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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    手合わせするオルしる

    #オルしる

    手合わせの話 久しぶりに訪れたキャンプ・ドラゴンヘッドの駐在兵達は相変わらず温かくヴィエラを迎えてくれた。その中の一人が恐れ多いのですが、と前置きして手合わせを求めてくる。曰く、多くの蛮神や帝国兵との戦闘を乗り越えた彼女の戦いから多くが学べると考えた、とのことだった。人の役に立てるなら、と軽い気持ちで了承し、魔法と剣技の両方を見せられる赤魔道士での手合わせを提案する。感激したように礼を繰り返す兵に笑って応える。

     お互い本気ではないとはいえ、勝負は呆気なく決まる。威嚇程度の魔法で怯み、それでも逃げることなく此方に向けられた剣を躱して翻弄していく。流石です、と息を切らしながら満足そうに呟いた兵に何か学べた事があると良いのだけれど、と返すと力強く頷かれた。
    「とてもいい経験になりました、多忙なのにありがとうございます!!」
     疲労も蓄積しているだろうに、綺麗にお辞儀され思わずこちらもお辞儀し返してしまう。試合が終わるのを待っていたように俺も私も、と迫ってくる兵達に圧倒されていると、
    「随分と楽しそうな事をしているな」
     凛としたどこか楽しそうな声が響いた。

     声のした方を一同が振り返ると腕を組んだオルシュファンが微笑んでいた。一斉に顔色を変えた兵達が姿勢を正す。
    「冒険者殿はお疲れだろうから、あまり無理を言わない方が良いだろう」
     此方に歩みを進めながら優しく諫めるような声で彼は言った。先程までの賑やかしさはどこへ行ったのか、真剣な表情と声で兵達は答える。ヴィエラの前で歩みを止めたオルシュファンはまじまじと彼女を見つめ、首を傾げた。
    「レイピアも使えるのか……?」
     小さく呟かれた彼の言葉を聞き逃さず、頷いて彼女は赤魔法も使えますが、と悪戯っぽくウインクして返した。

     兵達に所定の配置に戻るよう伝え、人払いを済ませた後に興味深そうにオルシュファンは尋ねてくる。
    「私の記憶が確かなら、弓を使っていた気がするのだが……」
     頷いて応え、吟遊詩人へと変わり弓を構える。おお、と嬉しそうに目を細めて彼も頷いた。
    「鋭く相手を射抜くその眼光……イイ!」
     聞き慣れたはずの褒め言葉に少し気恥ずかしくなり、再度赤魔道士に戻った。視線を自分の腰に下げられた武器から此方の様子を伺うように移したオルシュファンと目が合う。
    「……もしよろしければ、手合わせを」
     彼の視線にもしやと思い提案してみると、一気に目を輝かせた彼が是非、と力強く返してきた。

     恐らく本気ではないのだろうが、上手く此方の攻撃を躱し懐に入り込んできては距離を取る彼に翻弄される。結果を決める審判も設けていなかったので肩で息をするヴィエラを見て、ここまでにしようと提案してきたのは涼しい顔をしたオルシュファンだった。勝つつもりもなかったがその顔がどこか憎らしく、少し悔しくくそぅ、とヴィエラが口走る。
    「踊り子なら負ける気しなかったのになぁ」
     踊り子?と興味深そうに繰り返した彼に、一番扱い慣れた武器と動き慣れた装備をお披露目する。数回目を瞬かせた彼が緩やかに首を振りこちらに背を向けたのを見て、あれ、と首を傾げた。いつもなら「優雅に武器を構える姿、実にイイ!!」とか言うのに、と少し困惑しながらどこか残念に思う。

     と、ふわりと肩を温かいものが包んだ。首周りを覆う厚手で肌触りの良い上着から視線を上に向けると、予想以上に近い距離のオルシュファンの顔があった。
    「……その格好は、その、些か破壊力が凄い」
    思わず面食らって何も言えずにいると、肩を落とし溜息を吐いた彼が小さく呟いた。
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    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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