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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    引越しにて今は亡き場所となった🐇さんこだわりハウジングのお話。

    #ディンエラ

    空間 ヴィエラに呼び出され彼女の家を訪問したルガディンを出迎えたのは唐突な抱擁だった。腰に回された細くしなやかな腕と押し付けられた柔らかな胸の感触からあえて意識を逸らし、何があったのか彼女に尋ねる。
    「特に何も」
     こちらの胸元に思い切り押し付けられていた顔を上げ、彼女は短く答えた。その表情や声色は思っていたよりも明るく、安心しながらそうかと彼女の頭を撫でる。数回瞬きしてから綻んだ表情で彼女はもう一度力強く抱き付いてくる。何事かと思ったがとりあえず自身の掌にすっぽりと収まる彼女の後頭部を撫で続けた。

     あ、そうだといきなりこちらを見上げてきたヴィエラが見て見てとルガディンの腕を引いて地下へと駆けて行く。急になんだと思いながらも特に抵抗はせず、彼女に導かれるまま階下へ向かっていく。
    「じゃーん!皆の寛ぎスペース!!」
     すごいでしょうと言わんばかりに豊満な胸を張って、誇らしげに彼女が両手を広げた。地下のスペースは丁寧に仕切られて談話室や寝室が設けられていた。どこか見覚えのあるものや友人の好みを網羅した家具が考え抜かれて配置されており、思わず感嘆した。
    「すごいな」
     嬉しそうに頬を緩めた彼女から再度視線を室内に向ける。
     本棚にはそれぞれの好みに合わせた本が並べられており、暖炉が暖かくその空間を照らしていた。用意されたソファは広く、全員が座っても余裕がありそうだった。憩いの場だな、と小さく独りごちたルガディンにふふん、とヴィエラはまた胸を張った。寝室を臨む窓には採光にも気が遣われていた。その前に設置された机に用意された人数分のジョッキを手に取る。
    「本当はここにお酒とか用意しときたかったんだけど…」
    「俺の秘蔵のを幾つか持って来よう」
    いいのがなくて、と頬を掻いた彼女にそう返すといいの、と目を見開かれる。
     何があったか、と顎に手を添え思い出していたルガディンに本当にいいの、とヴィエラは尋ねてきた。

    「どうせ勿体無くて腐らせかけてたものだ、ここで皆で呑んだ方がずっといい」
     彼女の頭を軽く叩いて誂えられたベッドに向き直る。二段ベッドの上にはぬいぐるみなどが添えられており、彼女に視線を向けると無言で頷かれた。暫く2人で黙り込み見つめ合い、吹き出した。
    「誰用か、すぐに判った」
     ふかふかと手触りの良いぬいぐるみを撫で笑った彼に、彼女が切り出す。
    「二段ベッド、もう一個置こうかと思ってたんだけど下でいいよね?」
     準備が追い付かなくて、と苦笑したヴィエラに床でもいい、と掌を見せてルガディンは笑う。丁度置かれた見覚えのあるソファを叩き、何ならこれでも寝られるだろう、と腰を下ろした。
    「じゃあこれ私用にしよっと」
     鼻歌混じりで設置した広々としたベッドに彼女が横たわる。何か言いたげな彼の視線に気付かないまま彼女が跳ね起きる。
    「まだ見所はあるからね!」
     お風呂場とかもあるんだから、と座った彼の手を軽やかかつ強引に引く彼女に小さく溜息を吐いて、彼は立ち上がった。
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    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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