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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    10/01は眼鏡の日だそうで申し訳程度の眼鏡が出てくる🦍と🐇さんのお話

    #ディンエラ

    眼精疲労 自室のドアを閉じ、少し無理しすぎたなとルガディンは充血した眼を閉じる。焦点などを定める必要もなくなりじわりと熱を帯びた目元が淡い暗闇に包まれた。深く息を吐いて、こういう時は温めて血行を良くすべきなんだろうが、などと考える。のたうち回る程の痛みでもなく、ジリジリとウルダハの熱波に灼かれるような痛みが続いていた。しばらく休んでエーテルが回復すれば治るため、温めたタオルなど用意する気力もなければ必要性もない。そのまま腰を下ろしていたベッドへ後ろ向きに倒れ込んだ。そのまま仰向けで休んでいるとお邪魔しま〜す、と軽やかな声と共にドアが開く音がする。施錠しておくのを忘れた、と考えている間に、声の主であるヴィエラがてくてくとこちらに歩み寄ってくる気配がして身体を起こした。
    「何かあったか?」
    「別に〜」
     ぽふりと横に腰を下ろしてきて、こちらを見つめてこられる。あ!と声を上げて身を乗り出してくる彼女に反射的に身を引いた。
    「また無茶したでしょ!」
     回復しきっていない瞳を眼鏡のレンズ越しに見られたのだろう、頬を膨らませて叱られた。微かに首を振って無茶はしてない、と返す。
    「少し無理しただけだ」
    「一緒!!」
     屁理屈!!と怒りのあまり文章にならないまま憤る彼女が学者のジョブクリスタルを手に取ろうとした。掌を重ね彼女を制するとじとりと上目遣いに睨みつけられる。
    「フィジクを使う程じゃない」
     少し目を閉じて休んでいれば治る、とゆっくり目を瞬かせた彼の手に彼女の指が絡められた。本当に邪魔しちゃってた?と小さく呟かれ、ゆっくり大きく首を振る。むう、と頬を膨らませた彼女が室内に配置されたシンクに気付き、ちょっと目瞑ってて、とベッドから離れた。鞄から柔らかそうな布を取り出しシンクで濡らし始めた彼女に何をされるか予想が付き、彼は目を閉じる。寝っ転がって〜、と足音と共に近付いてくる声に従い、先程のように横たわった。ひやり、と水で濡らされた布が目元に載せられ微かに肩が跳ねる。礼を述べるとお大事に、と返ってきて、目元の布の上から柔らかく圧力がかけられた。微かに暗さを増した視界で彼女が布の上に掌を重ねている情景が頭をよぎる。ぎしりと微かにベッドが軋み、僅かな傾きから隣に彼女が腰を下ろしたのだろうと考えた。と、その瞬間唇に柔らかなものが押し当てられてくる。初めてではない感触に反射的に身体が強張る。
    「エーテル、お裾分け」
     少しの間押し当てられていたであろう彼女の唇はそう呟いてから悪戯っぽく弧を描いているのだろう。微かに目元から引いた熱が移ったかのように火照った頬を隠すように自身の掌で覆うと、お見通しだよと言わんばかりに彼女は小さく笑った。
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    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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    「買うの?」
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