熾火②「よく――来てくれた」
「……暫く見ないうちに、随分と老けたな」
長らくの無沙汰を詰るつもりで敢えての軽口を叩けば、お互い様だ――と云う大して工夫のない応えが、間髪入れずに投げ返される。
「噂は聞いているぞ。未だ、年甲斐もなく大剣を振り回しているとか。そろそろ後進に道を譲ってはどうだ」
「年甲斐もなくと云えば、おまえこそ――禁足地で、ゴアとやり合ったそうだな。『編成主幹』などとご大層な肩書きを背負っていては、錆び付いた肩が痛んで仕方なかろう」
差し出された手を殊更に強く握り返せば、相変わらずなやつだとファビウスは苦笑した。
「せっかくの旧友との再会だが、杯を交わしながらと云う訳にはゆかぬ。赦してくれ」
「おまえが多忙なことは重々承知しているさ。それで、用向きは」
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