Piece of cakeカーテンから覗く朝の日差しが清々しく、心地の良い朝だった。
彰人が体を起こして思い切り伸びをすると、「んん……」と隣から小さく聞こえてくる。声をかけてもそこから返事はなく、そっと目元にかかる長めの前髪をよけてみたけれど、長い睫毛の下にアイスグレーは隠されたまま。まだ夢の中にいるのだろうことは容易にわかった。
(ってやべ、ちょっと目元腫させてっかも……)
昨日は少し無理をさせてしまったから、起きるまでもう少し時間がかかりそうだ。普段は彰人よりも早く起きて、彰人としてはなにやら小難しいように感じる本を読んでいたり、コーヒーをいれてくれていたり(そろそろ起きると思った、などと言いながらほわりと微笑むのがたまらない)……とまあ、その辺りについてはとにかく腹立たしいほど隙のない男なので、たまにはこういう日がないとバランスが取れない。
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