No.4 朝食を食べるカイ三/ブロッコリーの花言葉 セミダブルのベッドの隅っこでゆるゆると瞼を持ち上げた時、かの人のために空けていたはずの空間はすっかり空になっていた。
もう何も心配することなどないはずなのに、習慣づいた思考の癖はなかなか消えないものらしい。ベッドに自分しかいないことを脳がはっきりと認識した瞬間、カイザーは勢いよく飛び起きた。
「センパイ!」
「わっ、どうしたの、カイザー君。そんなにあわてて」
寝室の扉を荒々しく開け放つと、隣室のキッチンで三春が目を丸くしているのが見えた。驚いてはいるものの呑気そのものの顔だ。その表情を見とめるとカイザーもようやっと肩の力が抜けた。当然ではあるが、無事らしい。自分の取り越し苦労が心底馬鹿らしく思えて、はあ、とため息を一つついて壁に寄りかかる。なんだか頭が少しくらくらする。寝起きに勢いよく動くものではない。
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