牽制 アルカソーダラ族の依頼の報告をしていたルガディンのリンクシェルに通信が入る。報告を手早く済ませ、出てみると聞き慣れたヴィエラの声がした。用事を尋ねると特に、とこともなげに返される。
「リムロミって今から来れる?」
唐突に何だと思いながら了承すると、少しの間を置いて彼女が言う。
「今ちょっとそこでねぇ、ナンパされてるんだけど」
二人がかりでねぇ、と呑気に続けた彼女に溜息を吐く。心配そうに近付いてきたアルカソーダラ族に掌と笑顔を向け、大丈夫だと示した。
「エタバンリング見せて威嚇しようかと思ったけど、そういうので納得しなさそうな子達でさぁ……」
その外見や格好で1人で歩いていると致し方ないことだと思いながら、彼はちょっと待ってろ、と返す。
「今から知り合いの……ヒーラーの巨乳のルガディンが来ると伝えて貰っていいか?」
一呼吸置いて彼女が吹き出したのが聞こえた。巨乳を強調しておいてくれ、と釘を刺す彼にちょっと待って、と笑い混じりに彼女が返す。急に通信を始めて笑い出した彼女を前にナンパしてきた野郎共も困惑しているだろうな、と思いながら彼女が落ち着くのを待った。彼女が落ち着き、リンクシェル越しに何かを伝えているのを聞きながら、海都へのテレポ詠唱を始めた。