くらくて、やさしい、よるのみち「ジュンくんっ……！！」
　ガタッガタガタガタッ……！
　ミーティングルームの椅子二つを道連れに、ジュンは床にひっくり返った。
　Ｅｄｅｎでの打ち合わせが終わり、立ち上がったところで目眩がした。日和が慌てて駆け寄ってきて、酷く心配そうに怪我が無いかを訊ねてくる。倒れた椅子が大袈裟な音を立てただけで、ジュン自身は尻もちをついただけだというのに。
「ははっ、大丈夫ですって」
「……ジュン」
「ジュン！」
　凪砂と茨もジュンの側に跪いて顔を覗き込む。ジュンからしては感情の読みにくい二人であったが、心配してくれていることは伝わってきた。
　日和が手を差し出した。
　凪砂からも茨からも、ジュンを起こそうと手が伸ばされる。だが三人の誰の手も取らず、ジュンは身体を起こした。

旅立ち前夜　夜の静寂の中に目覚めると、胸がキュッと苦しくなることがある。自分はこの世にたった一人で、誰の声も聴こえず、目も見えないのではないかと。
　ジュンの鼓動は速まり、おかげでまだ自分の命がここに在ることを知る。
　……トクットクッ……
　少しして自分のものとは違う心音が伝わってきた。その頃には暗闇にも慣れて、鼻先にある柔い髪と腕の中の温かい身体に気がつく。
　
　何よりも、自分よりも、大切ないのち。
　
　そんなことを本気で思っているなんて知ったら、腕の中の恋人――日和は喜ぶどころか、「もっと自分を大切にするんだね！」と怒るだろうけど。

　身じろぐジュンに起こされたのか、日和が寝返りを打ちジュンの方を向いた。睡魔に抗い瞼を持ち上げようとする様子が愛おしくて、瞼にそっとキスをする。

雨にもまけず「ん……」
　心地よい微睡みの中、意識の覚醒を促したのは窓ガラスを叩く雨音だった。目を閉じたまま隣にいるはずの彼を手探りで探しても、あの必要以上に筋肉のついた身体には触れられなかった。
「……ジュンくん？」
　ああ、酷い掠れ声。雨音にもかき消されてしまいそう。嫌になってしまうね！
　何度か瞬きをして、気怠い身体をゆっくりと起こした。

　寝室のドアを開ければ、漂ってきたのは美味しそうなスープの香り。本当はお弁当を持って公園に行きたかったんだけれど残念。まだ身体も怠いし、ゆっくりと家でブランチを楽しむのもいいかもしれないね。
　洗面所ではゴトゴト揺れる洗濯機が、眠る前に替えたシーツを乾かしているところだった。
　

すみれ色の空「うわぁ……」
　日の沈みかけた空を見上げ、思わず零れたのは感嘆の声だった。ビルや木々の上部には、まだ昼の名残の淡い水色の空。その上に広がるのは菫色だった。懐かしさを感じさせる赤い夕焼け空なら子供の頃から何度も見た。だけどこんな風に胸が詰まって苦しくなるような空の色は初めて見た気がする。いや、見ていたとしても印象に残らなかっただけなのかもしれねぇけど。
　スマホをその綺麗な空にかざしてカメラのシャッターを切った。
　
「もうっジュンくんてば、先にお店出ちゃうんだからっ！」
　セレクトショップから出てきたおひいさんは、両手にショッパーを提げている。そちらに手を伸ばせば、むくれ顔のままショッパーは素直に手渡された。

今年はじめての……　取り皿に盛った美味しい料理は綺麗に平らげてしまった。ぼくは皿をローテーブルに置き、代わりにグラスを持ち上げる。星奏館の共有ルームで元日の夕方から行われている新年会。未成年が多いため酒は提供されていない。アップルソーダを喉へ流し込みながら室内へ視線を巡らせた。
　みなビュッフェスタイルの食事を楽しみつつ、和やかに談笑している。ぼくだって先程まではグラス片手に共有ルームを一周して、出席者全員に挨拶をしていた。このくらいのことは社交界のパーティーでの経験もあるし、慣れたもの。まぁ社交界のものよりはずうっと気楽で楽しいけれど。でも癖で会場全体を常に視界に捉えているから、相方の動向だってだいたい把握している。

【纯日和&凪茨】赛博朋克2077——衰败乐园011愿望“纯君，纯君！今天要带你去一个特别的地方呢！”

朦胧的画面里，巴日和的笑容像是降低了几个画质，闪烁着细密的像素斑点。

视线的主人茫然地看着他，再一眨眼，场景已然切换，掌心被巴日和牵住，随着抬头他视线上移，对方带他来到了一个实验室内。几根透明的柱子中充斥着透明的液体，其中浸泡着人体组织。

“这是我原装的手！是去年就拆下来的了，这个是我的双腿！纯君，你的表情很可疑哦？重要的地方当然是不会改造的呢，说起来那种地方也没有改造的必要吧！纯君色狼！”

涟纯茫然地任由巴日和摇晃，眼中的世界上下甩来甩去，天花板上明晃晃的白灯牵扯出长长的拖尾，照得他双眼生疼。

突然，巴日和停下了晃动他的动作，他走到了一根柱子前，只留给他一个背影。

荒淫圣诞过膝的白色长筒袜勾勒出修长漂亮的腿部线条，最上边还左右各系了两个丝带蝴蝶结，长长地垂落下来。夹在长筒袜和毛绒绒巧克力色短裙中间的是一小片露出的白皙细嫩的肌肤，被勒住的地方又体现出一种恰到好处的肉感。上衣也设计成了短款斗篷的样式，大面积的酒红配上蓬松的毛绒绒边缘，像落在阿日前辈身上的雪花一样。手上戴着棉质袖套和手套，怎么看都是为了保暖的一套装扮，但腰部那里却裸露出来。阿日前辈不会故意少穿了一件吧？

涟纯扶上小巴姐姐的腰想去抱她，手却被轻轻拍掉，只好撑在身体两侧的柔软床铺上。“纯君真是太心急了，现在还没到拆礼物的时间哦。”一只手被她握住，整个人靠近的时候，香气和暖意也随之而来。学姐的手指滑过小男友的腹部，来回描摹着肌肉的线条，然后再往下勾住休闲裤的腰带轻轻拽开，涟纯早已勃起的性器就这样挺立在空气中。

【纯日和я】团团大作战“各位请看荧幕，这是我们新的战略部署，将我们四个人的形象与可爱的产品结合起来，一定能够在周边的战场上杀出重围，提高Eden的知名度！”

一次产品演示上，七种茨正兴致高涨地播放着PPT，与充满火药味的演讲毫不相干，滚动的页面正展示着四个圆圆的团子。

圆团子做了细心的绘制，将四个人的特点表现得淋漓尽致，长相呆萌又很实用，确实是佳品。

会议桌上的人们一片哗然，身着制服的员工们尽职尽责地做着各自的事，配合着演讲继续。涟纯坐在最后一排百无聊赖，他面前的笔记本只字未动，手中反复转动着一只看起来价值不菲的钢笔——是某位任性的前辈送他的。说实话他对什么产品啊周边啊一窍不通，真正在参与其中的是坐在前排的美工策划运营们，每个人都在奋笔疾书，有些点头示意，又提出些他完全听不懂的话。

【纯日和&凪茨】赛博朋克2077——衰败乐园009军用科技一瞬间，涟纯想到了很多，他想到阿日前辈为兄长掖上的被角，想到阿日前辈为家族做出的牺牲，想到阿日前辈做完义体表演，在洗手间吐得昏天黑地。

而如今，他梦想着守护的家人，居然是幕后嫌疑人？

涟纯感觉到一阵晕眩，前所未有的荒谬感席卷了他的大脑，“不可能……他杀害阿日前辈有什么好处，阿日前辈不是巴氏的形象代表吗？”

七种茨轻轻叹息了一声，“正是因为如此……才是把双刃剑。之前并没有告诉过你们，但其实以前公司开会时，就有不少人反对那位TOMOE成为掌权人。因为殿下的义体覆盖度已经达到了惊人的80%，他们以殿下随时可能变成赛博疯子，到时候会为品牌抹黑为由，常常向那位TOMOE施压。意思是要么选择除掉殿下这样的高危人物，继而真正地接管巴氏。要么选择守护弟弟，将自己的权利分给其他股东。”

【纯日和&凪茨】赛博朋克2077——衰败乐园019启程第二天的清晨到来时，涟纯从单人床上醒来，他看了眼终端上的时间，已经是上午十点。他垂下了手，这几天实在是太累了，居然睡了这么久。这种不规律的作息让他感到有些不安，但是依旧像往日一般早起又能怎样呢，难道要一边迎着全城自己的通缉令，一边边晨跑着跟市民们打卡拍照吗。

他转头看向身边，看到巴日和正躺在床的另一侧，贵族睡眼惺忪地睁开眼，他抻直胳膊伸了个懒腰，然后才注意到了他，那双宝石紫色的眼睛含满了笑意，然后说着早上好呢，纯君。

“早安，阿日前辈。”他答道，又伸出手想去摸摸那人的脸颊，可巴日和的幻影却顷刻间消失了，他的身边空空如也。

他看着空荡荡的床边，长长地叹了一口气，用手捂住双眼。

几分钟后，涟纯走进了卫生间。卫生间有个窗户，他开启了单向模式，从里面可以看到外面的雨已经停了，现在是个灰暗的阴天。形形色色的人又开始出现，有背着公文包边踩水坑边骂的公司人，还有成群结队的赛博朋克。上次的小破屋已经不能用了，七种茨给他找了另一个住处，因为时间比上次充裕，这次的住处也比上一个条件要好一点，是个干净的小出租屋。