セックスしないと出られないささくうとろじゅしささくうの場合
再開後すぐ。
「コラあかんわどうしよ!さっさとやって出るしかないわなぁ」
久しぶりの元恋人(?)にウキウキしながらいうと、すぐドスドスと力づくで何とかしようとする音が聞こえてきた。
「いやなんでやねんセックスせぇへんと出られん書いてあるやろが、読めや!脳筋か!」
「うっせぇ出られるかもしれねぇだろうが」
せっせと正拳突きをしているが壁はビクともしていないし、壁が壊れてでられるならこの部屋の意味は無いのだ。
この部屋は違法マイクか何かで作られたい精神に関与しているような世界なため物理的な攻撃は効かないのだろう。
まぁここは中王区なので未完成マイクのお試しなのか、暴発なのかは不明である。
「こんな誰が見てるかもわかんねぇとこでやってられっかよ」
「でも一生ここにいる訳にも行かんやろ。ちゃっちゃとやって出た方がええやん。優しくしたるで。前みたいに」
「うっせぇ触んな!」
「おー怖。なんやまた処女気取っとるんか。2年前は週に何回もやっとったやろ」
「あれは拙僧の人生の汚点だ」
「汚点だなんて酷いなぁ。相思相愛だったやん」
「うっせぇ」
2年前はなし崩しに抱いてしまったがまぁ好かれてる自信はあったし情もあった。恋をしていたかと聞かれたらそうとは言いきれなかったかもしれないが体の相性は悪くなかった。ここまで嫌がられるとは思っていなかった。
2時間ほどたってやっと空却は諦めた。手が怪我しててもおかしくないため見てやったが傷は一切なく腫れてもいない。やはり物理的な攻撃は意味が無いのだろう。そこまでしても俺とやるのが嫌というわけだ。
「好きにしろよ」
「ん?」
「すんだろセックス。したら出られる」
「まぁ俺もここにずっとおる訳にもいかんけど…で、お前いつぶりや」
「…2年」
「…」
2年。俺たちが離れとった時間。いま俺が思っていたほどこいつは俺のことが嫌いでは無いのだろう。
そしてその事実に少し嬉しくなるほどには俺はこいつを気に入っていたらしい。
「お前んとこおっさんおるやろ」
「あ?獄のことかよ」
「名前まで知らんわ。あのおっさんと付き合っとんのかと思った。お前年上好きやろ」
「はぁー?ねぇよ家族は家族だろ」
「お前俺のこと家族だなんて言うたことなかったやろ」
「…」
「お前俺のこと好きやろ」
「はぁ!?」
オーオー耳まで赤くなっとるわ。可愛いとこあるやん。あー悪くない気分や。こんな純情なクソガキに想い寄せられて2年も忘れられんようにしてもうて、罪作りなことしてもうたわ。
「じゃあ今からお付き合いして恋人セックスしよか」
「なっ」
「俺今フリーや。ちゅーかまぁずっとフリーや。付き合ってると思てる女はおるかもしれんけど。俺は誰とも付き合った覚えないし」
「何も安心できねぇ言葉だな」
「全部切る言うてるんや。この上なく安心できるやろ。約束」
小指を出すと空却も小指を出した。白く体にあった小さめの手の小指に指を絡めて指切りした。
「さ、しよ。あ、俺週一ではしたいから。女の子全部切るから相手してな」
「回数減ったな。歳かよ」
「ちゃうわ!処理するだけなのに何回もせぇへんわ!」
「ささら」
「ん?」
白磁のように滑らかでしろい肌がほのかに赤に染る。一瞬触れた唇が離れていった。
「好きだ」
「っ!ほんまこいつは!なくまで抱いたる!」
柄にもなく顔が熱くなる。耳まで赤くなっているだろう。
愛してると言葉にするのは終わってからでもいいだろう。
部屋から出ると中でしたことは忘れていた。
とてもスッキリしているし、隣にはあのころみたいに気だるく頬を赤く染めてる空却がいる。空却も同じ状態だろうからきっとそれなりのことはしたのだろう。
「なぁ」
「んだよ」
「付き合わへん?」
「なっ!ねぇよ!!」
うーん脈アリやな!俺は狙った獲物は逃さへんで!
ろじゅしの場合
両片思い。
「ここなんスかね…出られないんすか?」
既に眉毛が泣きそうになって八の字になっている。15分壁を殴ってみたが一切変化はない。テーブルの上の紙は十四くんはみていない。
中にはセックスしないと出られないと書いてあった。
言えるか!!18歳やぞ!!俺の生徒と同い年や!!
「盧笙さん…あの」
「ん?」
「自分分かってるっす」
「え…」
「こういう部屋空却さんから聞いたことあるっす!」
「待っ待ってくれそんな俺は」
「キッキスッスよね!自分構わないっす」
だからぁ!!こうなるんだよ!!
不思議そうな顔しないでくれ。キスでは出られないんだ。空却くんオブラートに包みすぎや。言うんならちゃんと言うといてや。
「空却さん簓さんと部屋に入れられたけどキスしたらすぐ出られたっていってたっす!だから」
「簓ぁ!」
あいつ未成年に手ぇ出しよって!いや俺も今からだすんか。クズやん!そもそも十四くん子供の作り方とか知らんやろどうしたらええんや。
「十四くん、その赤ちゃんの作り方知っとる?」
ボッと火を噴いたように赤くなった。知っとったらしい。まぁそうかふわふわしとるけど18やもんな。18とか猿やもんな。俺の生徒みんな猿や。十四くんは猿には見えんけど。
「ここはそういうことせんと出られん部屋らしい」
「🥺」
そんな顔せんといて!どうしたらいいのかわからんのは俺もや!
「でもなんかきっと方法が」
「盧笙さん…自分したことないけど…それでも良ければ…頑張るっす」
「待って待って、やるんは俺やで」
「えっ」
「えっじゃなくて」
また赤なった。そんでめちゃくちゃめぇ泳いでるやん。ごめんな紙に書いてあったばっかりに。
「や…」
「や?」
いやなんかな。そらそうやわな。初めてで掘られるとか
「優しくしてくださいっす」
「あかーん!!!」
無事外に出られた何をしたかは思い出せないけど、とりあえず正式にお付き合いをすることになった。