鍵「そんな戯言を信じられる程馬鹿じゃないんだよ。」
そう言ってドラルクは笑う。
ロナルドがどれだけ愛を伝えようとしても、のらりくらりとそれを躱す。
痺れを切らしたロナルドが詰め寄れば、
「だって、人間は移り気だしすぐ死んでしまうし。きっと君を好きになったって、私は辛いだけだもの。」
何かを諦めたような顔でドラルクは笑う。
「いつか死ぬのはしょうがねぇ。けどな。」
ロナルドは目を合わせようとしないドラルクの両頬を両手で包み、離して、と身をよじり固く閉じられた瞼にキスを落とす。
「退治人君……?」
驚いて見開かれた視界に飛び込む激情を閉じ込めた美しい瞳にドラルクは目を奪われる。
「もし砂漠でお前が砂嵐に飲まれて死んでも、俺は砂の中からお前を全て探し出してみせる。」
5822