【sgao】もう一度落としてみせてよ 初めての恋が終わったのは今日みたいに朝焼けが綺麗な日だった。
大空洞での激闘を経てやっと彼と仲直りをして、けれども感動もそこそこに慌ただしく学園に戻って来た時だった。水平線から昇る光に照らされた彼は、一度だけ視線を落として、そして覚悟を決めたように叫んだ。
『ゼロからまた俺と……友達に……なってくれる?』
あまりにもひたむきで眩しい願いだった。それも、潜めていた恋心をかき消してしまうほどに。
なのに、不思議と悲しい気持ちにはならなかった。それどころか、胸の中に清々しい風が吹き抜けたようだった。がむしゃらに追いかけた日々がようやく報われて、彼は今まさに新しいスタートを切ろうとしている。それがたとえ自分の初恋と引き換えだとしても何の後悔もない。
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