ポッキーゲームしないにっぴき「ポッキーゲーム、って何?」
ロナルド君は不思議そうに聞き返した。流行に疎いのはわかるが、それを私やジョンに聞くのはなかなかに珍妙な状況と言えるだろう。ジョンとアイコンタクトを取る。
教える?
教えない方がいいヌ。
結論はすぐに出たのでロナルド君に向き直る。
「えー、ポッキーは知ってるよね?」
「お菓子の?」
「そう。あれを持って戦うのがポッキーゲームだよ」
「え……あんな細いので?」
「ほら、草相撲だってあんな柔い素材でやるだろう? 適してないからこそ面白いんじゃないかね?」
「草相撲! 学習帳とかのコラムで見たことある!」
何だか違うところでテンション上がってるな。あと草相撲やったことないのか。一般的に子供の頃やるものだと思ってたんだけど、いやまあ相手がいないとできないからねぇ……うむ。
「まあとにかくポッキーゲームもそんな感じで子どもの遊びなので外では話題に出さない方が良いと思うよ、あ、失敬、君は5歳だったから杞憂だったね」
「殺した」
正拳突きを食らって砂になるが想定内だ。これで満足したことだろう。さっきからかわれたことも忘れ、ジョンに勝負を挑む姿は本気で5歳児かなと思う。
とりあえず私の次の仕事はこの食いしん坊たちがポッキー各種を買い揃えて来ないよう、言い含めることのようだ。
「いいかい、買うなら一箱までだからね」
すぐさま元気の良い返事が二つ、返ってくる。そんな11月11日の何でもない日常である。