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    outa_sn

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    outa_sn

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    ゆり組幼児化パロ。
    巻き込まれるメンバーたちの話。

    #nmmn
    #yrgm
    #雪男
    snowman

    事実は小説よりも奇なり目が醒めたら、虫になっていた。
    なんて話、昔聞いたことがあったっけ。
    確か阿部ちゃんが「それは『 』だよ」って言ってたような。なんだっけ。
    いや、今はそんな事言ってる場合じゃない。



    AM5:30


    たった今目が覚めて、見慣れた天井がやたら高くて、なんならベッドも広くて。
    なんだコレ?って隣を見たら、いつもの後頭部が見えて。
    その後頭部に手を伸ばそうとした時の違和感たるや。
    手が、小さい?
    ガバっと布団から出て驚愕した。
    着ていた服が大きくて、すぐ目の前に足先が見えて。
    え、何コレ?パニックパニック
    慌てる俺に、隣で寝ていたやつがモゾモゾと動く。

    「んぅ… しょぉたぁ…?」

    目を擦りながら起き上がる姿は紛れもない恋人の姿。
    なのだが。

    「りょおた…?」

    目の前の涼太も、俺と同じ幼児になっていた。


    「…しょおた…?えっ?しょお、た、なの…?」
    「うん、しょーた…。りょーた…?なんでぇ??」

    2人とも顔をペタペタ触り合って首を傾げる。

    「「なんでおれたちちいさくなってるの??」」



    とりあえず2人では埒があかない。
    メンバーに相談しよう、という結論に至ってすぐに岩本にメールを送る。

    『きんきゅうじたい りょうたのいえにいますぐしゅうごう!』

    正直この小さな体ではスマホが大きすぎて持てない上に小さな手で文字を打つのもしんどい。
    何をするにも不便すぎる。
    とりあえず2人でなんとかベッドから降りてリビングに移動する。

    ソファーに座るのも一苦労だった。

    「なんさいぐらいかな…」
    「ようちえんぐらい?ねんしょうさんぐらい、とか?」
    「ちいさいしょうたひさしぶり」
    「ちいさいりょうたもひさしぶり」

    くふくふ2人で笑ってる場合じゃないけど懐かしさに笑みが溢れた。

    しばらくするとピンポーンとインターフォンが鳴った。
    ソファーから降りてインターフォンを確認しようとして絶望する。
    あんなに高い位置にあったっけ?
    確認しようにも出来ないことに気づいて
    『かぎあいてるからはいってきて』とだけメールを打った。

    すぐにガチャリという音がして玄関先からバタバタと足音がした。

    「翔太、舘さん、緊急事態って何?」
    「どうしたどうした!?何事!?」
    「翔太、舘様に何があった!?」
    「ゆり組の危機ー!?」
    「だてぇ!!しょっぴー!どうしたん!?」

    次々聞こえてくる声に2人は驚く。

    「え?しょーた、ひかうにれんらくしたんじゃないの?」
    「え?めーる、おくった……わるい、ぐるーぷのほうにおくっちゃった…」
    「…こういうときつめがあまいよねしょーた」



    血相抱えてリビングのドアが開く。


    1番前にいた岩本がドアを開けたまま固まると後ろにいた深澤、佐久間、阿部、向井が次々と背中に衝突していく。

    「いだっ!急に止まるなよ!」
    「に"ゃっ!!なになになに!?ひかる??」
    「2人とも大丈夫?康二も大丈夫?」
    「心配あらへんよ、あべちゃん。照兄どうしたん?」


    わらわらと岩本の隙間から覗こうとして背を屈めたり背伸びしたりしてリビングを見遣ると、そこにはちょこんとした幼児が2人。
    手を握って、こちらをちょっと怯えて見ていた。


    「「「「「……え……?」」」」」


    一旦、間を置いて、その数秒後部屋が揺れたんじゃないかってぐらい大声が響いた。
    そのままみんな固まってしまった。
    確実に苦情くるコレ。
    なんて冷静に考えてるとピンクの頭が近づいてくる。
    ビクッと2人身構えると、いつものへにゃっとした笑顔。

    「怖くないよ、大丈夫。翔太と涼太でしょ、わかるよ」

    しゃがんで目線を合わせてくれる。
    みんな次々にしゃがんでくれて、みんなを見回す。

    「ね、怖くないよ〜」

    ニコッと笑う深澤に安堵の息を漏らす。


    「ねね、どうしてこんな小さくなっちゃったの?」
    阿部の問いに渡辺は頭を振る。
    「…わかんない」
    そう言って俯いてしまった渡辺の手をぎゅっと宮舘は握る。

    「きのう、ふたりでかえってきて、ごはんたべて、おふろはいってねるまでふつうだった」

    宮舘は顔を上げて阿部の目を見つめた。

    「…っ、待って、無理、そんな目で見つめないで!!ハイトーンボイス可愛い!!ゆり組尊い!!」
    「あべべが壊れた」
    「ダメだ、阿部じゃ話が進まない。舘さん…いや、宮ちゃん、もっと詳しく教えてくれる?」


    とりあえず昨日の経緯を詳しく説明した。
    舌足らずな幼児の発言でもみんなゆっくり聞いてくれた。

    「がくやをでてみんなとわかれるまではいっしょだったよね」
    「そうだね、かわったようすもなかったし」
    「だよね、みんなでワイワイしてそのまま楽屋後にしたもんなぁ」
    「ご飯は?変わったモノ食べたとか?」
    「ごはんはりょーたがつくったのたべたからへんなのはない」
    「そのときもふつうだった」
    「ん〜、なんやろ、なんでしょっぴーとだてだけこんな小さなってもーたんやろ?」
    「可愛いねぇ〜」
    「あべちゃん話聞いてる?」
    「聞いてる、なんなら録音してる」
    「おまわりさんこの人です〜」
    「ハイハイ、話戻すよ。それで、その後は?」
    とりあえず阿部の腕を拘束した佐久間を横目に深澤は話を進める。

    「そのあとはふたりでおふろはいって」
    「2人でお風呂!?」
    「しょーた!!」
    「あ、やべ」
    「もー、そういうのいいから次、次」
    「おふろあがって、そして…、あ」
    「あ、」

    2人とも顔を見合わせて寝室にパタパタと駆けていく。

    「え?何?何?」

    廊下に出ると足早に戻ってきた2人の手にはペットボトル。


    「「これ、のんだ」」


    無色透明ではたから見たらラベルレスの水のよう。

    「「きのう、がくやにおいてあったやつ」」


    2人の発言に、全員が昨日の楽屋を思い出す。
    確か、長テーブルの上にはお茶や水、様々なペットボトルやケータリングが置いてあった。

    「でも、それって誰かが手に取るかなんてわからないじゃん?」
    「たまたま取ったとして翔太と舘さんがピンポイントで当たることある?」
    「誰にでも該当することだったんじゃない?」
    「え、俺ら狙われてんの?怖っ!」
    「てかそのペットボトル置いたの誰よ?スタッフと違うん?」
    次々と昨日のことを話しだすと、2人はうーん、と唸る。

    「え?どうかした?」

    訝しむ2人の顔を覗き込むように深澤が問う。

     
    「…そふぁーのとこ」

    宮舘と渡辺は互いに見つめ合ってゆっくり話し出す。

    「ん?」
    「おれとりょーた、そふぁーにいた」
    「そこのてーぶるに、このぺっとぼとるおいてあった」

    渡辺と宮舘がいたソファー、そこには小さなテーブルも置いてあり、ペットボトルも数本乗っていたようだった。


    「おかしもおいてあったけどたべなかったよね」
    「そのまえにおべんとうたべたからおなかいっぱいだったもんね」

    やはりそのペットボトルの中身が俄然怪しくなってきた。

    「えっ、でも誰が用意したかわからないのマジで怖くない?」
    「そのソファーに座るのが翔太と舘さんってわかってて置いた、とか?」
    「ピンポイントで狙われてるやん!」
    「いやでもさくまもきたよね?」
    「俺?」
    「そうそう、なんか…『こないだのらじおが〜』って、きたよね?」
    「あー、行った行った!そんでちょっと話したらスタッフに呼ばれてそっち行ったんだわ」

    徐々に思い出される記憶。
    ケホン、と咳き込むと

    「あ、ごめんちょっと喉乾いたから飲ませてね」

    佐久間はカバンからペットボトルを取り出して飲み始める。

    と、途端に宮舘の顔が青くなった。

    「さくま、それのんじゃだめ!!」

    慌てた宮舘が佐久間の持つペットボトルを掴んだ。

    「うぇえ、涼太、急に何!?」

    口元からポタポタ垂れる水に安堵したようで宮舘はペットボトルを奪った。

    「さくま、きのうおれたちのまえのてーぶるからぺっとぼとるもっていった!これ、そうでしょ?」

    言われて、気づいた。
    スタッフに呼ばれた際、そのテーブルにあったペットボトルを持って出て行ったこと。
    ラベルレスのソレは無色透明で。


    「…やっべ、すっかり忘れてた…もし、飲んでたら俺も…?」
    「佐久間、【好奇心は猫をも殺す】からね。気をつけないとダメだよ」
    阿部にそう一瞥されしゅん、となった佐久間は小さくゴメン、と呟いて宮舘に向き直って「ありがとう」と言った。


    「とりあえず、そのペットボトルの中身が怪しいってことはわかった。危ないからコレは纏めて置いておこうな」
    岩本がそう言って手の届かない高い場所に纏めて置いておいた。

    「さて、この状況をどーするかねぇ?」
    メガネを外して深澤が呟く。
    「マネージャーになんて言おう?今日は2人ともオフやからよかったけど、明日以降のスケジュール困るよなぁ」
    「おれたち、もとにもどれるのかなぁ…」
    「しょーた…」

    ぎゅっと服の裾を握る渡辺の袖をぎゅっと掴む宮舘。
    すると、突然

    『きゅるるるる』

    という音が響き渡った。

    「…おなかすいたぁ」

    渡辺の一言で緊張感が一気に解けてしまった。

    「あさごはんまだたべてなかったね」

    宮舘もおなかすいたな、と呟く。

    2人でキッチンに駆けて行くと、思いの外冷蔵庫とシンクが高くて驚いたようだった。

    「ごはん…つくれない…」

    宮舘が絶望の色を隠せないでいると、ひょこっと向井が顔を覗かせた。

    「だてぇ、もしキッチン使わせてもらえるなら俺、朝ご飯作るで?」
    「…いいの?」

    途端にキラキラした笑顔を向ける宮舘に向井も微笑んで。

    「冷蔵庫なんでも使ってええ?美味しいもん作ったる!まぁ手の込んだモノ作れへんけど」
    「ありがとう、たすかる!れいぞうこのものはなんでもつかっていいよ」
    「ほな、2人はあっち行って待っとき!」

    冷蔵庫とにらめっこして、向井は卵とウインナーを取り出して手際よく料理し始めた。


    「2人ともおいで」
    「その服、なんとかしないとだよね」
    「小さい服なんてないもんなぁ…」
    「ダボダボの服じゃ危ないからウエストのとこ紐で結んでおくのは?」
    「あ、そうしよ」
    「もう少し時間過ぎたら服買いに行かないとね」
    「うん、ありがとう」


    そんな会話を繰り広げていると阿部が1人渋い顔をしていた。

    「あべちゃん、なんでそんな顔してるの?」
    「んん…ちょっと…2人とも…」
    「?なぁに?あべちゃん」
    「あべ、どーしたの?」

    2人とも首をちょこんと傾げて上目遣いで阿部を見つめる。

    「うわぁ〜!!ゆり組可愛い〜!!」

    ガバっと両手で2人を抱きしめると後ろから悲鳴が上がる。

    「阿部ズルい!俺だってギューしたいのに!」
    「うわ、さすが阿部ちゃんだわ」
    「阿部ちゃんそれズルいぞ!!佐久間さんもギューする!!」

    見兼ねた佐久間が阿部ごと2人を抱きしめてぎゅむぎゅむと頭を振る。
    可愛いの大渋滞。

    「くーるーしーいー!!」
    「はーなーせーよぉー!!」


    口ではそんなことを言う渡辺と宮舘だが、きゃはきゃはと楽しそうな声を上げる。

    キッチンからは美味しそうな匂いがして、渡辺が動きを止める。

    「ご飯出来たで〜。しょっぴーにだてさん、手ェ洗って」
    「「はーい」」

    洗面所に走るも、蛇口まで遠く届かないのに気づく。
    「ひかぅー」
    「ふっかー」
    同時に呼ばれて2人は洗面所へ行くと、渡辺と宮舘が両手を上げて待っていた。

    「「だっこ!!」」

    あまりの可愛いさに一瞬クラリときたが、岩本が宮舘を、深澤が渡辺をそれぞれ両脇を抱えて抱き上げる。ポンプを押して泡を出して手を洗う。
    小さい手を泡まみれにして小さい2人はキャッキャと笑う。
    子供がいたらこんな感じなのかな、なんて考えて思わず笑みが溢れた。

    すっかり泡も消えて綺麗になった手を確認してゆっくり降ろすと、2人はまたパタパタと廊下を駆けてリビングに消えた。

    「…ヤバいね、めちゃくちゃ可愛いわ」
    「わかる、めっちゃ今父性出てた」
    「それな」


    リビングではテーブルの上に朝ご飯が用意されていた。
    ホカホカのオムライスとスープ。それと牛乳。

    「「わぁ〜!!」」

    目をキラキラさせて座ると横からケチャップを持った佐久間がいた。
    可愛いネコちゃんを描いたあと

    「美味しくなぁれ⭐︎萌え萌えキュン♡」

    と唱えて両手でハートを作るってみせた。
     
    「おい、ソレ幼児にやるなよ」
    「需要ないからね」
    「いいの!佐久間さんのおまじないなの!!」

    わぁわぁ言い合ってる最中、お腹の空いてる2人は両手を合わせた。


    「「いただきまーす!!」」
    「召し上がれ〜」

    はぐはぐとスプーンを片手に元気よく食べ始める2人。

    「オムライス、そんなに食べる機会無い言うてたから作ってみたけど、どう?」

    「「おいひい!!」」

    はふはふ言いながらニコニコ笑顔で答えてくれるのが嬉しくて、向井は「せや」とカバンからカメラを取り出してシャッターを切った。

    「可愛い姿撮らんと!」
    「ねぇ、もうさっきから阿部こっちで無言で動画回してて怖いんだけど」
    「ゆり組ガチ勢怖いわぁ〜」


    食べながら、宮舘は思い出したかのように話し出した。

    「ねぇ、めぐろとらうーるは?」
    「目黒はドラマ撮影、ラウールは一限あるから学校。あとで2人にも説明する…けど、2人の現状、写真送ってもいいかな?」
    「ん、だいじょーぶ。おくってて」

    そう言って渡辺と宮舘はスプーンを持ったままピースしてみせた。
    思わぬシャッターチャンスに深澤は慌ててスマホを翳すとまた2人はきゃはきゃは笑った。



    「でも記憶残っててよかったよね」
    「記憶まで幼児に戻ってたら俺らのこと憶えてないもんな」
    「それだけはよかったっておもってる」
    「きおくなかったらりょーたとふたり、しらないばしょでどうしようもなくなってたとおもう…そうかんがえるとこわいな…」
    「今まさにアレじゃん、【体は子供、頭脳は大人】のやつじゃん!」


    不謹慎だけど、思わずみんな「すげー!!」「ほんとだ!」と盛り上がってしまった。


    「ねぇ、そういえば、しょーたがぐるーぷにめーるおくったのになんでこのごにんできたの?」


    グループメールに送ったとして、来るにしたら時間はバラバラなはず。
    疑問に思った宮舘は思ったことを口にしただけだったが、5人とも目を合わせた。


    「あー…俺はふっかと一緒に居たから…メール見て、慌ててふっか起こして」
    「いっしょにいたんだ?」
    「え、照、ふっかと一緒居たの!?」
    「…うん、まぁ。で、既読ついたらすぐ阿部から電話かかってきて『照、コレどういうこと?俺も舘様の家行こうと思う』って言われて。それならふっか連れて家まで迎えに行くから待っててって阿部の家行ったら佐久間も居て」
    「…あべのいえに?」
    「え?佐久間、阿部ちゃんの家にお泊まりしてたの?」
    「まぁ、佐久間、昨日俺の家に居たから」
    「あべちゃんのいえにさくまいたの?え?なんで?」

    渡辺の突然の問いに佐久間は固まる。
    固まったままの佐久間の耳はみるみる赤くなって。
     

    「…まぁ、その話は置いといて、舘さんの家に向かう途中に康二から連絡きて、拾って来たって感じ」


    「そっかぁ…みんな、ありがとうね」
    「まちがえてめーるおくってごめん。でもみんなありがと」
    「そら、緊急事態なんて言われたらみんな慌てるもんなぁ。とりあえず事態がわかって、安心やんな。…いや、安心やないんやけど!めめも心配してたからなぁ」
    「めぐろが?なんでこーじがしってるの?」
    「へっ?えっ?いや、心配するやろ」
    「じゃなくて、なんでめめがでてくるの?」
    「あーーー…」

    言葉に詰まり向井が墓穴掘った、と漏らす。

    「昨日、めめと一緒に居ったんよ。で、朝にしょっぴーからメールきて2人で見てびっくりしたから」

    そう言う向井はモゴモゴと口籠もってしまった。


    昨日は岩本は深澤と、阿部は佐久間と、向井は目黒と、それぞれ過ごしていたことがわかった。
    まぁ、仲の良いグループだし、仕事が終わって誰と過ごそうが勝手だからそこまで突っ込まないけど。
    …俺たちだってそうだし、と渡辺は隣に座る宮舘を見た。


    * * *


    「「ごちそうさまでした」」
    「お粗末さんでした!」

    両手を合わせてペコリと頭を下げて食器を重ね運ぼうとする2人の手から向井はするりと取り上げてシンクへ向かう。

    「片付けも大丈夫やで、任せてや」
    「さっき康二ご飯作ってくれたからね、食器は俺が洗うよ」

    腕まくりした阿部がスポンジを持ってスタンバイしていた。

    「ありがとう」
    「ありあと!」


    にこーっと笑ってそう2人に告げるとリビングにいる岩本と深澤と佐久間の方に駆けて行った。



    「あ、ラウからメールだ。『一限終わったら舘さんの家に行くね。必要なモノあったら言ってね、買って行くから』だって。どーする?もう服頼んじゃおうか?」
    「サイズ…どのぐらいかな?」
    「多分…兄ちゃんとこの子と変わらないぐらいだから、このサイズかな?」
    「じゃあラウールに見繕ってもらってお願いしよ」

    子供服のサイズとさっき撮った小さい2人のご飯食べてピースしてる姿を一緒に添付してラウールに送ると速攻で電話が鳴る。


    「え?何何?何コレ??え、可愛いんだけど、しょっぴーと舘さん!?授業受けてる場合じゃなくない?」
    「ラウ、落ち着いて。いや可愛いのはわかるけど授業は受けような。で、服なんだけど」
    「任せて、可愛いのいっぱい買ってくから!」
    「え、そんなにいらない…」
    「かわいくなくていい…」
    「待って今可愛い声聞こえた!!待っててね〜!!」

    そう言って一方的に電話が切れる。


    「…まぁ、服は安心だな」
    「…ぎゃくにあんしんじゃないんだけど」
    「後は今日をどうするか、だな」
    「この後のみんなのスケジュールは?」
    「うっ…!悔しいけど俺この後クイズ番組の打ち合わせだ…!こんな可愛い子たち残して仕事なんか行けないよぉお!!」

    両手で顔を覆って阿部が叫ぶ。

    「あべ、こわい」
    「はい、阿部ちゃんは仕事行ってくださーい」
    「いってらっしゃい」
    「俺もラジオ収録ある〜!」
    「佐久間もいってら〜。照は?」
    「俺は午後からジム。康二は?」
    「残念やけどこの後リハあんねん…」
    「じゃあ俺が2人の見守り隊になるわ〜」

    深澤は手を上げてオフ宣言をする。

    「うわ、ずっる!!」
    「お前ソレ言いたいがために聞いたろ!」
    「いわふか夫婦にお任せあれ」
    「え、ふっかのこるのだいじょうぶ?」
    「おい、なんで俺が心配されてんだよ」
    「大丈夫、俺もいるから」
    「ひかうがいるならあんしん」
    「あんしん」
    「俺全く信用されてないじゃん」


    キャハっと笑う声がリビングに広がっていく。
    言葉や意思はちゃんと30歳のソレ。
    舌足らずな感じなのは仕方ない。
    でも時々現れる幼児特有の笑い声と走る様に少し違和感を覚える。
    このまま、幼児になってしまったら、と思った瞬間阿部の背中がゾクリとした。


    程なくして阿部と佐久間と向井は泣く泣く仕事に行くのに玄関へ足取り重く向かう。

    「うぅー…子供服着たゆり組の写真絶対送ってよ!絶対だからね!!」
    「えー…あべこわいからやだ」
    「だって。残念だね」
    「怖くないよ??むしろ送ってくれなかったら、わかるよね?」
    「そっちのが怖いよ!!」
    「仕事終わったらまた来るね!食べたいモノあったら言って、なんでも買ってくるわ!」
    「あ、佐久間チョコ買ってきて」
    「照じゃなくてさ。ま、買ってくるけど」
    「俺も、仕事終わったら来てもええ?」
    「いいよ」
    「ありがとう、ほないってきます」
    「「いってらっしゃい」」


    宮舘と渡辺は3人に向かって手を振ると、玄関先にも関わらずみんな崩れ落ちた。


    「かっっっっっわええ!!」
    「やっぱり置いて行くなんて無理ぃ」
    「待って、無理、しんどいぃぃ!!」
    「仕事行かない俺らもやられてるからね」
    「はい、バイバーイってもっかいしよ、そしたらドア閉めるからね」
    「深澤鬼かよ」


    玄関でわちゃわちゃした後、「またねー」と言ってドアを閉めた。


    現在8:50




     
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