未来は幸福に満ちている 「どう?マティスくん、どこか痛くない?風も強くない?」
「えへへ、大丈夫です」
セレスにドライヤーで乾かされ髪を梳かれくすぐったそうにマティスは笑って返事をした。
「セレスさんは僕の髪を触るのが好きなんですか?」
「えっ、どうして…?」
タオルでマティスの髪の水滴を拭いていたセレスは驚いて動きを止める。
「何となくですけど…セレスさん、嬉しそうなので」
「…うん、そうだね…嬉しいし、楽しい…。マティスくんの髪に触るの…好きなの。なんだか、全てを許してもらえてるような…心を許してもらえているような気がするし。それに、私の髪って短いでしょう?だから、憧れ…みたいなのがもしかしたらあるのかもしれないね」
ふふ、と笑って言うとさらりとした綺麗な髪をはためかせてマティスはセレスの方を振り向いた。
922