学パロネファ「ね、せんせ。キスしたい」
付き合って2週間くらい経った。もういい加減キスくらいしてもいいだろう。
触れていいかな、急にキスしたら怒られるかな。そんな馬鹿なことを考えながら毎日を過ごしてしまった。
1週間かけてなんとか家に呼ぶことに成功した。手土産は持ってこなくていいからとか、気軽にあそびにきてほしいと何度も伝えて今に至る。
「は!?」
明らかに動揺した表情でファウストがこちらを見る。
急にキスしなくて良かった。確実にしばらく口をきいてもらえなかっただろう。まだ喧嘩したくないし。
「だめ?」
「だめ、じゃない、けど」
「けど?」
「うるさい!僕は……は、はじめてなんだ!悪かったな!」
「先生ちょ、待って!ストップ!」
ファウストはたまに卑屈になるところがあるみたいだ。猫が威嚇してるみたいで、それもまたかわいい。
「めんどくさくなんてないから」
長くてふわふわした髪にそっと触れると少しだけ肩がはねる。こわがらせたかな。でも、嫌がられている感じはしなかった。
「先生は……やめて。名前、呼んで」
勉強を教えてくれるから先生、なんてふざけて呼び始めてそれが癖になってしまっていた。確かに、恋人なら名前で呼ぶのが自然だ。
「ごめん、ファウスト」
「いいから。キス、して、いい。早くして」
緊張してるみたいで表情をこわばらせながら、目をぎゅっとつぶる。かわいくてどうにかなってしまいそう。
雪が積もるまっさらな地面にはじめて足をおろす時みたいに気分がいい。あたしが全部はじめてなんだ。この人は。
はじめから舌を入れたりしたらびっくりさせてしまうだろうから。軽く唇をあわせてすぐ離した。
早くファウストを味わいつくしたい。でも、こわがられたくはない。焦るな、あたし。焦るな。
「恋人同士はもっと、その、濃厚な口づけをすると聞いたことがある。もしかして、私が慣れてないからって我慢させてる?」
今度はこちらが驚く番だった。誰だ、ファウストにそんなこと教えたのは……。
耳まで真っ赤にして瞳を潤ませて、一生懸命伝えてくれるファウストは本当に魅力的に見えた。今すぐにでも押し倒して唇を奪ってしまいたい衝動に駆られる。
「今日は難しいけど、来週泊まりに来てもいいって言ってくれたでしょう?その時なら、いいよ」
心の準備をしてきてくれるらしい。衝撃で頭が真っ白になった。
それからのことはあまり覚えていない。うわのそらになってしまっていたかもしれない。
ファウストを駅まで送ってまた学校で、と見送ったことだけは確かだ。
(続く)
後半は🔞です!
後日upします🥲間に合わずすみません🥲