第8回 菅受ワンドロワンライ「アイドル/デートなんだ、邪魔すんな」じわり、首筋に汗が伝う。ギラギラと刺すような陽射しとうだるよう暑さに辟易しながらも、菅原はどうにか待ち合わせ場所に辿り着いた。及川と合流したら、喫茶店にでも入ってちょっと休憩させてもらおうと考えながら周囲を見渡す。待ち合わせ場所はショッピングモールの中庭。夏休みというだけあって、平日でも人が多い。こりゃお互い見つけるの大変かな、と一瞬不安になったが杞憂に終わる。
中庭の隅にあるベンチ。日陰になったその場所に数人の女の子がたむろしている。どうやらベンチに座った誰かを囲んでいるようで、その人物を中心にキャイキャイとお喋りに花を咲かせている。
もしや、と思い菅原がベンチに近くと、女の子たちの隙間から見覚えのある鳶色の髪が見えた。及川である。
1963