのは私だが?
    早くしないと太陽の形が変わる!
    私の言う通りにしろよ。」

    ヤンはムカついて、地団駄を踏んだ。
    しかし、言い返す言葉が見つからなかったので、バデーニの言う通りにした。

    二人は、しばらく無言で観察を続けた。
     日食のせいで薄暗いとはいえ、昼間の照りつける石畳の上での観測は、
    少年たちの体力を奪って行った。

    バデーニは身体がふら付き、観測手帳を落としてしまった。
    「大丈夫?」
    ヤンが心配そうに聞いた。
    「だ……大丈夫。」
    そう答えたバデーニは、石畳に膝をついた。

    「ちょっと、休憩しよう。」
    ヤンはバデーニに手を差し伸べた。
    「うん……。」
    バデーニは素直にヤンの手を取った。

    *
    「ふぅ……。涼しい。」
    木陰に移動したヤンとバデーニは、深呼吸した。
    「ああ!!」
    バデーニは、突然大声を出した。
    「木漏れ日が、三日月の形をしてるじゃないか!!」
    「え!?」
    ヤンもビックリして木漏れ日を見た。
     木陰の明るい部分が、――普段は丸い形をしているところが、
    ……日食の、三日月の形に欠けていた。

    「ヤン君! これなら、二人で一緒に観測記録を付けられるぞ!!」
    「え?、やったぁ! バデーニ君の記録みせて!」
    「いいとも!」

     二人は仲良く並んで、日食の観測記録を付けた。
    日食が進み、ほぼ終了するまで、二人は夢中で記録を付け続けた。

    午前中に始まった日食は、正午の教会の鐘の音を挟み、二時間ほどで終わった。
    「ふぅー、疲れた……。」
    バデーニは、足を投げ出して大きく伸びをした。

    「ねぇ、”アレ”って何だったのかな?」
    ヤンはバデーニに聞いた。
     バデーニは、身を乗り出した。
    ヤンの顔に自分の顔を近づけて、小声で囁いた。
    「”アレ”って、日食(eclipse)のことか?」
    「日食(eclipse)っていうんだね!」
     ヤンはビックリして大声を出した。
    「静かに!」
    バデーニはヤンの口を塞いだ。
    (誰かに密告されるかもしれない。)
    (何でさ! 日食はみんなが見ているのに!)
     バデーニは腕を組んで、考え込んだ。
    「聖書には、『キリストが処刑される時、昼間でも暗くなった』と書いてある。
    日食を見て観測するのは、たぶん大丈夫だろう。
    しかし、『何故、日食が起こるのか?』を研究すると、
    ”悪魔と通じて未来を占い人を破滅に導く者”として異端審問官に捕まるかもしれない。」

     バデーニの説明を聞いて、ヤンは、ゴクリ…と生唾を飲み込んだ。
    バデーニは溜め息を吐いた。
    「プトレマイオスの宇宙は、C教では絶対の真理だから……。」
    ヤンは無邪気に聞いた。
    「プトレマイオスって何?」
    バデーニは、ビックリした。
    「君はプトレマイオスを知らないのか?!」
    「うん……。」
    「私は家庭教師に、こう教えてもらった。
    プトレマイオスは、”アリストテレスの「地球を中心にして太陽がその周りを回っている」という天動説”の……。」

     その時、ぐぅぅ、と二人のお腹が鳴る音がした。
    バデーニは恥ずかしそうに頬を染め、身体を小さく丸め、膝を抱えた。
    「えへへ……。バデーニくん、一緒にパンを食べる?」
    ヤンは、カバンを探り、黒いパンとリンゴを取り出した。

    「私、黒いパンを食べたことない。」
    「え……。」
    ヤンは絶句した。
    「バデーニくんの口に合うか分からないけれど、食べてみるかい?」
    「うん。」
    バデーニは黒いパンを、一欠けら口に含んだ。
    「うえぇ……。」
    バデーニは、口からパンを吐き出した。
    「不味いし、固い……。」
    ヤンは怒った。
    「吐き出さなくてもいいだろう?! 一週間前に焼いたパンだから、食べられるさ!!」
    バデーニは驚愕した。
    「一週間前!? 毎日、パンを焼かないのか!?」
    ヤンは呆れた。
    「……バデーニくんは、お坊ちゃまなんだね。」
    「そうだけど、それが何か?」
    「僕とは全然、違うんだなって。リンゴ食べる?」
    「うん。リンゴなら、私でも食べられそうだ。」
    バデーニは、ヤンから受け取ったリンゴを齧った。
    「……。」
    バデーニは、無言でリンゴをもぐもぐと噛んだ。
    そして、目をつぶってゴクンと飲み込んだ。
    「ど、どう?」
    ドキドキしながら、ヤンはバデーニに感想を聞いた。
    「焼かないリンゴは、酸っぱいな。」
    「……。そうだね。」
    (聞いた僕が馬鹿だった。)

    「ヤンくん。これから、私の家に遊びに来ないか? ご馳走する。」
    ヤンはビックリした。
    「僕なんかが? 本当にいいの!?」
     バデーニは頷いた。
    「それに、君ともっと話がしたい。プトレマイオスの宇宙について、私が教えてあげよう。」
    ヤンは目を輝かせた。
    「ありがとう! 一緒に、月や太陽の不思議について話せる友達が欲しかったんだ!」
    バデーニは頬を染めた。
    「私も……、友達がずっと欲しかったんだ……。」

    バデーニはそう言って、立ち上がろうとしてふら付いた。
    「大丈夫?」
    そう言って、ヤンはバデーニの身体を引き起こした。
    繋いだ手の力の強さに、バデーニはびっくりした。
    「君は、力持ちなんだな。」
    「そうさ!毎日、剣術の稽古で鍛えているんだ。」
    「ふふっ、じゃあ異端審問官に捕まりそうになったら、ヤン君に追い払ってもらおう。」
    二人は笑いながら、並んで歩いて行った。

    END




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