タイトル未定 ばたばたと騒がしい足音。壇くんだな。修道士たるもの、もう少し落ち着きを覚えて欲しいものだ。
ふぅ、と息を吐き、飲みかけのダージリンティーをソーサーに置く。カチャリと陶器のぶつかる音が聞こえたと同時、部屋の扉が開いた。
「たっ、大変です! 西の街で中級悪魔が暴れているです!」
「テメェも赤く染めてやろうかァ!」
「あれか…」
街から200メートルほど離れた森の大きな木に腰掛け、単眼鏡で標的を捕捉した。
身体中が充血したように赤く染まった人型の悪魔。外見は色味以外、普通の人間となんら変わらない。なるほど、白石が手をこまねく訳だ。
街の入口付近で乱暴に背負っていたガンケースを下ろす。奴との距離は50メートル。十分だろう。
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