バカップルと追いスイーツ「ねぇあんた大丈夫? なんかぼーっとしてない?」
「……うんー? だいじょーぶだけどー?」
なのかの心配を星は否定してみせたが、その返答がすでに間延びしていて微塵も大丈夫そうではない。これは今日の依頼は中止だなと、なのかは依頼人であり目下の案内人であるサンポへと声を掛けた。
「ごめん、なんか星が調子悪いみたいだから依頼はまた今度――」
その言葉に、少し先を歩いていたサンポがこちらへ戻ってきた。てっきりニ、三言やりとりして解散になるだろうと思っていたなのかには一瞥もくれず、星の前に立つ。そのままごく自然な動作で星の顔に手を添えてそっと上向かせたかと思うと、こつん、と額同士を触れ合わせた。
「えっ」
思わず漏れたなのかの声に二人からのリアクションはない。
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