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    sunamo_o

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    sunamo_o

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    以前投稿したKV、現パロ、Dom/Sub、switchの双子が結ばれるまでの話を書いてます。
    セーフワードが思い付かず行き詰ってます…。いいセーフワードがあったらリプかマシュマロで教えていただきたい…お頼み申す

    #刀台
    #KV

    Dom/Sub双子が結ばれるまでの話「Kneel(おすわり)」
    ナイの命令(コマンド)を合図にふたりのプレイは始まる。ソファーに腰掛けるナイの足元に跪き、ヴァッシュはそわそわとしながら次の命令を待った。
    「ヴァッシュ、どうして欲しい?」
    「…ぅ…えっと…」
    「恥ずかしがってるのか?ほら言ってみろ」
    「……その…頭を撫でて欲しい」
    「よく言えたな、偉いぞヴァッシュ…good boy」
    ナイに頭を撫でられるのが気持ちよくて目を細める。心がぽかぽかと暖かくなって頭がふわふわする。思わず幸せな溜息がこぼれる。
    「…はぅ……」
    幸せな気持ち包まれ、とろけた表情でヴァッシュはナイの太ももに頭をあずけた。
    頭の上を優しく行き来する手は、時々ヴァッシュの耳朶や頬を撫でて行きその度に甘い感覚が走り睫毛が震えた。
    しばらくそうしていると、ナイが次の命令をくれる。
    「ヴァッシュ…Kiss(キスして)」
    そう言いながらナイは右の頬をヴァッシュに差し出す。
    立ち上がってナイの肩に両手を添える。目をつむり、柔らかな唇を頬に軽く当てる。
    ナイの表情が緩み口角が少し上がっている。これでよいのだろうか?ナイの望む通りに出来ているだろうか?とヴァッシュは不安になりながらナイに視線を送る。
    「…ヴァッシュ、Hug(抱きしめて)」
    命令を遂行すために立ち上がり、ナイの膝を跨ぐように腰を降ろす。
    両腕を背中にまわし、そっと抱きつくとナイの鼓動が聞こえた。
    一定のリズムを刻む音と、服越しに伝わってくるあたたかな肌の温度がとても心地よい。
    ふたりの鼓動が重なる。こうして熱を交換していると、お互いの境界が溶けて無くなって行くような錯覚に陥る。
    「………」
    ナイもヴァッシュの背中に腕をまわし抱きしめ返す。より一層ふたりの間に隙間がなくなり、ぴったりと密着する。
    首筋にナイの吐息を感じる。その感覚にヴァッシュは落ち着かない気持ちになる。
    心臓が早鐘を打ち始めそうになる。ナイの胸をそっと押すと、背中にまわされた腕が解かれた。
    「……ありがとうナイ、もう大丈夫…」
    「…もういいのか?」
    「うん」
    普段よりも早く終わったプレイに怪訝そうな表情を浮かべている。
    ヴァッシュはナイの膝の上から降りて立ち上がる。

    ナイとヴァッシュは双子の兄弟だ。兄弟でプレイをしている事に驚く者もいるかも知れないが、実は珍しい話ではない。
    DomとSubがプレイをすると言ったら、性的な事を連想する者が多いだろうが、一概にそうであるとは言えない。
    DomはSubを支配したい・信頼されたい欲求を持つ。しかし、その欲求の強さや、支配の仕方には個人差が大きくある。Subの世話をしたいと思う者もいれば、身体的に痛めつけるのを好む加虐趣味の者もいる。Domも同様で、ダイナミクスから生じる欲求を発散する方法はプレイであるが、そのプレイ内容は人それぞれである。
    本来DomとSubは信頼と庇護の関係にあるもの。信頼関係が出来ているという点で、家族は
    むしろプレイをするのに非常に向いている相手であるとも言える。
    先程のナイとヴァッシュの様に親愛のハグとキスをして褒められるだけでも、欲求が軽い者であれば十分に欲を満たすことが出来る。
    そしてふたりのプレイは家族のスキンシップの延長線上にある。
    なので、そこに性的な欲求は絡まず、家族に対する親愛の抱擁やキスをプレイとして行っているだけ……であった筈だった。
    ヴァッシュはナイの事を好きになってしまったのだ。実の兄を好きになるなど、決して許されることではない。そのうえヴァッシュは気持ちを隠してナイとプレイをしている。
    ナイを騙しているように思えてしまい、ヴァッシュはその恋心を覚えた頃からずっと後ろめたい気持ちでいた。
    これ以上、こんな事続けられない。そう思いながらも今日もヴァッシュはナイに身を委ねるのだ。

    * * *

    人間には男女の性別以外にも、ダイナミクスとよばれる第二の性であるDom/Subが存在する。
    ダイナミクスを持つ者は人間に本来備わっている欲に加え、支配したい/されたいという本能を持つ。
    そして、ナイとヴァッシュはそのDomとSub両方の特徴を持ち合わせたSwitchである。
    といってもナイの性質はDomに大きく偏っており、ほぼDomの様なものだ。
    そして反対にヴァッシュはSub寄りの性質を持つ。
    ふたりのプレイはいつも役割を変えることなく、ダイナミクスを自覚した子供の頃から変わっていない。

    ヴァッシュはSub寄りの性質ではあるが、ナイの様に極端に偏っているわけではない。
    しかし、ヴァッシュは決してDom役をしようとはしなかった。いや、正しくは出来なかった。
    それは過去の出来事に理由がある。
    事件が起きたのはふたりが己のダイナミクスを自覚する前。
    ヴァッシュとナイは子供の頃からいつも一緒で仲睦まじい双子だった。
    ナイは昔から成端な顔立ちをしていた。クールに見えるが、関わると以外にも優しく面倒見の良いナイは女の子によく好意を持たれた。
    その時もナイに恋心を抱いた少女が居た。双子の仲の良さに嫉妬した少女はヴァッシュにナイから離れるよう要求した。
    しかし、家族であるふたりにそんなことは当然不可能なことである。
    自分の思い通りにならないことに腹を立てた少女は、ヴァッシュに嫌がらせをし始めるようになった。
    といっても子供のやる事である。私物を隠されたり、陰口を言われたりなど、如何にも子供らしい嫌がらせだった。
    私物を隠されてもナイが一緒に探すとすぐに見つかったし、陰口なんて気にしなければいい。
    ナイはヴァッシュが嫌がらせ行為を受けていることにひどく憤慨してくれた。
    「ヴァッシュ、お前は俺が守ってやるからな」
    自分は何も悪くないのに、こんな事をされるほどにまで嫌われているという事実にヴァッシュは悲しみを覚えたが、ナイがいつも傍にいてくれた。
    守ってやる…そう言ってくれたことが嬉しくて、ヴァッシュはますますナイといる時間を増やした。
    そんな、ヴァッシュの態度に少女は怒り心頭だった。
    ある日の帰り道、少女はヴァッシュがひとりになるタイミングを狙って、取り巻きを連れて文句を言いに来た。
    「いつもナイヴズ様にまとわりついて、迷惑なのよ」「弟だからってそんなにべったりしてるしてるのはおかしい」「もしかしてホモなんじゃない」「えー嫌だ!気持ち悪い、ナイヴズ様を汚さないで」
    少女たちが心無い言葉でヴァッシュを傷つける。
    甲高い幼い子供特有の声や、自分勝手な言い分、彼女たちのすべてが不快であった。
    ヴァッシュの中に悲しみや恐怖以外の感情…怒りが芽生える。
    それに伴い、身体の奥からぶわりと何かが湧き上がってくる感覚がする。
    --Glareである。
    ヴァッシュが反抗的な目で彼女たちをキッと睨みつけると、少女たちのうちのひとりが顔色を変えた。
    「…ぁ…嫌、嫌ぁああごめんなさい‼ごめんなさい‼……ぁあ助けて‼」
    少女が急に叫びながら、その場に崩れ落ちた。恐慌状態になった少女は涙を流してうずくまる。
    突然の事に、ヴァッシュと少女たちは驚き困惑し、誰も動くことが出来ないでいた。
    叫び声を聞きつけた周囲の大人がすぐさま駆けつけ、少女は保護され病院に搬送された。
    少女はSubであった。幸い少女は大事には至らなかったが、幼い子供がGlareを浴びると未熟な精神がそれに耐えられず、すぐにSub dropを起こしてしまう。
    病院にいる大人たちが幼いヴァッシュにも分かりやすい言葉でダイナミクスについて説明をしてくれる。
    嚙み砕いて説明されたそれは、つまりヴァッシュのせいで少女があのようになったという事に他ならなかった。
    わざとではないにせよ、ヴァッシュは少女にGlareを浴びせ傷つけてしまった。
    この事件は、優しいヴァッシュの心に大きな傷を残しトラウマとなった。
    それから、しばらくヴァッシュは落ち込み塞ぎ込むようになった。
    「…ヴァッシュ…また食事を残したのか……」
    「ナイ…ごめん。何だか、食欲がなくて……」
    ヴァッシュは嫌な事があると目に見えて食事の量が減る。
    心配そうなナイに申し訳ないと思いつつも食事が喉を通らない。
    「…この間ダイナミクスの検査をしただろ。結果が出たんだ」
    「……ダイナミクス」
    「ヴァッシュ、お前Domじゃあなかったぞ」
    「えっ?」
    ヴァッシュが顔を上げる。大人たちに聞いていた話と違う。
    自分がDomだからSubの少女を傷付けてしまったのではないのか?と頭の中で疑問符が回る。
    「switchだって」
    「…switch?」
    「DomとSubどっちの性質も持ってる人のことだ」
    「…じゃあSubにもなれるって…こと?」
    「そうだ。大丈夫だよヴァッシュ、お前は誰も傷つけないし、お前がこれ以上傷付く必要もない」
    ナイの言葉はいつもヴァッシュを救ってくれる。
    自分はswitchだけど、Subになれば傷つける事もないのだ。
    その日から、ヴァッシュはSubとして生きることを決めた。

    * * *


    廊下を歩いていると、ひとりの女子生徒とぶつかる。ぶつかった生徒の身体がぐらりとバランスを崩した。しかし咄嗟にヴァッシュが抱きとめた。
    「…おっ、と…大丈夫?」
    「あ…はい、大丈夫です。ぶつかってすみませんでした」
    女子生徒の目には涙が浮かんでいた。それに気づいたヴァッシュが何か言うよりも前に、女子生徒はその場を走り去っていった。
    「どうしたんだろう…」
    不思議に思ったヴァッシュは先程の生徒が出てきた部屋を覗いてみる。
    そこにはナイが居た。
    「あれ?ナイ…」
    「ヴァッシュ…」
    ナイの表情はいつもより険しく、不機嫌な様子だった。
    「何ー?また告白されたの?」
    「そうだ。俺はきっぱりと無理だと言ったのに食い下がってくるから、少しキツイ言い方をしてしまった」
    ナイはモテる。それはそれはモテる。この容姿とカリスマ性のある性格。人々を魅了してやまない存在だった。そんなナイに憧れと恋心を抱き、告白して来るものも少なくない。
    先程の女子生徒も見事玉砕した様だ。
    「そっか…大変だったんだね」
    ヴァッシュはそんなナイに告白し玉砕していく者たちにも嫉妬を感じていた。
    (いいな…思いを伝えることが出来て)
    兄にその様な思いを伝える事など決して許されないヴァッシュは、彼女たちを羨ましいとさえ思っていた。
    自分の気持ちをナイに知ってもらうことが出来る。それはどんなに幸せな事なのだろう。もちろん良い返事が返ってくるとは限らないので思っていないが、ナイに振ってもらうことで彼女達は次の恋をさがしに行くことが出来る。しかしヴァッシュには、思いを告げることも、ナイへの気持ちを諦めることも出来なかった。
    告白の現場なんて見てしまったらGlareが出てしまうかもしれない。
    自分には嫉妬する資格なんてないのに…ヴァッシュは内心自嘲気味に笑った。

    * * *

    最近身体の調子が悪い。ヴァッシュはその原因に心当たりがあった。
    欲求不満なのだ。
    ナイとのプレイは相変わらず行っているが、物足りなさを感じている。
    ヴァッシュはナイに恋愛感情を抱いており、性愛込みでナイを愛している。だがナイは家族愛なのだ。
    プレイをする度に、身も心もすべてナイに委ねてしまいたい衝動に駆られる。
    しかし、そんな事をしたらきっとナイに拒絶され、もう兄弟であることも許されなくなってしまうかもしれない。ヴァッシュはそれを恐れていた。
    朝から頭がぼーっとする。身体も怠くて何をするのも億劫な気分だった。ヴァッシュの機微に敏いナイがそれに気が付かない筈もなく指摘されてしまう。
    「ヴァッシュ、何だか今日おかしいぞ」
    「……」
    ヴァッシュは上の空で返事を返さなかった。様子がおかしい弟にナイの表情が曇る。
    「どうしたんだ」
    「え?」
    「朝から変だぞ」
    ナイが怪訝な表情を浮かべる。普段おおらかなヴァッシュが塞込んでいる様子を見せているのだ。兄として心配にならないわけがない。
    「あ、……昨日遅くまでゲームしちゃってたからかな。僕ってばうっかりー」
    おどけた様に笑いながら言うが、明らかに嘘だった。
    しかし、ここで問い詰めても意外と強情な弟は本当のことを言わない事を兄は知っている。
    「体調が悪いならきちんと言ってくれ」
    「そんなんじゃないよ……心配かけてごめんね」
    「まったくお前は昔から手がかかる」
    そう言いながらもナイの口元は緩んでいた。

    * * *


    今日はナイに映画を見に行ってくると嘘をついて家を出てきた。
    向かう先は病院だ。あらかじめ予約をとってあったため待ち時間はそれほどかからず、診察を受け、望む通りの薬を処方してもらうことが出来た。
    ヴァッシュは数か月前から抑制剤を使用していた。しかし、日に日に強くなる欲求を抑えられないのを感じ、もっと強力な薬を処方して欲しいと要求したのだ。「強い薬は副作用が出る事があるからあまり出したくは無いのよね」と渋る主治医を口説き伏せた。
    ヴァッシュは新たな抑制剤を飲み始めた。薬の効能のおかげで、プレイをしたいという欲求が落ち着いたのを感じる。しかし、身体に合わないのか、副作用で断続的にめまいや吐き気を催すようになった。
    週末、もう一回病院に行かなきゃな。そんな事を考えながら、リビングのソファーで横になっていると、丁度ナイが帰宅した様で、玄関の開く音がした。
    こんな姿を見せてはまた心配させてしまう。咄嗟に起き上がると、視界が揺れ再びソファーに逆戻りする。
    「……えっと、おかえり」
    「ただいま。顔色が悪いぞ」
    ナイが足早にヴァッシュの元まで近づくと、その顔をぺたぺたと触り体調の確認をしてくる。
    「ん~大丈夫だよ」
    「この間も言っただろう。調子が悪いなら早く言え」
    ヴァッシュは子供の頃、身体が弱かった。しょっちゅう熱を出しては、レムとナイに心配をかけていた。
    「…ちょっとめまいがするから横になってただけだよ。もう治ったし大丈夫」
    そこに突然リビングルームのドアが開く。
    「ナイ、ヴァッシュ!ただいま‼」
    「え、レムおかえり。どうしたの突然」
    「おかえり。ずいぶん急だな」
    「うふふ、2人に会いたくて帰ってきちゃった」
    「今回はどれくらい居られる?」
    「明日には、また向こうに戻らなきゃいけないから今夜だけね」
    残念そうにいうレムに、ヴァッシュも眉を下げる。
    「アレックスは?」
    「まだ仕事中よ。私だけ休みをもぎ取ってきちゃった!」
    「そっか。アレックス大変なんだね」
    レムとアレックスは双子の養い親だ。二人とも研究者をしており、いつも忙しく世界中を飛び回っている。そのため、ヴァッシュとナイはほとんど2人暮らしの様なものだった。
    レムの突然の帰宅に驚いたものの、素直に喜ぶ2人。
    「じゃあ今日は僕が食事を作るね。最近いろいろ出来るようになったんだ」
    「あら、それは楽しみね!期待してるわ」
    「いや俺が作ろう。眩暈がするんだろう、休んでろ」
    「やだ、ヴァッシュ具合悪かったの?大丈夫なの?ちゃんと病院には行ったの」
    「大丈夫だよ」
    キッチンへ去っていくナイの背中を見送る。レムは未だに険しい表情をしていた。
    「ねぇヴァッシュ、本当に大丈夫?」
    「もう、レムは心配性だな」
    「……抑制剤を変えたせいじゃないの?」
    「……っ」
    ヴァッシュが驚きに目を見開く。何故そのことをレムが知っているのか。
    「ごめんなさい。ルイーダに聞いたの」
    完全に失念していた。ヴァッシュの主治医であるルイーダとレムは大学時代の同級生で今でもその交友関は続いている。
    先日レムのもとにルイーダから突然電話が掛かってきた。
    「守秘義務があるから普通他人に患者の事は教えないけど、ヴァッシュは未成年でレムの大事な子供だから、私には聞く権利がある。そういって教えてくれたの」
    「そっか……だから今日突然帰ってきたの?」
    「うーん…それもあるけど、ヴァッシュとナイに会いたかったのも本当よ」
    「うん」
    ヴァッシュは素直に欲求が強くなって来ていることを話した。当然ナイの事を好きであることは言えないが、抑制剤の事を知られてしまった以上、レムに隠し事は出来ない。それに誤魔化したとしても、きっとルイーダ経由ですべてバレてしまう。
    「そう…ヴァッシュ辛いときはちゃんと言うのよ」
    「わかってるよ。ありがとうレム」

    * * *

    「ナイ、ヴァッシュ2人ともちゃんとご飯食べるのよ。そして規則正しい生活してちょうだいね」
    翌日レムはそう言い残して、アレックスのもとへ戻って行った。
    「昨日までレムが居たから何だか静かに思えちゃうね」
    「そうだな」
    「それで、ヴァッシュ。俺にも抑制剤について説明してもらおうか」
    「……っ」
    ナイは昨日のレムとの会話を聞いていたのだ。背中に嫌な汗が伝う。
    「あ、それ…は…」
    「いつも俺とプレイしているが、駄目なのか。あれでは満ち足りないということか。何が駄目なのか教えてくれ」
    ヴァッシュへ詰め寄るように質問をする。ナイが一歩近づいてくる度に、ヴァッシュが後ずさる。
    背中が壁に付くとナイがヴァッシュの顔の横に両手を置き、逃げ場を塞ぐ。
    「ヴァッシュ」
    「ナイ違うんだ…!」
    「じゃあなぜ抑制剤を飲んでいた。お前が望むならどんな事もしてやる」
    ナイの剣幕に思わず身体がすくむ。
    ヴァッシュは言い訳が思いつかず、返事が出来ないでいた。重たい沈黙がふたりの間を流れる。
    早く何か言わなくてはと思うが頭の中は真っ白で、言葉が出てこない。
    そんな重たい静寂を破ったのはナイの方だった。
    「…ヴァッシュ、Kneel」
    「あっ」
    自分の身体なのに言うことをきかない。まるで操られた様に力が抜けて、ヴァッシュはナイの膝元に座り込んだ。
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