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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    いい夫婦の日なのでそれっぽいオルシュファンと🐇

    #オルしる

    手料理の話 マーケットを歩いている時だった。そこの兎のお姉さん、と声をかけられたヴィエラがそちらに視線を向ける。気さくそうなララフェルの店主がヒラヒラと手を振っていた。歩み寄ってみると海産物が並べられていた。
    「もう店じまいしようと思ってね。そんなタイミングで見慣れない種族のお姉さんが通りがかったから、つい声かけちゃった」
     安くしておくよ、と柔和な笑みを浮かべた店主に釣られて頬が緩んでしまう。イシュガルドの民にしては気さくだな、と思いつつ魚介類を品定めしていく。どれも新鮮そうで捌いただけでも食べられそうだな、と少し考え込んでいると、店主がこれとかオススメだよ、と貝類を示した。
    「良い出汁が出るから、こんな寒い日にスープにすると最高だよ」
     商売上手だなぁ、と苦笑しながらヴィエラが何点か注文すると大幅におまけされる。
    「こんなに?」
    「荷物になるからね。いくらこの気温とは言え、ウルダハまでは傷まず持ち帰れないからさ」
     店主の出所を知り、なるほどと勝手に納得しているが儲けにはならないだろう。そんな懸念が表情に出ていたのか、店主が無邪気に笑う。
    「帰る前に折角なんで趣味の釣りでもして帰るか、と思ったらこれが大漁でね。餌代分は還ってきてるから、赤字にはならないよ」
     そう言われたら、と甘える事にした。

    「ウルダハに来た時にはまた寄ってよ!」
     またサービスするからね、と見送ってくれた店主に手を振って、予想以上の荷物を抱えてヴィエラはフォルタン邸へと向かう。出迎えてくれたメイド達は大量の魚介類に歓声を上げた。釣ってきたのかと興奮気味に確認してきたメイドにマーケットで安かったから、と笑って返す。
    「エプロンってある?」
     嬉々としてキッチンまで運んでいくメイドに、髪を纏めながら声をかけると、ありますよ、と答えられる。借りてもよいかと確認すると、快く了承された。
    「キッチンも使っていい?」
     おずおずと切り出してみると、メイド達がざわつきだした。客人をキッチンに立たせるなんて、とどよめくメイド達に、エプロンを身に付けたヴィエラが微笑みかける。
    「ちょっと、この貝とか使って作りたいものがあって……」
     ダメかな、と上目遣いで尋ねてきた彼女にメイド達がダメじゃないです、と即答した。メイド達の了承も得たので、軽い足取りでキッチンまで向かう。その後ろから彼女が言う使いたい材料━━貝類を運び入れたメイドが手際良く砂抜きを行う。邪魔をしないよう退室したメイドに礼を述べ、砂抜きが終わるまでの間に他の食材の下ごしらえを進めていった。くつくつと煮込まれていく鍋の中身をお玉で掬い上げ、少し味見する。店主が言った通り良い出汁が出て、満足いく出来栄えとなった。

    「……イイ匂いだな」
     帰宅したオルシュファンの鼻をどこか嗅ぎ慣れた香りがくすぐった。シチューのような、それでいて少し違うような香りが何なのか考えながら外套に付いた雪を払う。
    「おかえりなさい!」
     エプロンを纏ったヴィエラが駆け寄ってきて、外套を受け取る。
    「雪降ってたんだ。外、寒かったでしょ?」
     鼻赤くなってる、と心配そうな彼女にその格好は、と彼は目を丸くした。この格好?と視線を落とした彼女が思い出したかのように手を叩く。
    「クラムチャウダー!作ったんだ!」
     食べて食べてと腕を引く彼女に導かれ、席に着く。暫くして温かな湯気を纏った器が、ヴィエラの手で運ばれてきた。いただきます、と丁寧に手を合わせ、スプーンでクラムチャウダーを掬う。少し息を吹きかけ口に運ぶと、ふわりと温かく優しい風味が広がった。
    「美味しいな」
     溜息と共に感想を述べたオルシュファンに、彼女が照れ臭そうに笑う。対面に腰を下ろし、頬杖をついた彼女が嬉しそうに頬を緩めた。
    「まだいっぱいあるからね」
     おかわり欲しかったら言ってね、と添えた彼女に彼が吹き出す。不思議そうに首を傾げた彼女にいや、と彼は頬を緩め口を開く。その格好といい、この掛け合いといい、
    「まるで夫婦みたいだと、思ってな」 
     真っ直ぐこちらを見つめてきた彼が視界に捉えたのは、真っ赤に頬を染めた彼女だった。
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    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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