流れ星を手に入れた男アサオズと流れ星
オズは分厚い本のページを白い指で捲っていた。表紙には、タイトルと著者が金箔で刻まれている。
「星々のゆりかご 厶ル・ハート著」。
北の国の人々にとって、本は、そして読書は手の届かない高級な娯楽だった。だからオズの城にはそれらが山のように存在していた。うずたかく積まれた本は、己の脅威の表れでしかなかった。今では心の底から有り難みを感じられる。自分の隣に座って、本に齧り付いている小さな子供が、次から次へと嬉しそうに読み耽るからだ。
「オズさま!ありました!」
小さな子供──アーサーはオズよりずっと小さなやわらかい指で、ページの一点を指した。そこには「星の誕生」と綴られていた。この本の著者、ハート氏の観察によれば、星は爆発から生まれるという。オズによって読み上げられる星の始まりに、アーサーは大きな目を輝かせて夢中になった。
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