高らかに響くハッピーバースデーの歌。ゆらめくろうそくの光。子供たちが手作りしてくれた少し不格好なケーキ。なんて幸福な光景だろう。
ふーっ、とろうそくを吹き消すと、ミーティングルームの灯りがついて、パン!とクラッカーが弾ける。みんなが口々に誕生日おめでとうと祝ってくれた。
ひとしきりお祝いの言葉が終わると、各々なグラスを手に着席し、
「それじゃあみんな、準備はいい?……かんぱーい!」
オリオが温度を取ると、カチン、とグラスとグラスが小気味良い音を立てた。
「「「かんぱーい」」」
フリードはグラス──ではなく缶ビールをぐいと煽る。
「っぷはー!久しぶりのビールは格別だな!」
普段は船の操縦の関係で飲めない酒だが、フリードの為にと誕生日プレゼントの一環として数日港に停泊さる予定を立ててくれた。
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