オピスができた日 これは俺がまだガキだった頃のこと。
「……よし、これで起動だな」
家の外は危険ばかりだと親に言われ、家の中でしか過ごすことが出来なかった俺は、親父の部屋にある工具や部品で機械を作ることが好きだった。
今までは親父が趣味で集めた本に載ってるものを真似して作ることしかしてこなかったが、今回は俺が一から設計図を書いて作った、俺のオリジナルの機械。
少し難しかったけどAIも組み込んである。こいつが自分の意志を持って動いて、学んで、壊れるまで俺と一緒に暮らしていくんだ。
こいつはただの機械じゃない。
「……pP」
「動いた!俺の事見えてる?俺はメニ!お前を作ったんだ!お前は俺の友達で、俺の一番の相棒だ!」
俺は興奮した。できたばかりで理解に苦しむこいつを置いて、一人で語りかけていた。
「そしてお前は超高性能メンダコ型AIなんだ!最新の技術だって盛り込んである、そこら辺のロボットなんか屁でもねえんだぞ!どうだ?すごいか?すごいだろ!」
「Prr?」
「お前は……そうだ、名前を決めないとな。なんか図鑑とかあったかな」
親父の本棚には機械に関する本から昔の人が書いた本まで、色んな本が沢山並んでいる。
「あった、色んな生き物の図鑑。メンダコ探すぞ!初めてのきょーどーさぎょー?ってやつだ!」
「Ppr!」
今思えば二人で探さなくたっていいくらいのことだが、すぐにでもこいつと何かしたかったのだろう。索引から探せばいいものを、一ページずつめくって、サメは強くてかっこいいだの、カジキは泳ぎが早いだの言いながら探していた。
「いたぞ!メンダコ!なんかすげー長い学名だな、オピスト……なんだ?」
ガキだった俺には、長い文字の羅列を読むのは難しかった。
「オピス……オピス……うん、いいかもな!オピス!なんかかっけえし!」
「pR?」
「今からお前の名前はオピスだ!よろしくな!オピス!」
「Pr!」
こうして、俺の一番の相棒で友達のオピスはできたのだった。