ふる、と小竜は思わず肩を震わせた。今夜はずいぶん冷える。
同室相手はいまだ帰らず、おかげで彼の持ち物である火鉢には火を入れられずにいた。勝手に使ったとてそれを咎めるような男ではないが、小竜は彼ほど上手に使ってやれる自信もないのだ。焚火台やトーチなら他の誰よりも上手く使ってやれるが、生憎本丸の居室内では使ってやれない。
明日は揃って非番だから今夜は共に夜更かしでもしようか、と言い出したのは彼の方だった。とっておきの酒を開けると言うから、小竜は肴を用意した。けれど、出陣が長引いてしまっているらしく予定を過ぎても彼が帰って来ない。連絡は逐一取れていて、回り道しているだけで部隊に大きな負傷などあるわけではないと聞いている。だからこの本丸の主も、他の皆も、小竜も、いつも通り過ごしながらただ無事の帰りを待つばかりだ。
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