ノア・ブラックの憂鬱な御茶会〜前文〜
脳死で羅列しただけの長文です。解釈違い等ありましたらすみません。
うちの子の性格上一部のよその子がボロクソ言われてます。管理人を殺してください。
それでもいいよって方だけ下に。
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「ふーむ…」
芸術の階司書補の1人ノア・ブラックは本の整理にひと段落つけて何やら考え事をしていた。
「どうしたの?」
同じく芸術司書補、ティファニーがその様子を見て声をかける。その後ろで言語の階司書補ルビーと哲学の階司書補ガブリエラも顔を覗かせていた。
「おや、ちょうどいいところに3人…少し座りましょう、お茶でも飲みながらの方が喋りやすいですわ」
「…で、らしくねえな?お前が考え事なんて」
お茶の準備も一通り終わり、4人でテーブルを囲むと真っ先にルビーが口を開いた。
「あなた方はパラレルワールドの存在は認知しておりますね?」
ノアの言葉に3人は頷く。というのも、L社職員だった頃に度々W社の技術を利用して別時空のL社支部や本社の職員たちと繋がりを持つことが何度かあったからだ。
「並行世界上の都市では未だL社は健在だそうです。そこでなんとも不可解な事象が起きてるようですね」
「事象…?」
首を傾げるティファニー。
「私たちに関係することではなさそうだが、一応聞くだけ聞いておくか」
ガブリエラは少し姿勢を正してノアに視線を向けた。
「これは少し前に時空を跳躍して別支部に遊びに行った時に聞いたことなんですけど」
「お前何サラッととんでもねえこと言ってんだよ」
ノアの行動にツッコミを入れるルビー。ノアは構わず説明を続ける。
「なんでも、心の弱い職員のもとに高身長の優美な女性が現れて拉致して行くそうです。該当する職員はその女性に言葉を吹きかけられ、紋を刻まれ…傀儡となってしまうんだそうですね」
「まるで、眷属を作る幻想体みたい…別のL社にはそんな奇妙な幻想体がいるの?」
ぼんやりと口を挟むティファニー。以下、しばらくはノアとティファニーの問答。
「いえ、そうでもないようです。拉致された職員は一つの支部にまとめて隔離されているようですね」
「ってことは、もしかしてそれって…」
「はい。なんでも一つの支部の職員があらゆるパラレルを行き来して心の弱い職員たちを眷属化させているようですね」
「言葉を吹き込まれる…って言ってたよね」
「心の傷を徹底的に抉り、心を壊した上で洗脳するらしいです」
「声に抗えなくなって……ねじれかなぁ。ねじれってほら、確か声が聞こえるんでしょう?優しい女の人の声…この前来た『泣く子』も、そんな様子だったみたいじゃない?」
「心の中ではなく、直接現れて語りかけていくみたいですね。そこで絶望した職員を拉致し、傀儡とするとのことです。前提として、あの複数の世界には光の木は芽吹いていませんから」
「あ、そっか…」
2人の話を聞いていたガブリエラが突然勢いよく席を立ち、叫ぶ。
「もしかして紫の涙じゃないのか!?優美で高身長な女性、思い当たる節はそれしかないぞ!」
「いえ、あり得ないものかと…職員ですよ、職員。職員が職員を拐ってるんです」
「えー…なんだ、つまらん…」
ノアの言葉にしおしおと座り直すガブリエラ。彼女はフィクサーオタクなので、特に特色などには詳しいのだ。今回は外れたけど。
少し凍りついた空気で、ルビーが口を開く。
「俺たちは特に最古参だから、色んな支部に行ってるよな。もしかして俺たちの知り合いもいるんじゃないか?その拉致された奴らってのに」
「ええ。この度報告書を複製して拝借させていただきました。1人ずつ見ていきます」
ノ「まず1人目、溶解支部のジョシュアさん。私やシアンさんも幾度と世話になった方です」
ル「あーダニエルの友達だっけか。シアンみたいに黄昏を装備してたっていうあの」
ガ「いきなり黄昏なのか。拉致していったその職員はただものではないな」
ノ「全ての発端だそうです。最早幻想体を超える何かの類ですね」
ノ「続いて…シュミ支部のエルフィンドさん。私たちはあまり面識はありませんね」
ガ「エベレットが言ってたな、自分に嘘ついて生きてる小心者だってさ」
テ「他所の職員さんなんだからそんな言い方しなくてもいいと思うけどなぁ…」
ガ「『如何にも心の脆そうなやつ、私とは対極的だな!!』とか言ってた。本当に自分が中心なんだからなアイツは…」
ル「ミミックに失楽園…ノックスと同じで抽出なのか。相当強いぞ、そいつも」
ノ「続いて灰心支部、キンスリーさん。こちらも黄昏装備の方です」
ル「2人目ってオイオイ…そもそも心が弱い奴が狙われるんだろ?そんな精神状態でよく黄昏着れるな」
ガ「マリネルの旧友の同僚として名前だけは聞いたことがあるな。元ツヴァイのフィクサーなんだとか」
テ「そんなに強い人が3人も…これ、解決の手立てはあるの?」
ノ「私たちに手出しはできませんわ」
「……今の所被害はこの3件。都市伝説相当の事案だそうですが」
ノアは報告書を片付けて少し冷めてきた紅茶を口に含む。
「それが都市伝説なのか?黄昏とか失楽園とか着てるようなエリートが拉致されてるのは都市の星も青ざめるレベルだろ」
都市の事象に詳しいガブリエラは納得のいってない様子。
「私たちにできるのは、無事を祈ることだけ。EGOもなければ私以外に他所に行く手段もありませんし…特にジョシュアさんは可愛い弟子ですからね、私としても放っておきたくないものですが止む無し…」
紅茶をいつの間にか飲み終え、ノアは席を立つ。
「長々とお話に付き合わせてしまい申し訳ございません。また情報が集まったら、貴方方が気になるようでしたらまた教えますよ」
ル「……長かったな」
テ「でも、心配だなぁ…また少し時間が経ったら、また話聞きに行ってみない?」
ガ「賛成だな。…あ、そろそろ戻らないとビナー様にどやされてしまうな…」
ル「やっべ、仕事サボってた…」
テ「あらあら、怒られないように頑張ってね〜?」