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    Nidone

    スケベリンゼル置き場。
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    Nidone

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    書けないやつ。

    熟れる、赤。 私が帰ってきた後、なんだかリンクの様子がおかしいのです。私の事を呼び捨てで呼んだり、私を抱きしめたり、手を握ってくるようになりました。それが嫌という訳ではないですし、その…嬉しいのですが、とても距離が近くて私がもちません。
     だってリンクと私はそういった関係ではないのです。確かに彼とは殆ど一緒に行動していますし、ご飯だって毎日一緒に食べます。あと、毎日ではないですがよく一緒のベッドで寝ていますし。
     ここまで考えてあれ?と思った。彼と一緒に過ごしているうちにこれらの全てが当たり前になっていて違和感すら持たなかった。食事までは良いとして、そういった関係ではない男女が一緒のベッドで寝るのは最早主従や友人ではないのでは?そもそも私とリンクの関係って…?もう何が何だかわからなくなってきた。段々と自分の頬が熱くなっていくのを感じる。今日、リンクが帰ってきたら彼の前でどう過ごせばいいのだろう。
     そのままベッドの上に転がって天井をぼんやりと見つめているとドアが開く音が聞こえた。彼が帰ってきたのだ。優しい声の「ただいま」と共に。彼におかえりなさいと言いたいのに言えない。ごめんなさいと思いつつ寝たふりをする。こちらに近づいてくる足音が聞こえるたびに私の心臓の音も大きくなっていった。

    「…ゼルダ」

     ああ、もう駄目だ。このまま寝ているふりをしていてもきっと彼には分かってしまう。大人しく目を開けてしまおう。まるで収穫どきのハイラルトマトの様に真っ赤に熟れてしまったこの顔では彼と目なんて合わせられないのだけど。取り敢えずゆっくり体を起こす。

    「ごめん、起こしちゃった?」
    「いえ、大丈夫です。おかえりなさい。」

     真っ直ぐと視線を向けてくるリンクからやっぱり目を逸らしてしまう。変に意識してしまって恥ずかしい。その様子を見るなり彼は口を開いた。

    「どこか、具合でも悪いの?」
    「いっいえ…そういう訳では無いのですが…」
    「嘘はよくないよ。顔赤いし。」

     リンクはそう言うとベッドによじ登ってきて私をそのまま押し倒してきた。思わず驚いて大きな声が出てしまった。

    「リンク!?」
    「いいからそのまま寝てて。」
    「でもっ…!」
    「ゼルダに何かあったら俺が嫌なの。分かって。」
     
     はっきりと言われてしまった。そしていつの間にか体調を崩した事になっていてもっと気まずいというか、申し訳ないというか…。でも本当に今日は彼と顔を合わせられる自信がないのでそのまま目を閉じた。

    ◆◆◆

     目が覚めたのは早朝だった。ふと温もりを感じたのでよく目を凝らすとリンクの腕の中に居た。何で?どうしてこんな状況に?そっと抜け出そうとするが彼の力は結構強くて抜け出せなかったので泣く泣く諦めた。
    本当にこんな事は良くないのに…。リンクは私の事をどう思っているのだろう。駄目、考えないようにしなくては。また熟れ始めた頬を抑える。明日は監視砦でプルアに会う予定なのでプルアにも相談してみよう。それからリンクとしっかり話そう。このままじゃ私は彼に駄目にされてしまう。そう考えた後にふと彼の方に目を向けると青空のような瞳がこちらを見つめていた。

    「ひゃ!?リンク!?起きていたのなら言ってください!」
    「…ごめん。今何か考えてたみたいだったから話しかけちゃダメかな、と思って…」
    「駄目じゃないです。」
    「体調は大丈夫?」
    「平気です。」

     嘘。全然平気ではない。この状況で平気でいられる人なんているわけがない。何とか誤魔化さなければ。一旦冷静になって取り敢えず離してもらおう。

    「あの。リンク…そろそろ離してもらっていいですか?そろそろ準備をしないと…」
    「あっ…今日プルアのところに行くんだっけ?」
    「はい。早くしないと日が暮れてしまいます。」
    「そっか、じゃあ起きないとね。」
     
     そう言うと彼は名残惜しそうに私を解放してくれた。そしてベッドから抜け出して畳んで置いてあった服に着替え始めた。
     最近彼は髪をあまり結わない。私が髪を切る前、色々な作業をしていた時に髪を邪魔そうにしている私を見て髪留めを一つくれた時も「同じものをいくつか持っていますので。」と言っていた気がする。もしかして全て無くしてしまったのか。でもリンクに限ってそのような事があるわけがない。そう不思議に思いながら着替え終わった彼を見ていると「何見てるの?」と若干寝起きの気怠げな声が飛んできた。「いや、何でもないです。」とは言えなくて返事を考えているうちに彼に手を握られた。

    「…ねえ、大丈夫?」
    「だっ大丈夫です。なんでもありませんから。」 
    「本当に?」
    「本当に。着替えてきます………。」
    「…今日のゼルダ、少し変だよ。」

     貴方のせい、なのですが。そう言いたい気持ちをグッと堪えて着替えを持った上で下に降りる。
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