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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    🐈🐇🐑🦍が美味しいものを食べるだけの話

    会食 立て続けの依頼を終え、ようやく一息つけるとヴィエラは適当に目についた店に入った。食事時から外れた時間帯もあって、まばらに空いた座席に腰を下ろす。そのまま倒れ込みそうなのを堪えてメニューを開いた。季節限定などのメニューも魅力的だったが定番で当たり外れのない、無難なものを選んで注文する。こんな疲れた時に、そういうメニューでハズレを引きたくないという打算だったが、他のテーブルに目を向けてみるとそうでもない気がしてきた。それでも穏やかな店員の対応に少し癒され、メニューを眺めながら頼んだ品が来るのを待つ。少しの時間を置いて、飲み物と共に運ばれてきたパンを齧る。さっくり焼き上げられた表面ともちもちした食感が楽しく、口の中に小麦の甘さとバターの風味が広がった。好きなやつ、と思いながらパンを頬張る。サラダとかスープも頼めばよかったかな、と思いつつ空腹も少し落ち着き、店内を見渡した。インテリアなどにも拘られており、居心地は良い。テーブルや椅子の高さも種族ごとの配慮もされていた。もしや割と良い出会いなのでは、と皿に載っているもう一つのパンを齧りつつ、頬を緩めた。
    「お待たせしました」
     ふわりと香ばしい湯気を纏い、卓上に注文の品が届く。
    「マルガリータです」
     ざくざくと手慣れたように店員が切り分け、会釈をして席を離れた。鮮やかなトマトソースにチーズとバジルが部分的に散りばめられているそれに手を伸ばす。焼き立ての生地は温かく、ソースなどで柔らかくへたった部分を慌ててフォークで支え、口に運んだ。
    「ん!」
     先程のパンと同じ生地を使っているのか、周囲は軽い口当たりに焼き上がりつつももっちりとしたピザクラフトの上のソースは新鮮なトマトの風味が広がっていた。うま、と思わずまじまじとピザを見つめてしまう。嚥下を終え、また口に運ぶ。空腹だったのもあって、自分が思っていたよりも早く食べ終えた彼女は名残惜しそうに唇を尖らせた。

     数日後。ヒューランのダンジョン探索に付き合っていたヴィエラの提案で、件の店に再度向かうことになった。やった!と胸の前で拳を握る彼女にミコッテが首を傾げる。
    「そんなに?」
    「そんなに!」
     め〜っちゃ美味しいんだよ!と両手を広げ目を輝かせる彼女にミコッテもほほう、と目を輝かせた。その様子を眺めていたヒューランも楽しみだなぁ、と頬を緩める。一人気まずそうに数歩遅れて着いてくるルガディンにも楽しみだねぇ、と彼女が声をかけた。そうだな、と彼が頷くと丹精な顔立ちのヒューランの表情が更に綻ぶ。
    「着いたよ!!」
     つられて頬を緩めた彼を含めた皆が店に視線を向けた。扉の横に設置された黒板へとミコッテが注目する。
    「ジェラート……」
     美味しそうな料理名が並ぶ中、ぽつりと彼女が読み上げた単語に女子達が反応した。
    「何それ食べたい……!!」
    「10種類から選べるって!季節限定フレーバーもあるって!!」
     看板の前ではしゃぐ彼女達を微笑ましく眺めていたルガディンが扉へと近付く。ドアノブに手を伸ばし、開いた扉の中へ誘うようにもう片方の手を動かす。一度瞬きしてからお互いの顔を合わせ、苦笑しながら女子達が店内へ足早へ歩みを進めた。

    「このピザとパンは絶対頼んで!!」
    「サラダ何にしよっか?」
    「アヒージョ美味そうだな」
    「ジェラートめちゃくちゃ種類あるぅ……!!」
     メニューを開き各々が食欲の赴くまま呟いてから、一度顔を合わせて笑う。サラダとアヒージョとパンと、とメニューに指と目を走らせながらヴィエラが内容を確認する。決定したので店員にそれを伝え、待ちながら他の料理も確認する。
    「前来た時、何食べたの?」
     届けられた冷水を皆の前に配りながらミコッテが尋ねると、ヴィエラがピザとパン、と答えた。
    「これこれ。さっき頼んだやつ」
     メニューを指差し、美味しかったから是非食べて欲しかったんだよねぇ、と嬉しそうに頬を緩める。楽しみ、と耳を揺らしながらミコッテも彼女につられて笑った。話題のパンがオリーブオイルと共に運ばれてくる。店員に礼を述べ、それぞれパンに手を伸ばした。それぞれがパンを口に運び、一口頬張る。
    「ん!!」
     綺麗に声を揃えた女性陣に彼が苦笑する。
    「めちゃめちゃ美味しい……!」
    「もちもちだねぇ……!」
    「でしょお!」
     口々に感想を述べながらパンを堪能する彼女達に口角を上げた彼が続いた。反応を伺うような女性陣の視線に応じるように素早く咀嚼を終え、美味い、と短く答える。
    「これね、このオリーブオイルも美味しいの!!」
     付けて付けて、と瓶を差し出してくるヴィエラに倣い、オイルを垂らしたパンを一口齧ると口内にオリーブの風味が広がった。
     美味しい美味しいとパンを頬張る一同の前に出来立てのアヒージョが届けられる。ピチピチと音を立てる熱々のオリーブオイルの中で海老などの具材が揺蕩っていた。ふぉお、と歓声を上げる女性陣の前に、静かに喉を鳴らしたルガディンが皿を配る。キノコキノコ、エビほしい、と口々にはしゃいでいたヒューランやミコッテが目当ての具材を口に運び、んんん、と声を漏らす。
    「これは美味いでしょ」
     添えてあったカリカリに焼かれたバゲットに底に沈澱していたオリーブオイルの染みたガーリックをオイルと共に載せながら、ヴィエラは頬を緩めた。いただきます、と改めて声を上げて同じタイミングで口に運ぶ。
    「知ってた……!」
    「あー……!もちもちもいいけどカリカリも好きだぁ……!」
    「これこのもちもちパンにさぁ……じゅわじゅわのしみしみでさぁ……!美味くないはずないじゃんん……ッ!!」
     口々に感想を述べた皆が美味しさに悶えながらまたバゲットやパンに手を伸ばした。
    「もいっこ食べていい?」
     目を輝かせ耳と尻尾をぱたぱた揺らしたミコッテに一同はどうぞと快諾する。私も、と遠慮がちに手を伸ばして最後の一つだと気付いたヒューランの動きが止まった。のを確認したルガディンとヴィエラは打ち合わせでもしたかのように最後一つのパンが入った籠を差し出してくる。
    「いいのぉ……!?」
     二人の顔を交互に見ながら尋ねたヒューランに無言で頷いて応えて、また頼めばいいからなと、ぼそりと彼が呟いた。すかさずシーザーサラダを片手に到着した店員へ、ヴィエラが追加のパンを注文する。ナイスタイミングぅ……と圧倒されているヒューランに、再度パンが差し出された。もふもふと美味しそうにパンやアヒージョを堪能する姿をルガディンとヴィエラは微笑ましく眺めていた。

     2人が名残惜しそうに咀嚼している横で、ヴィエラがサラダを取り分け、ルガディンが皿を配る。
    「はい」
     最後1人分、野菜が多めに残されたサラダボウルをルガディンにヴィエラが差し出してきた。苦笑しながら受け取った彼が余った一枚の皿を横目で見てからフォークを手に取った。半熟の卵が酸味のあるドレッシングと一緒に絡んだ野菜を頬張る。アヒージョで温められた口内に新鮮で瑞々しいレタスやラディッシュなどの食感が嬉しく、一同は頬を緩めた。
    「シーザーサラダは鉄板だよね…」
     ヴィエラの呟きに、クルトンを齧りながらミコッテがコクコクと頷く。さくさくと食べ終えた皿を食卓の脇に積み、満足気に頬を緩めたヒューランが美味しかったねぇ、と溜息を吐いた。
    「まだピザとデザートがあるからね!」
     間髪入れず弾んだ声のヴィエラに、ミコッテがまた目を輝かせる。むふふ、と笑った彼女がメニューに手を伸ばした。
    「あのパンの美味しさなら、絶対ピザも最高だよねぇ」
     ページを捲り、記載されたピザの種類を眺める彼女の横からヒューランも興味深そうに覗き込んでくる。2人して美味しそー、と目を輝かせていると、温かなマルガリータが運ばれてきた。店員により綺麗に8等分された1ピースを手早く各自で取り分け、改めていただきます、と口を開けた。これこれ、とヴィエラは緩んだ頬を空いた手で軽く押さえた。その横で伸びるチーズにんんん!とミコッテは耳を立て、ルガディンは口元を押さえている。おいしーねぇ!!
    と嬉しそうにヒューランの表情が綻んだ。
    「トマトソースが濃いねぇ……!!」
     噛み締めるような彼女の呟きに一同は力強く頷く。加熱すると旨味成分が増すからな、とトマトに関する雑学を呟いたルガディンにへぇ、と納得しながらもピザを食べる手と口は止まらなかった。

     頬を緩めながら全てを胃に納め、どこか名残惜しそうなミコッテとヒューランにさて、とヴィエラがメニューを開き差し出してくる。
    「何味にされますか?」
     片目を瞑った彼女が示すページにはジェラートの種類が並んで記載されていた。ミルクやフルーツ等をふんだんに使用しているようで、並んだ十何種類の品目に女性陣は目を輝かせる。
    「期間限定のやつ、気になるぅ……」
    「やっぱ定番のバニラ……ミルク……いやプレミアムバニラとかあるのぉ……!?」
    「紅茶にバタークッキー入れるのずるすぎん!?絶対美味しいやつ!!」
     メニューを選んでいるだけでも楽しそうな女性陣を頬杖をつきルガディンは眺めていた。果物だけでも複数ある品目に目を走らせ、口々に述べられる彼女達の所感だけでもジェラートの魅力がありありと伝わってくる。
    「ディンはどうする?」
     身を乗り出しメニューから覗くヴィエラの瞳に首を傾げて答えた。2種類を選びきれず迷っている女性陣に意見を求めると、期間限定と定番のもので迷っているようだった。なるほど、と頷いているとヒューランがメニューを差し出してくる。
    「とりあえず……皆が気になってるプレミアムバニラは頼むから、そこから好きなだけ食べてくれたらいい」
     メニュー端に親切に用意されている多目に盛り付けるルガディンサイズの説明を指差し、そう伝えると女性陣が目を瞬かせた。嫌じゃなければ、と添えると目を輝かせた女性陣が私これとこれ!じゃあ私こっち!と次々メニューを指差していく。
    「いいの?」
    「俺も気になるからな、プレミアムバニラ」
     遠慮がちに確認して来たヒューランに笑って頷き、もう一種類はライムを使用したものを頼んでもらうよう伝えた。本当好きだねぇ、と苦笑したヴィエラにつられて苦笑していると、ミコッテが美味しいの?とメニューを睨み付ける。
    「苦味と酸味があって美味そうだったからな。食後の口直しにも最適かと思って」
     気になるなら味見するか?と提案すると3人揃って力強く頷かれた。

     しばらくして注文していたジェラートがこんもりと盛られた器がトントントンと女性陣の前に並べられる。フレーバー名に合わせて手を挙げていく彼女達の前に涼しげな容器が並んだ後、一応の確認の後一回り以上の大きさの器がルガディンの前に置かれた。届いたジェラートに歓声を上げていた彼女達が数回目を瞬かせ、彼とルガディンサイズの器を交互に眺める。
    「溶けない内にどうぞ」
     客の反応を見慣れているのであろう店員はにこやかに退散し、4人はスプーンに手を伸ばした。
    「うわ〜……!濃厚……ッ!!」
    「紅茶の風味が……!クッキーも美味しぃ……!!」
    「果汁たっぷりだこれぇ……!!」
     悶えつつも口々に感想を述べる女性陣に苦笑しながら、ルガディンも自分の分を口に運ぶ。ひやりと冷たく滑らかな口当たりの後、プレミアムと形容するだけあって芳醇なバニラの香りが口に広がった。こういうのに詳しくはないが彼女達の反応も含めて美味いものなんだろうな、と噛み締めながらまた次を口に運ぶ。その内女性陣の視線を感じ、彼は悪かったと自分の器を差し出した。倍以上よそわれたジェラートを遠慮なくたっぷり掬い上げたミコッテとヴィエラが目を輝かせながらプレミアムバニラを頬張る。
    「!!んん〜!!」
    「おいしぃ〜……!!」
     口の中に広がる風味に頬を緩めながら悶える2人の横で、おいしいねぇ!と弾んだ声でヒューランが感想を述べてきた。無言で器を差し出してきた彼と器を交互に見つめる彼女におかわりどうぞ、と彼が短く返す。
    「同じ味ばかりだと飽きるし、溶けない内に食べきりたいからな」
     いいの?と見上げてくる彼女に苦笑しつつ、協力してくれ、と彼は更に器を差し出した。私達のも食べていいからね!と自分の分を差し出す彼女達に逡巡した彼の更に前に器が差し出されてくる。
    「間接キスが気になるなら、私直々にあーんしたげようか?」
     ふっくらとした自身の唇に冷えたスプーンを添えながらヴィエラが尋ねてきた瞬間、悪いないただきます、と彼が素早くミコッテの器のジェラートを少し掬って口に運んだ。一度見開いた目を細め、美味いなと呟いた彼にだよね!とミコッテの表情が輝く。
    「こっちも美味しいよ〜!期間限定のりんごのやつ!」
     頬を緩ませたヒューランが差し出してきた容器のジェラートを掬い上げ、口に運んだ。すりおろしたものと細かく刻まれた果実が混じった、爽やかな林檎の風味が舌の上に広がる。じんわりと噛み締めているとあっさりしてて美味しいよねぇと笑いかけられた。微笑んで頷き返すともう一口いいよ!とまた器を差し出され、苦笑しながらジェラートに匙を伸ばす。

     それぞれ好きな味を好きなタイミングで食べて食べさせあって、満足しながら四人は店を後にした。
    「ピザ、他の種類も気になるね」
    「あのパンお土産に買えるんだって!今日売り切れてたけど……」
    「ジェラート全制覇したい〜……!」
     口々に感想を話し合う女性陣を数歩後ろから眺めつつ、ルガディンは微かに口角を上げる。また来ようね、と胸元で拳を握っていた三人が彼に振り返り、また予定合わせて!と念を押してきた。数回目を瞬かせた後、彼は苦笑しながら頷いて同意した。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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    mitotte_kazu

    PAST🐈🐇🐑🦍が美味しいものを食べるだけの話
    会食 立て続けの依頼を終え、ようやく一息つけるとヴィエラは適当に目についた店に入った。食事時から外れた時間帯もあって、まばらに空いた座席に腰を下ろす。そのまま倒れ込みそうなのを堪えてメニューを開いた。季節限定などのメニューも魅力的だったが定番で当たり外れのない、無難なものを選んで注文する。こんな疲れた時に、そういうメニューでハズレを引きたくないという打算だったが、他のテーブルに目を向けてみるとそうでもない気がしてきた。それでも穏やかな店員の対応に少し癒され、メニューを眺めながら頼んだ品が来るのを待つ。少しの時間を置いて、飲み物と共に運ばれてきたパンを齧る。さっくり焼き上げられた表面ともちもちした食感が楽しく、口の中に小麦の甘さとバターの風味が広がった。好きなやつ、と思いながらパンを頬張る。サラダとかスープも頼めばよかったかな、と思いつつ空腹も少し落ち着き、店内を見渡した。インテリアなどにも拘られており、居心地は良い。テーブルや椅子の高さも種族ごとの配慮もされていた。もしや割と良い出会いなのでは、と皿に載っているもう一つのパンを齧りつつ、頬を緩めた。
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