おだいじに鷲上源一郎×朝日奈唯
それは梅雨明け間近の横浜が、今年の最高気温を更新した週末の出来事だった。
「源一郎君、大丈夫?!」
外れかかった木蓮館の二階の窓枠を修繕した源一郎が脚立を片付けて談話室に戻って来ると、
タオルを持って待っていた唯は半ば悲鳴のような声を上げた。
強い日差しの中で作業をしていた源一郎の白かった襟首は、痛々しく真っ赤に日焼けをしている。
「毎年の事だ、大した事はない」
「いやいや、大した事あるって!ちょっと待ってて!!」
パタパタとスリッパを鳴らして唯は談話室を飛び出した。
東北生まれの源一郎は子供の頃から、日に焼けても黒くならず、いつも赤く炎症を起こしてしまう体質だ。
これまではさほど気にした事もなかったが、唯がまるで我が身の様に心配するのは存外悪い気はしなかった。
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