夜中にケンがヨージの部屋を訪れる。
「どうしたんだよ、ケン。こんな時間に……」
「なあ、ヨージ……やろう」
「は? やるって何を……」
「決まってんだろ。セックスだよセックス」
「はあっ!? お前……酔ってるのか?」
「当たり前だろ。男が男に抱いてくれだたんて……素面で言えるかっての!」
「抱いてくれって……ちょっと待て! 一体どうしたんだよ、ケン!」
「……ムラムラすんだよ」
「……は?」
「何か最近お前見てるとムラムラすんの」
「お前何言って……」
「だーかーらー! 抱いてくれって言ってんの!」
「何でそうなるんだよ、おい……」
「別にいいだろ……男同士なんだし、後腐れなくて」
「そうじゃなくてだな……」
「ああ、やっぱり男相手じゃその気にならないか」
「……いや」
「えっ!? 何、お前男イケんの!?」
「待て! ……取り合えず一旦落ち着け」
「何でだよ。イケるならいーじゃん、やろうぜ」
「いいから落ち着け!」
「いきなり大きな声出すなよ……ビックリすんじゃねえか」
「俺の方がさっきからビックリしっぱなしだよ……」
「そうか?」
「……なあ、ケン。酔っているお前に訊くのはどうかと思うが……お前、俺のことが好きなのか?」
「さあ?」
「さあって……お前なあ、好きでもないのに抱かれようとしてるのか?」
「……よくわかんねーんだよな、そういうの……だから一回抱かれてみたらわかるかなって」
「……わかった、後悔すんじゃねえぞ」
「えっ、何、抱いてくれんの?」
「……お前がそう望むならな」
「さっきからそう言ってんじゃん」