御貫穿 昼下がりの庭園。紫外線アレルギーの主は木陰に座り、なるべく陽射しを避けながら、ガゼボで日陰浴をしていた。スケッチしていた手を止め、少し考えるように耳のピアスを弄る。
主は、ピアス穴が多い。首上のピアスホールは12ヶ所だ。それでもまだ足りない、と云う。飽きたのか、主はスケッチを投げ出し、アモンを呼ぶ。
「アモン、お口あーん」
「んぁ、なんっひゅは?」
ぱかぁ、と開けたアモンの口の中に主は親指を突っ込む。残りの4本と掌で顎を支え、舌を捏ねる。
「ひゃ、るひ…はまぁ…」
舌裏を撫でられ、ピアスをグリグリと弄られ、アモンの瞳は少し濡れた。
「舌ピいいなー。べろチューきもちーんだって。私も開けようかな?」
「は、ぁ…ひゃっへ、ふぁ…」
「何?滑舌悪くてわかんないよ」
反対の手で主は耳を撫で始める。だめだ、逃げなくては、と思うアモンを横目に、主は楽しげだった。
「ひぁ、は……るひ、はぁ…ぅっ」
無理だ、と感じる。足が戦慄く。舌と耳を緩やかに愛撫され、背筋がゾクゾクとする。
そんな時頃、庭園をルカスが横切った。
「あ、ルカス!」
パッと手を離し主はルカスに駆け寄る。
「丁度良かった、注射針頂戴?」
「何に使うのかな?」
「ピアッシング。アモンの舌ピ、いいなーって思って。」
「それで、アモンくんで遊んでいたのかな?」
「可愛いでしょ、トロ顔しちゃって。無防備だよねー」
じゃ、先に医務室行っとくね、と主は手をヒラヒラとさせた。
ルカスはへたり込んだアモンに声をかける。
「アモンくん、大丈夫かい?」
「…俺、もう、おムコに行けないっす…」
膝を抱えて丸まるアモンに、ルカスは苦笑するのであった。
END 2023.09.30