消灯前、2人だけの秘密の時間午後11時、消灯――――――
ここ山王工業高校のバスケ部寮では、朝練を万全な状態で挑む為に午後11時には消灯を義務付けられている。
1年生は部活後から夕飯、風呂、課題のタイムスケジュールを上手くこなせず、真っ暗闇の中にデスクライトで終わっていない課題や明日の準備をこなして慌てて寝る生徒も多いが、3年生にもなると10時にはほぼ全員が明日の準備までをこなし、ベッドの上で寝る前のストレッチをする生徒も多い。
特に松本はタイムスケジュール管理が上手く、『しっかり者』の印象を誰もが持っている。
……が故に、少々面倒くさい事を押し付けられる男でもある。というのがバスケ部全体からの印象であった。
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「松本さん…!助けてください!!!」
午後10時半頃、松本と田中の部屋のドアがドンドンと打ちつけられる。
ストレッチをしていた松本と、学習机に向かい予習をしていた田中は顔を見合わせた。
「松本さぁん…!お願いします…ッ、俺、このままじゃ数学のミニテスト0点になっちゃいます!河田さんに逆エビ固めされて腹からポッキリ折れるかも!!」
しくしくと泣き声が聞こえ出し、松本はハァーと深いため息をついた。
「…田中、悪いが…」
「はは、全然気にしないでよ。俺イチノん所行くわ」
「本当にすまん……」
「松本が一番頼れるからでしょ。可愛いやつじゃん」
田中が予習していた教科書とノートをトートバッグに入れ、部屋のドアを開けた。松本と同室である3年生の田中はバスケ部ではBチームにすら入らない男だが、優しく年下にも人気のある男だ。
「ほら沢北、泣いてないで部屋入りな。俺はイチノの所に行くから」
「!!、田中さんあざス!!毎回すみません!!」
「イチノの同室の佐藤が入院中で助かったな。佐藤にも心の中で感謝しとけよ」
「ハイ!!佐藤先輩もあざス!!!」
田中は笑いながら沢北の肩をポンと叩き、ちゃんと勉強しろよ〜と言って一之倉の部屋の方へ歩いて行った。
「沢北…、消灯になるから早く入れ」
「松本さん!すみません、ありがとうございます!」
開いているドアから沢北へ手招きすれば、嬉しそうに目を輝かせて部屋へ入ったかと思えば、クルッと後ろを向き静かに鍵を捻った。ガチャ。
「…松本さん…♡やっと2人きりになれましたね…♡」
こちらを向いた沢北は先程の柴犬のような可愛らしい顔ではなく、狼?ライオン?虎?のような猛獣の顔をしており松本は頭を抱えた。
この時点でお気付きだろうが、実は2人はこっっっそり付き合っているのである!(ドンッ)
◆◆
付き合ったのは2人がまだ一つ下の学年だった頃の冬。
沢北はこれまで普通に女性が好きであったし、松本の事は“良い先輩”としか思っていたなかった。しかし雪をまつ毛に乗せ、鼻や頬・耳を真っ赤にして、若干上目遣いで、マフラーに口をうずめ「さわきた…」と名を呼ばれた瞬間に落雷にあったかと思う程の衝撃を食らった。
何?松本さんこんな可愛かったっけ?てか俺より背小さいし(※3cmだけ)、いや顔は整ってるけど“可愛い”より“綺麗”だよな、いやいや男に綺麗とか普通思わねーよな……等思い始めたら留まる事はなく逆に松本への熱が燃え上がってしまい、この三日後には「好きです!!!」と打ち明けていたのだった。
松本も松本で、バスケが日本一上手いうえに自分によく懐いている後輩はとても可愛いもので。
よく抱きついて来るけどこれは“先輩”として懐いてくれているだけであってLIKEの感情だよな、でも俺の所に来る確率多いよな、いや後輩の行動を確率で考える俺ちょっとキモいよな、いやでも……等悶々としていた為、即OKした。寧ろ喜びは松本の方が大きかったのかもしれない。とてもお似合い(バカ)カップルなのだ。
しかし弊害はたくさん有り、そもそも学年も違えば部活はハード、授業や実習の課題も多く、なかなか2人で会う事もない。そこで沢北から提案されたのが、この消灯前の時間を利用する事だった。
佐藤は骨折で長期入院、一之倉と田中は趣味が合うらしく、しかも同じ委員会で仲が良い。この事実に気付いた時、沢北のIQは999999999…あったそう。(自称)
そういう流れでこの秘密の逢瀬は始まったのである。
◆◆
「、ン、さわ、…♡、待て、お前数学、…ッ♡」
「まだいいでしょ後で。それより消灯まで30分もないからこっちに集中してくださいよぉ…♡」
沢北は松本用である2段ベッドの下に押し倒し、すかさずベロを捩じ込んだ。松本は口の中が弱く、上顎をベロでなぞるたけで腰がピクッと浮く。その隙間に手を差し込み、背中側から胸にかけてゆっくり移動させる。
「は、あ、……ッ♡、胸、好きだよな、お前…♡」
「うん♡松本さんの乳首薄ピンクでめちゃくちゃ可愛い。何でこんな他の男と全然違うんだろ…?♡」
服を捲りあげると小さめの乳首がツン!と主張しており、沢北はふと笑みがこぼれる。最初は全く反応しなかったここも、今では乳首に直接触れなくてもこうやって反応をしてくれるまでになった。
「じゃ、隣に聞こえるとマズいから。ハイ、口開けてね」
「……悪趣味だよな、お前…」
「いっせきにちょーってやつでしょ。ほら」
捲り上げた服の端を松本に噛ませる。
これで声はくぐもって大きくならないし、常に胸を触れる。やはり沢北のIQは実は高いのかもしれない。
「下も脱がすよ……、はは、勃ちすぎてパンツ降ろせないじゃん。助平だなぁ」
寝巻きにしているジャージのゴムの部分が勃起したチンコに引っかかたが、無理矢理そのまま下に降ろした。平均より少し大きいであろう松本のソレがブルンッッと大きく動き、「、ふ、♡♡」とくぐもった声が漏れた。
まぁ沢北のお目当てはそこではなく、もっと奥。
ズボンを膝まで降ろし(何かあった時にすぐ対応できるように松本から口酸っぱく言われている)、チンコをなぞり手を奥まで進めると、指先がヌルッと濡れる感触があった。
「…準備してくれたんスね…、可愛い…♡」
「ン♡…ム、は、あく……、♡」
「うん、指入れますね……」
濡れているソコに指をつぷりと入れる。ソコは温かくキュン♡キュン♡と指を締付ける。沢北は無意識に自分の唇をペロッと舐めた。
「…ッ♡ふ♡、ン♡、ン〜ッ♡」
「はぁ、可愛い♡ここですよね、ここ…♡」
「ッッッ!!♡♡♡♡♡、ふ、〜ッ、♡、ンッ!♡♡」
沢北はチラッと時計を見る。10時50分。後10分で田中さんが帰って来る。それ迄に挿入れたい。できれば出したい。換気もしたい。クソ〜ッ!!!
「松本さん、後10分。挿入れていい?」
「、あろ、じゅふんで、おわんのかよ…」
「無理かも、でももう俺が無理っス」
バキバキに勃起したチンコにゴムを被せ、松本のアナルに当てる。ひくひくと動くアナルを見て、またチンコが少し大きくなった気がした。
いざ挿入!となった瞬間、部屋のドアがドンドンッ!となり、2人ともガチンッと固まった。
「、は、はい……?」
「あ、松本?田中だけど、今日ちょっとイチノの所で寝るわ!話盛り上がっちゃって」
「え、あ、分かった!、おやすみ…!」
「おやすみ〜!」
足音が遠ざかり、遠くでバタンと扉を閉める音がした。恐らく一之倉の部屋のドアだろう。
お互い目が合う。バクンバクンとお互いの心音が聞こえそうなほど脈打ち、冷や汗がドッと流れた。危なかった、危なかったけど、、、え。これって朝まで一緒ってこと…?
そこまで考えが至った沢北は、挿入途中だったチンコを少し奥に進める。萎えてない、良かった。
「、さわきた……♡」
先程田中に返事をした際に服を口から為、ハッキリとした声が聞こえる。沢北は無意識に松本にキスをしていた。
「ン♡、はぁ♡、松本さん……ッ♡」
「、はぁ、沢北…やっと、朝まで一緒に居れるな…♡」
少し唇が離れた際に言われた言葉が、沢北の全身を駆け巡る。今度は落雷というよりは甘い痺れのようで。
そんな様子に気付くも、ほんの悪戯心から沢北の頭を両手で抱き寄せ、松本自らキスをした。
「、ン、ふ…ッ♡、はぁ…大きくなった……」
「、こ、この……ッ!」
「、んぁッ♡、は、やば…ッ♡♡、気持ち、い♡」
「服、噛んでくださいよ、加減できないんで…ッ!」
「は、んッ♡、ゔっ♡、ふっ♡、う♡、」
この日は大層盛り上がり、計3回はゴムを切った。
2人とも寝不足で朝練を何とかこなすも、沢北の数学ミニテストは3点(/10点)だったし、結局河田に逆エビ固めもされた。松本も授業中ウトウトしてしまい、何度も教師から名指しされてしまった。
それでも2人とも、また今日の消灯時間までの逢瀬の事を考えドキドキしてしまうのであった……。