ミナゾコ それはきっと、夢、だった。フレンはそこにいなくて、オレは一人、海に沈む。息ができなくなって、ああ、死ぬんだと思った。こんな終わりがあるのか、あってもいいのか。罪に汚れた手は、孤独な死を連れてきた。ただ、それだけだ。
だがそれは夢。何度も何度もくり返し見る、ほの暗く苦しい、夢。
依頼があって帝都に来ていた。だからそのついでにフレンに会って、近況報告なんてしあってみたりして、それから、少しだけ指先に触れた。
頻繁に会えないことはお互い承知のうえで積年の思いを伝えあった。もしかしたら積年だったのはオレだけかもしれない。罪人はその隣に似合わないと常日頃考えて、親友としても手を離そうと考えていたくらいだけど。
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