【ひかり】 どうしたら笑ってくれるのかなってずっと思ってた。笑ったらきっと綺麗だから見てみたいと。
でも、そんなの安全圏にいる奴の自己満足でしかなかった。
制服では隠し切れていない、転んで出来たわけじゃない痣とか傷。消えるどころか見るたびに増えていくそれに堪らなくなって、実弥に大丈夫かと聞いた事がある。
今思えば大丈夫なわけがない。馬鹿なことを聞いた。
それでも、問われた実弥は「何が?」と返してきた。大丈夫でも、助けてでもなく、まるでなんて事のないように。
きっと周りの年齢だけは大人なやつらは誰も実弥を守ってなんてくれなかったのだろう。見えている現実は目を手で覆って見ないようにして、実弥が大丈夫と返す上っ面の言葉だけを安心材料として問題無しなんてラベルを貼り付けた。
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