君は天使。「えっと……ここだ!」
周囲の街並みよりも一段と高いマンション。
その最上階に、目的の人物は住んでいるという。
白くてふわふわした羽をばさりと羽ばたかせ、風に乗って急上昇した。
目当ての部屋のバルコニーへと降り立ち、窓に手をかけた。
すると自然に鍵が開く。
「天使に鍵など通じないのです」
先輩天使の口癖を真似しながら、悠々と室内に侵入する。
広いリビングでコーヒーを飲んでいた住人は、何故だかぽかんと口を開けていた。
突然、窓が空いたからびっくりしたのだろう。天使である私の姿は見えないのだから。
「私が幸せにしてあげる人間はこの方ですね、今日からお世話に……いえ、お世話してあげます!」
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