ベルフェゴールのガワの話ウリエルの口調捏造俺の妄想落書きだと思え
天使…それはこの世の秩序を保つため大天使様に仕える存在。僕はその中でも勤勉の象徴(シンボル)である大天使聖ウリエル様に仕えている。
ウリエル様は下界(人間界)の天候を司っていて地上の天候はウリエル様の下した判断が絶対とされている。
また、異教徒や罪人の審判もされて、ウリエル様が悪だと見做せばその村は跡形もなく焼かれるまたは飢饉に見舞われ綺麗さっぱり無くなってしまうと言われている。
「この極東の村は今日はくもり!行ってきて!」
「かしこまりました。」
「あーここはね、この前他の村への宗教戦争企てたから洪水起こしちゃってお灸添えといて」
「かしこまりました。」
あと…ーーここはーーーこう…しといて。
ウリエル様は地上の地図を見ながら前に並ぶ天使たちに指示を出していく。次は僕の番だ。
「えっとね、君は偵察に行ってきて、異教徒とかいたら報告ねよろしく」
かしこまりました。そう言って地上へと降りていった。この後起こる惨劇を知らずに。
「…ここは……焼いちゃおっか……」
「えっと…この村はちゃんとお祈りしてるね。えらいえらい。ここは…うん大丈夫。」
しかしながらよくまぁここまで信仰されてるとは我ながら感心していた。そんなことを考えながら次の村へと飛んでいると焦げた匂いと共に男女の叫び声が聞こえてくる。
「か、火事だ!誰か水を持って来い!早く」
「離してっ!まだ家に息子が!」
僕の眼前は真っ赤に染まった小さな村があった。
「た、大変だ!ウリエル様に報告して雨を……いや、ここからだと間に合わない!…っ!」
僕は咄嗟の行動をとった。自分の魔力の全てを使い村を覆う雨雲を作り雨を降らした。
「はぁ…はぁ…よかった…」
疲れ果て木の上で項垂れていると人々の歓喜の声が聞こえていいことした気分に心地よさを覚えた。
「とりあえず、帰ろう。」
そのまま天界へ帰りウリエル様の部屋の前まで来るとすぐに変化に気づいた。
「ーーれがーをーーっ!」
ウリエル様が怒鳴っていた、何事かと思い急いで部屋に入るとデスクは倒され花瓶や窓は割れ所々に焼けこげた跡あった。そしてウリエル様は僕の目の前まできて凄みながら話す。
「お前が私が下したは禊を邪魔したのか!!!!」
え、なんのこと……僕は理解しきれなかった。何か悪いことをしたのか自分の頭の中をぐるぐると回転させても心当たりがなかったのだ。
「な、なんのことですかウリエル様…禊って…」
困惑しながら僕が聞き返すとウリエル様の隣に浮いていた太陽が口を開く
「だーかーらぁお前がウリエルが焼いた村鎮火させたんだろ?余計なことすんなよなぁ?」
「…っ!あれは村人が起こしたボヤ騒ぎが原因だと思って!報告するつもりだったんです!」
「嘘つくなよな?下っ端如きが勝手にしゃしゃり出て阿保善人ヅラもいいとこだろ」
太陽は僕を見下しながらゲラゲラと下品に笑う。その横でウリエル様は沈黙したまま僕を見下ろしていた。
「ウリエル様っ!どうかお許しを…どう…」
「…らない。」
僕の謝罪に食い気味にウリエル様が呟く。
「いらない。こんな使えない奴…」
ウリエル様はそういうと僕の翼を掴み乱暴に羽根を毟っていく。
「…痛い…っ!どうかお許しくだざウリル様!」
「いらないいらないいらないいらない!!!」
羽根を毟っているウリエル様は僕の言葉なんか耳に入っていなかった。
誰か助けて…懇願するように周りを見るとこの光景が見るに堪えないのか周りの天使たちは目を背けていた。やがて羽根はなくなり翼から肌の色が見えた頃一際強く握りウリエル様は翼を僕の背中から引きちぎったのだ。
「いたぁぁ…ぁ」
皮膚の千切れる音と悲痛の叫びだけが空間に響く。そしてやがれ止む。僕はその場に倒れ込みヒューヒューと呼吸することに必死だった。ウリエル様は引きちぎった翼を太陽の口に放り込み天使たちに後片付けを命じその場を去っていく。だれかが僕のことを持ち上げている感覚がする。視界がぼやける。耳も遠くなっていく…そして落ちる感覚がする。しばらくその感覚が続いていたがその途中でもう僕の視界は真っ暗だった。あぁ…なんか本で読んだことあるな…死ぬ時って最後になくなるのは五感のうち聴覚なんだっけ……
パリーン…
何かが割れる音を最後に僕は意識を手放した。
「…ーーーェゴール…起きろ」
「んあ、せっかく人がベストポジションで寝てたのに邪魔すんなよお前」
「お前に頼みたい仕事があるんだ。早くきてくれ」
「それやだって言ったら?」
「それでも連れていく。」
「ちぇっ、やってらんねー」
「早く来い。ベルフェゴール」
「この前作った野菜、マモンにあげたらとても喜んでな…今度またお前の作ったカレーを食いたいらしい。」