お前なんか大っ嫌いだ「まーたお前か、ギャビン。」
不良少年に呆れつつも楽しそうに笑う彼が好きだった。
「喧嘩はバレねぇようにするんだよ!ちっとは学習しろ!」
警官のくせに自分を庇って怒ってくれる彼が好きだった。
「男前になったな!顔の傷は男の勲章だぜ?」
どんなに忙しくても病院まで駆け付けてくれる優しい彼が好きだった。
「あの不良少年が警官か…世も末だな!まぁ宜しく頼む!」
肩を組んで同僚に紹介してくれる世話好きな彼が好きだった。
そんな彼から笑顔がなくなった。この世に絶望し毎日酒に浸り死を望むようになった。堕ちてゆく彼を必死に引き止めようとした。縋る想いで昔の様に悪態をついてみた。少しでも彼の感情が戻ることに賭けて。虚ろな目をしながらも僅かに反応してくれた彼に安心した。だから悪態をつき続けた。同時に周りからの評価はどんどん悪くなっていったが、彼から死を遠ざける為ならそんなことどうでもよかった。
2000