上 二国の王子序
───……こうして、我々ご先祖さまは戦を終わらせ、互いに手を取り合い、平和な今に至るのです。
パチパチ、とどこか気の抜ける、しかし一生懸命な拍手が部屋に響いた。
「せんせぇ、じゃあ妖精さんってもういないの?」
「…うーん、そうだねぇ。悲しいけれど、今はいなくなっちゃったっていわれているよ。みんなはどう思う?」
「いる!」「いないよ!」「いるってば!お隣のお国の王子様が妖精さんみたいだもの!」
にわかに騒ぎ出した子供らをはいはいと宥める。
「みなさん、王子様といえば、明日はリツカ王子の御誕生日でお休みですね。みんなは御祝いに何か特別なことをするのかな?」
と、別の話題を振ると子供たちは元気よく明日は家族とお祝いする、トクベツなんだってママが言ってた、楽しみだねとニコニコ笑った。単純なものである。
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