葬送 どうしようもなく死んでしまいたくなる時がある。
「さっきの、なに」
「あ?」
背後から乱暴に左肩を掴まれた。反応する間もなく無理やり身体の向きを変えられる。視線の先には、平和主義で博愛主義の男が怒りを露わにして立っていた。
良い街だと思った。
人も資源も豊かな街。儒來のような大都会と比べれば決して大きくはないが、それなりに栄えてはいるのだろう。通りには様々な店が軒を連ね、じりじりと照りつける太陽など物ともせず商売に精を出していた。中心はちょっとした広場になっており、子どもたちが楽しそうに駆け回っている。
記者たちは宿探し。彼らの取材対象である人間台風は市場で食料調達。自分はその男が問題を引き起こさないよう監視するため、巨大な十字架を引っ提げて数歩後ろを歩いていた。
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