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    yahiro_69

    だらだららくがきおきば @yahiro_69

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    yahiro_69

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    朝チュンチュンぴーちくぱーちくぴよよよよの鍾タル
    急に始まって急に終わるけどごはんたべるのがメインです 粥っていうか雑炊

    ##原神
    #鍾タル
    zhongchi

    忙しなくピィピィとさえずる鳥の声に、『公子』タルタリヤは眉を寄せながらゆっくりと目を開いた。
    まだ少しぼんやりとした頭で辺りを見回せばそこは見慣れた自室ではなく。
    落ち着いた品のある調度品たちやふわりと優しく香る霓裳花の香に、ここが鍾離の部屋だということを思い出した。

    「(そういえば昨晩は先生の部屋でしようって言ったんだっけ)」

    承諾はされたものの、やや困ったような笑みを浮かべていたのを思い出した。
    日が昇ってからというもの鍾離の飼っている鳥が鳴き続けているが、愛らしいさえずりもここまで続くともはや騒音でしかない。
    だから普段外に宿を取るか『公子』に充てられた部屋でしか夜を過ごさなかったのかと今になってようやく理解をした。
    いやそういうことは先に言ってよ先生。

    「起きたか公子殿、ちょうど朝餉の粥ができたところだ」

    深く溜息をついたタルタリヤが声の方へ視線を上げると、にこやかに土鍋を持って歩いてくる鍾離と目があった。
    甘い香に混じって食欲をそそる卵粥の温かなまろい香りが漂ってくる。
    少々時間感覚がおかしく凝り性のあり舌も肥えたこの元魔神のことだから、きっとかなり手の込んだものなのだろう。
    期待と空腹に腹の虫が鳴くが、気だるい痛みに支配された足腰は役に立ちそうにない。

    「おはよう先生。頂きたいのは山々なんだけど昨日誰かさんが頑張ってくれたおかげで俺ベッドから動けないんだよね」
    「脚を絡めて俺を離さなかったのは公子殿の方だと記憶しているが」

    なんなら……と事細かに昨夜の痴態を語り始めたものだから、タルタリヤはいまだ鳴き続ける鳥にも負けない大声で鍾離の話を遮った。
    全く覚えていないわけではないが、いっそ忘れているならまだ「先生冗談きついよ」と流せたものを。
    身に覚えのあるあれやそれやを土鍋を持ったままの真顔でつらつら並べ立てられる恥ずかしさは、凡人一年生が理解するには難しいのだろうか。

    「もーいいもーいい俺が悪かったからとりあえずその重そうなの置こう? ね?」
    「起き上がるまで待っていては冷めてしまうな……」
    「いやあ先生先に食べちゃっていいよ。俺は動けるようになってから頂くから」

    しばらく鍋を手に思案していた鍾離がようやく鍋を卓に置いて椀に粥をよそい始める。
    先生の食事風景を眺めているかとタルタリヤがぼうっとしていると、鍾離は椀を手にベッドへ腰掛けた。

    「……先生?」

    普段食事時の作法や行儀はきっちりしているこの男がベッドで食事を?
    驚いて声をかけることも忘れて所作を見つめていると、粥を掬った匙を目の前に突き出された。

    「これなら食べられるだろう? ほら、口を開けてくれ公子殿」
    「いやいや先生、それならお椀ごとくれれば食べられるよ。手は動くんだからさ」

    緩く首を横に振ってみたが、鍾離は頑として匙を下げようとしない。
    そうだったこの人変なところで頑固なんだったと再び小さくため息をつき、観念して口を開く。
    卵と出汁のまろやかな甘みが温かさと共に体に染み渡る心地がする。
    ほぼ噛む必要がないほど柔く煮付けられた米や根菜と、あとから加えられたであろう青菜の味や食感の違いが口を飽きさせない。
    予想通り大変に美味しい代物ではあったのだが。

    「(近い。近いよ先生)」

    飲み込むのを待っているのか、鍾離がずっとタルタリヤを見つめている。
    眉目秀麗を体現したかのようなこの顔の作りは好きなところの一つではあるが、だからこそこうまで見つめられるとやや緊張してしまう。

    「む、好みではなかったか?」

    タルタリヤの固い表情に鍾離が首を傾げた。
    落胆させてしまったかとタルタリヤは慌てて粥を飲み込み首を振る。

    「違う違う、すっごく美味しいよ、美味しいんだけど! あー……やっぱりちょっと恥ずかしいかなー……ってさ」

    あーんって子供扱いされてるみたいじゃない?と照れ隠しのように笑って見せる。
    嘘はついていないので許してほしいと内心で謝りつつちらりと鍾離を見ると、きょとんとしたのち緩やかに口角を上げて笑みを返された。

    「子供だとは思っていないが。愛しい者の世話を焼きたいと思うのはおかしいことではないだろう?」

    俺がそうしたいのだと屈託なく笑いながら再び匙を差し出されれば、大人しく口を開くしかなくなってしまう。

    「それに恥ずかしがって百面相する公子殿をこうして至近距離で見られるのはなかなか気分がいい」
    「先生ほんとそういうところだよ」

    粥を飲み込んでから眉を寄せれば、鍾離が楽しそうに笑う。
    顔が好きなのはお互い様だったらしいが、どんな表情をしていたのかは聞かないことにした。

    「公子殿、今日は休みなのだろう? 一日俺に付き合ってもらうぞ」
    「いいよ、でも動けるようになったらやっぱり俺の部屋に行こうよ」

    餌をついばみ一時大人しくなった鳥籠を目で示すと、だから言ったろうと言わんばかりに笑って頭を撫でられた。

    「構わないが……しかしなるほど、無意識か? 素直なのもなかなか愛らしいな」
    「は…………えっまって今俺なんて言った?」

    外に出ようよとか散歩に行こうよとか言えばよかった、と後悔してももう遅い。
    目の前の美丈夫は満足げに是と頷いた。
    要は人目を気にせず二人きりになれるところでゆっくりしていたい、世話を焼かれているのは存外心地が良い。睦み合うのもそれはそれ。
    この時間を惜しく思う気持ちが口をついて出てしまった上に正しく理解されてしまったらしい。

    「もーほんっと先生の前だと調子狂う……いいよもう早くご飯食べてしまおうよ先生まだなんだしさあ」

    にこにこと上機嫌な鍾離を睨み、粥の続きをねだる。
    やや早口でまくしたてるようになってしまったそれを鍾離は気にかけることなく、むしろ更に満足そうに椀が空になるまで匙を運び続けていた。
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