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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    ベーカリーの🦍と🐇さんのお話

    ##ディンエラ

    麵麭 意気揚々とトングとトレーに手を伸ばしたヴィエラが嬉しそうに店内を見渡す。グリダニアの一角、こぢんまりとしたベーカリーへ彼女に続いてルガディンは身を屈め入った。店内中を占める香ばしい匂いを、彼女は深呼吸をして胸一杯に吸い込んだ。
    「あー……いい香り……」
     うっとりと微笑んだ彼女の視線が所狭しと並べられたパンに移る。忙しない彼女から店内に彼が視線を向けると、硝子越しに厨房が見えた。小柄なララフェルがちょこまかと動き回り、パンの生地を捏ねたり焼き上がりを確認している。その身体でこれだけの量を、と感心していると彼女に服の裾を引っ張られた。ねぇねぇ、と並んだパンを凝視しながら彼女が小声で尋ねてくる。
    「チョコとマーマレード、どっちが好き?」
     限局された質問だなと苦笑しながら彼女の視線を辿る。ふかふかとしたチョコパンとマーマレードを包んだパンが並んでいた。
    「このマーマレード、リムロミのオレンジを使ってるんだって。気にならない?」
    「それは気になるが、買うならチョコだな」
     柑橘類のアルベド特有の渋みや苦味を思い出しながらそう答えると、そっか、と呟きながらひょいひょいと両方トレーに運んでいく。質問の意味を問いたくなりながら、柔らかなパンが載ったトレーに手を伸ばした。
    「持とう」
     お節介だと言われるかもしれないが、つい手が出てしまう。言い訳のように大量に買うだろうから、と付け足すと彼女は特に気にしてないようで、バレたか、と悪戯っぽく笑われた。

     あ、これ好き、と彼女が呟きながらコーンが大量に載せられたパンの前で足を止める。確かにいつも食べてるな、とその隣に並び真剣な表情で彼は並んだパンを見つめる。
    「……これとか、」
     具が沢山載ってるんじゃないか、と吟味したパンを指差した彼に微かに口角を上げ、じゃあそれにしよっかな、と彼女は腕を伸ばした。
    「絶対溢すだろうけど」
     ぼそりと囁いた彼にうるさい、と唇を尖らせた彼女に否定はしないんだな、と笑う。
    「じゃあこれディンのにして、同じの買うからどっちのが溢すか勝負する?」
    「いや俺はこっちのベーコンエピがいい」
     彼の間髪入れない返答に彼女は唇を尖らせた。
    「折角なら、違う種類の方が分けられていいだろう?」
     彼の一言にうぐ、と言葉に詰まり、大人しくベーコンエピの選別に移った彼女に彼が苦笑する。違うのでもいいが、と声をかけた彼に、好きなんでしょ?これにしよーよ、と彼女が笑いかけた。

    「食パンは何枚切りが好き?」
     丁寧にラッピングされた一斤の食パンを睨みながら、彼女が尋ねてきた。薄切り、と返すと彼女は嘘、と目を見開く。
    「厚切りにバター染み染みが美味しいのに……!?」
    「口の中の水分が持っていかれるだろう」
    「それはいい食パン食べてないからだよ!」
     決めた!明日はこれでトーストする!と意気込んで厚切りの食パンに手を伸ばした彼女にトレーを差し出しながら、彼が口を開く。
    「でも、連れて行ってもらった喫茶店のトーストとかを食べると、厚切りのトーストの良さもわかる気がする」
     でしょう!と嬉しそうに耳を揺らした彼女に店や品質だけの問題ではないと思ったが、口にはしなかった。卵とベーコン焼いて、サラダも作って、デザートにはフルーツヨーグルトでおうちモーニングだ!と明日の朝食のメニューを楽しそうに考えながら店内を歩く彼女の後に続く。

     会計前に並べられた焼き菓子コーナーで彼女が歩みを止めるのは自然な流れだし、それを止めたり諌めたりする事もなく彼は見守っていた。森で採れた果実のジャムや木の実、蜂蜜を用いられた素朴な焼き菓子がこれまた可愛らしくラッピングされて並んでいた。自分だと一口で食べてしまいそうだ、と思いながら彼女に視線を移す。カロリーだのを考慮しているのか、真剣な表情の彼女がトングをカチカチと鳴らし考え込んでいた。
    「これとこれと……これか?」
     何点か指差して確認してみると数回目を瞬かせた彼女が不思議そうにこちらを見上げてくる。なんで?と呟いた彼女に図星かと口角を上げ、ピックアップした商品を眺める。なるほどバターやナッツ類で確かにサイズに比べ摂取カロリーは多そうだ。しかしその3点まで絞ったものの、全部美味しそうで悩むといったところか。
    「全部買えばいいだろう」
     2人で分ければそんなに腹具合も気にしなくていい。そう言いながらトレーの上に焼き菓子を摘み上げていった。それはそうだけど、と耳を垂らした彼女に厨房を示して続ける。
    「それに、今まさに焼き立てが出てくるぞ」
     先程厨房で焼き上げられていたマドレーヌが
    香ばしい匂いと熱気と共に並べられる。うぁあ、と悶えた彼女が焼きたてのマドレーヌをトレーに載せるのを待ち、レジへと向かった。

     レジ横で店主こだわりのコーヒーのテイクアウトあります!と書かれたポップが貼られていた。会計時、それに気付いた彼女が2人分追加で注文するのを彼は袋に詰められたパンを受け取りながら微笑ましく眺めていた。
    「知ってたの?」
    「何がだ」
     両手で大事そうにコーヒーが入った容器を持った彼女がこれ、と容器を少し掲げる。あぁ、と納得したように彼が頷くと、いつの間に、と彼女は目を瞬かせた。
    「店内に幾つかお手製のポップがあっただろう?」
    「気付かなかった……」
     だろうな、と彼女の返答に彼は楽しそうに口角を上げる。
    「パンに夢中のご様子だったからな」
     彼の軽口に頬を膨らませた彼女から視線を上げると、どんぐり遊園が目に入った。その片隅に設置されたベンチを指差し、彼が休憩を促す。
    「丁度焼き立てのマドレーヌも堪能できるだろうし」
     大量のパンを抱えた彼がベンチに近付き、その座面を軽く手で擦った。軽くはたいた手でベンチを示した彼にありがと、と声をかけて彼女は腰を下ろす。隣に彼が腰を下ろしたのを確認して、コーヒーを一口含んだ。口内に広がる香りと風味に頬を緩めた彼女が飲みやすいよ、と彼に伝える。外観に似合わず既にミルクと砂糖を加えてもらっているコーヒーを飲んでいた彼が笑って頷いた。冷めない内に、とマドレーヌを差し出してきた彼にねぇ、と声をかける。
    「酸味とか苦味控えめで美味しいよ、ここの」
     差し出してきた彼女の分を受け取り、恐る恐るとでも表現したくなるように一口味見をした彼は確かに、と口角を上げた。もう一口飲んでもいいよ、とマドレーヌの包装を解きつつ、彼女が呟く。お言葉に甘えて、ともう一口を堪能する彼の横で、彼女がんん!と声を上げた。
    「美味いか?」
    「うん!」
     その表情から味を確認した彼に彼女は更に頬を緩め、何度もこくこくと頷く。半分に割ったマドレーヌを差し出してきた彼女に頬を緩めながら、入れ替わりになるよう彼女のコーヒーを差し出した。
    「……うん、美味いな」
     これなら砂糖も何もいらなかったな、と呟いた彼に彼女は笑いかける。
    「また食べに行こうよ」
     一緒に。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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    mitotte_kazu

    PAST🐈🐇🐑🦍が美味しいものを食べるだけの話
    会食 立て続けの依頼を終え、ようやく一息つけるとヴィエラは適当に目についた店に入った。食事時から外れた時間帯もあって、まばらに空いた座席に腰を下ろす。そのまま倒れ込みそうなのを堪えてメニューを開いた。季節限定などのメニューも魅力的だったが定番で当たり外れのない、無難なものを選んで注文する。こんな疲れた時に、そういうメニューでハズレを引きたくないという打算だったが、他のテーブルに目を向けてみるとそうでもない気がしてきた。それでも穏やかな店員の対応に少し癒され、メニューを眺めながら頼んだ品が来るのを待つ。少しの時間を置いて、飲み物と共に運ばれてきたパンを齧る。さっくり焼き上げられた表面ともちもちした食感が楽しく、口の中に小麦の甘さとバターの風味が広がった。好きなやつ、と思いながらパンを頬張る。サラダとかスープも頼めばよかったかな、と思いつつ空腹も少し落ち着き、店内を見渡した。インテリアなどにも拘られており、居心地は良い。テーブルや椅子の高さも種族ごとの配慮もされていた。もしや割と良い出会いなのでは、と皿に載っているもう一つのパンを齧りつつ、頬を緩めた。
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