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    庭師🍃

    @gardenof1129

    右実。大体R-18のひめさね、うずさねを書いています。
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    庭師🍃

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    かわいそうじゃなくなった


    https://odaibako.net/gacha/6117?id=91d5f339efad4638ab1bbb83007871c3

    外食中、隣の座席のカップルが結構激しめの喧嘩を初めてご飯どころではなくなってきた悲鳴嶼

    #ひめさね
    #モブ
    Mob

    お題ガチャ 3ミリくらいかわいそう よりうるさい。

    さっさと食べて店を出ようかと思うが、口に運んだものが、もう食べ物の味がしないような気がする。
    もう諦めて、後はコンビニで何か買って家で食べようか、と箸を置きかけた。
    「……あ。行……悲鳴嶼さん!」
    今日は残業していくということで約束はしていなかった。
    先に帰り、たまたま書店に長居してしまい、遅くなった夕食をとっている。
    店に入ってきて顔の横で手を振る実弥に、私は騒音を忘れ、視界が明るくなった。
    実弥。
    あそこで相席で、と店員に伝えた実弥がつかつかと歩いてきて、向かいの席に座る。
    「こんな時間だけど、もしかしたらいるんじゃねぇか、と思ったらほんとにいたァ」
    嬉しそうな顔で話す実弥の声しかもう聞こえない。
    店員が水とおしぼりを置いていく中、「あ、おかめうどんと抹茶パフェお願いします」と実弥が言う。
    かわいい救世主だ。
    両肘を立てて指を組み、そこに顎を乗せて傾げた顔でにこにこと私の顔を見上げている。
    実弥がこんな表情や仕草をすると知っている者は少ない。
    ことに、瞳にピンク色の♡が見えるような、こんな顔は私しか知らないだろう。
    思わず見つめあってしまう。
    「なァ……この後行……悲鳴嶼さんの部屋に行ってもいいか?」
    「散らかっていても良ければ。今朝少し寝過ごしてな」
    「そんなの俺が片付けてやるしィ。そうだ、スーパー寄ってかねぇ? まだ週半ばだし、アンタの好物炊いてくわ。あと副菜とか、なんか作り置きしてくか」
    「それは嬉しい」
    先程まで強ばっていた筈の表情が解けて緩む。気づくとあのうるさかった声がしない。もはやどうでもいいが。
    居る気配はするから帰ったりはしていなかったようだ。というか実弥が席に着いてからずっと視線を感じる。
    視界の外側で様子を伺うと、こちらの様子をまじまじと見ていた。
    実弥が私を見上げながら首を反対側に傾げる。
    「……洗濯物溜めてね?」
    「月曜から溜めている」
    「今週はなんか帰り際に相談とか受けてたみてぇだし、そんな気してたァ」
    「失礼します、こちらおかめうどんになります」
    「おォ、ありがとなァ」
    無邪気な笑顔をそのまま向けて、店員の頬を赤らめさせるな、実弥。
    「頂きます」
    綺麗な手が綺麗に箸を持ち、フーフーと冷ましながら、かわいい唇にうどんが吸い込まれていく。
    「アッチ、あー、腹に染みるゥ〜」
    「間食をとらなかったのか」
    「急いで仕上げてきたからさァ」
    うどんを箸で持ち上げ、笑顔で私を見上げてからすする。その一瞬の顔が可愛くて仕方ない。
    自分も目を細めて実弥を見つめていることに気づいた。そういえばと、まだ食べきっていなかった定食に手をつける。
    冷めているがそんなことはどうだっていい。実弥と一緒に食事をとれれば、何でも美味い。
    「……あのさぁ……ごめん……」
    「……俺も言いすぎたし……悪かった。……あ、スーパー寄ってかね?」
    「行く。後で夜食になんか作ろっか。何食べたい?」
    「うどん……えっと……天ぷらうどんがいいかな……」
    「……抹茶アイスも買ってこ……あと白玉粉とか、クリームとか……」
    隣のテーブルから小さな声の会話が聞こえてくる。あの勢いから仲直りしたのか。急展開だな。まあ仲良きことは美しい。
    そそくさと去っていくカップルが視界の隅に入るが、私は実弥しか見ていない。
    抹茶パフェに手をつけた実弥が目をきらきらさせている。
    白玉と小豆をアイスに絡めて掬い、ふと周囲にひと気がなくなったのを見て、私の口元にスプーンを差し出してきた。
    「行冥さん、あーん」
    ぱく、と咥えてお裾分けを頂く。
    「……思ったより抹茶が濃くていい味だ」
    視界の隅で、ガラスの向こうの通路で店外にいる先程の男女がまだこちらを見ている。何か珍しいのか。まあどうでも良い。
    「だろ、ここの結構当たりなんだよなァ」
    私の口から引き抜いたスプーンで当たり前にパフェの続きを食べ、時折お裾分けを貰い、私たちは二人の世界に入った。

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