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    はとこ

    エリよす専用垢。キスブラの4000字前後の短編を収納予定。

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    はとこ

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    以前えっくすくんでアンケを取りました、ぬい活してるブさまとキの話。キスブラ。
    捏造だらけ。でもブさま凝り性だと思うんで小さいおうちは作ると思う…。
    自分設定なんですが、ブさまは不器用というのを使用しています。そんなことねぇ!という方はご注意下さい…。
    軽度のキス表現有り。

    『ぬいとカタブツとオレ』最近、ブラッドのヤツがおかしい。
    部屋にアイツの趣味じゃ考えられないようなモンが増えた。セーフハウスのひとつ……よく食ったり飲んだりフツーに過ごすことが多い場所の、なんとなく買ったとかいう棚。そこにだんだんと物が増えていった。それが本とかアイツの好きな日本のどうとかかんとかなら納得もした。けど、並べられたのは小物。昔のアイツ……いや、今もか。無駄、の一言で片付けられちまいそうなガラクタ。よく見りゃそれはよくできた机だの椅子だののオモチャだった。
    そこから始まって……やれ食器の、食い物の、果ては小さな家まで建っちまったらさすがに突っ込まずにはいられず。

    『……友人から、すすめられ、て』

    曰くそのオトモダチとやらから勧められてこういうのを集めだした、と。
    おまえの交遊関係が意外と狭いこと知ってんぞ!!と口から出そうになったけどぐっと堪えた。顔は広いがそんな仲のオトモダチはそういない。オレとかディノとか……え?もしかしてディノか?と思ったけど、アイツならオレにも言ってくる。というか、なんなら一式寄越してくるはずだ。それがないなら別のヤツだ。
    はたまた別の日。なにやらブラッドの指先に絆創膏が貼られてるのが増えた。それもひとつやふたつじゃなく、ほぼすべての指先にだ。

    『俺が不器用なのは知っているだろう』

    ちょっと怒ったようにブラッドは言った。や、確かにおまえが顔と言われてるよりだいぶ不器用なのは知ってる。なんでもできるスーパーマンにだって弱点のひとつふたつあるもんだと。でも箸は器用に使うんだよな……こう……絶対にこれで食うという熱意がヤバい。なんでそんなに必死なの?とツっこんだら怒られた。
    またある日。オレの家に来たブラッドがシャワーに行ってる時だ。アイツの荷物……高そうな黒革のバッグからポロリとなにかが落ちた。よく見たら布だった。でもそいつはただの布なんかじゃなく、よく見たらサイズはだいーぶ小さいけどパンツ、みたいななにかだった。いや、オレにはパンツにしか見えなかったんだけど……。

    『こ、れは……子供がくれたんだ』

    ウソヘタクソか!?とノリで出そうになったのを噎せたふりして誤魔化した。オレエライ。
    そんなこんなで、最近のブラッドには明らか不審な点が多くみられる。これは、あれだ。

    「――他に男できた?」
    「処す」

    処すのしょ、くらいで飛び出した顔面狙いの右フックを寸前で避けて、オレは最初に思い浮かべた小物どもを指差す。つーかまた増えてんだけど!?

    「あれ!おまえの趣味じゃねぇだろ!なにが友人にすすめられてだ!」
    「貴様に趣味をとやかく言われる覚えはない」
    「あとその指!いくらおまえがじゃがいも分厚く切りすぎて食うとこなくね?ってほど不器用だとしても明らかケガしすぎだろ!」
    「こんなもの怪我に入らんだろう、もっと酷い傷を負うことだってある」
    「はぁ!?それ言う?言うのかよおまえ!ならこの前のなんかパンツみたいなのはなんだよ!オレにはどう見てもパンツにしか見えなかったぞ!?」
    「おまえの目が腐っているんだろう」
    「はぁぁああ!?」

    すんっと、オレが力いっぱい押してもどこ吹く風。ほぉ~ん、おまえがその態度ならこっちにだって考えはあるし、なにより……ケガについての解答を、オレは怒ってる。

    「っ!」

    こんなことで能力使うな、そう後でキレられるのはわかってたけど、こうでもしなきゃ証拠をおさえられないだろう。
    インビジブルフォースを受けて固まるブラッドから視線を外さないまま、今日も持っていたあの黒革のバッグに手を伸ばす。これだって、効率機能バカのこいつが使うには大きすぎて無駄が多い。こんなデカイバッグを使うからには、中にはさぞいいお宝が入ってることだろう。

    「キース!」
    「はぁ~い御開帳~♡」

    わざといやらしく言えば、ブラッドの顔が……恐ろしすぎて直視するには心臓に悪い……小言じゃすまない
    気配を察知して、けどバッグを開けて……一瞥した際に視界に映った緑のポーチが気になる。これもこいつの趣味じゃねぇ。好きな色は確か紫、だったはずだ。
    固く鋭く、まさに地獄のオニサンよろしく……いや、オレなら裸足で逃げるな。の表情になりつつあるブラッドから目をなるべく離さないようにして、ポーチをひっ掴む。手の中にちょうど収まるそいつを、えーいままよ!と取り出して、そこにあったモンに目を、

    「お、っわ!?」

    床を擦るような金属音が聞こえた、と思ったと同時に、オレは足元を掬われて逆さ吊りにされる。誰がやったかなんざ察しがつく。むしろ、あのカタブツ野郎が私事もいいところなことに能力を使ったことの方が驚きだ。けど、手に掴んだモンはギリ死守する。こうなりゃ見たモン勝ち――

    「あ?」

    手の中に収まるポーチは、オレが強く握りすぎて少し形が変形しちまったが中身は無事……っつーか、それも少し潰れて見えるけど。
    小さいそのポーチの中には、なんか、どう見ても肌色が多いっつーか全裸にパン一のどっかで見覚えしかねぇ風体の何か。やっぱり見覚えしかねぇ髪型……オレと瓜二つのぬいぐるみが、どういうわけかパン一。どういうわけか頭に……ナニコレ?普段はしてねぇネクタイを巻いて、片手にビールのミニチュアを持ってる。心なしか頬が赤らんで見えて……あ、これ見たことあるわ。ジャパニーズリーマン酔っ払いスタイル。じゃなくて、

    「貴様……」
    「ヒェ……」

    鼓膜を叩く地鳴り声に思わずブルって変な声が出ちまう。ゾゾゾと背中をのぼった悪寒に、そういや地獄の沙汰を待つ罪人よろしくしょっぴかれちまってんだと思い出す。あ、頭に血がのぼる……。

    「言い残したいことはあるか?」

    能力使ってるからなんだけど。背中に怒りで揺れる紫の炎を背負ったブラッドが、逆さ吊りにしたオレを高見から見下ろす。瞳孔ガン開きだし、そのちょっと小首傾げるの止めてもらっていいか!?

    「待て、まぁ待て!ってかこれ!オレだろ?オレにしか見えねぇこれはなんだよ説明しろよ!変に隠すから誤解を生むっていい加減学べ!」
    「だからと言って、能力まで行使して無理矢理人の秘密を暴こうなどという暴挙が正当化されるとでも?」
    「あ、いや、それ……とこれとは別だろ!」
    「ほぅ?ならばこれは能力を行使され、拘束までされた俺なりの仕返しということで話は片付くな。最近会議続きで鈍っていたから、動きのいいサンドバッグを探していてな」
    「片すな!ってか動きのいいサンドバッグってなんだ!?どこのマフィアの脅し文句だよ!」
    「喚くなサンドバッグ」

    歯ぁ食いしばれって、って当て字が見えた台詞にオレは両手を合わせて白旗と命乞いを口にした。



    「ぬい、かつ?」

    右にくらった平手打ちの熱が冷めないうちに、オレは地べたに正座をしながら事の顛末をブラッドの口から小言八割で聞かされた。
    正座をするオレを床に置かれたポーチ越しに見つめるわたのいのちのオレ、その向こうに実力行使しておきながらまだ腹の虫が収まってないらしい暴君が足を組んで行儀悪く机の上に座ってる。いつもなら絶対やらない行為だ。よっぽど怒ってるらしい。
    あぁ、と相槌を打ちながらつっと視線を棚の小さなおうちへと移す。

    「お前は聞いていなかっただろうが、少し前から俺たちヒーローグッズの展開にも力を入れると広報から報告があった。これはその中の一つだ。巷ではぬい、と呼ばれ幅広い年代から愛され人気があると聞いている」
    「これがぁ??」

    ポーチに収まったオレのぬいとやらはどう見ても酔っ払いスタイルで……人気があるとは到底思えない姿だった。いや、そこがウケるのか?どうなってんだよニューミリオン。
    首を傾げるオレの前からぬいのポーチを素早く拾い上げて、ブラッドは軽く咳払いをする。なぁ、なんでちょっと恥ずかしそうなんだよって言ったらまた処されそうだから黙ってる。

    「これは……俺が個人的に仕立てた日本の古の酔っ払いスタイルで……」
    「古の酔っ払いスタイルて」
    「これを作るのに些か手間取ってしまってな。この素肌ボディを縫うのにずいぶんと苦労させられた。お前に、といってもぬいだが。良く似合っているだろう。まさに瓜二つだ。ネットでも好評をもらっていてな」

    ネット。ネットッテ、ナンノコトカナー?
    ブラッドの衝撃発言を受け止めきれなくなっているオレに対してなんでかブラッドはどんどん饒舌になっていく。酔ってるのはおまえだとかいうツッコミも今なら見逃してくれそうだけど、いろいろキャパオーバーすぎてもはや全部に物申したくなってる。
    棚に増えた小物も、小さなおうちも。指先に増えた傷も、妙なパンツも。全部オレの、ぬいの方のオレへブラッドがやったモンだった。嘘ではない証拠に、とか妙な前置きと共に提示されたブラッドのスマホには、エリちゃんとは別のSNS媒体の画面が開かれていて。表示されてるアカウント名のマグロゾロゾロぼうくんとかいう、ツッコミどころしかない名前は見なかったことにする。もうツッコミは売り切れだ、売り切れ。

    『マグロさま、素敵なキぬをありがとうございます!』
    『マグロゾロゾロさまのキぬはいつも楽しそうで羨ましいです』
    『ぼうくんさま、今日もキぬを叱るんですか?(笑)』

    その他びっくりするほどコメントが書き込まれている。っつーかこれ……マグロゾロゾロの中身がブラッドだってなんとなくバレてね?叱るってなんだよ叱るって。
    この、キぬとかいうオレのぬいぐるみがマジで古の日本の酔っ払いの如く、ゴロゴロ転がった酒瓶に囲まれて仰向けで寝そべってるってだけの写真によくまぁこんだけ言うことがあるモンだ。感心するよ。しかもよく見りゃ背景に旨そうなツマミ……それこそ、マグロの刺身が写り込んでやがる。おまえ、オレよりいいモン食わせてもらってんのな……。

    「……じゃあ、指にケガしまくってたのも、棚に変な小物が増えたのも」
    「指に怪我をしたのはこの素肌ボディを手縫いしたからだ。小物はこのキぬにあれこれ買っていたら自然とそうなっていた」
    「オレにだってパンツくれたことねぇのに?」
    「下着はほぼ手作りらしい。ネットで調べてついでに作成した。これもなかなか苦労した……というか、パンツはお前にも買っているだろう?」
    「オレよかずいぶんいいモン食ってやがるし」
    「……ふ、」
    「ふ?」

    何かに耐えるように息を吐いて……それが笑い声に変わるまでさほど時間はかからなかった。さっきはあんなに怒ってたくせに、今度は珍しくばか笑いしてやがる。おまえの情緒どうなってんの?とはまだ怒ってたら怒られるから黙ってる。
    ひとしきり笑って気が済んだのか、不意にブラッドの手が伸びてきて反射で目を瞑る。またぶん殴られると思ってたから。頭にふんわり乗せられたのがブラッドの手だってことにしばらく気付かなかった。

    「すまない。仕置きにしてはやりすぎたな」

    声が。優しくて甘い。まるでガキをあやすような。
    事実、オレは叱られたガキ状態だった。反射で閉じた目を開けば、今度は口許に笑みを象った今まで見たことがないくらい優しい顔したブラッドがそこにいた。
    頭に乗せた手で、柔らかくオレの頭を撫でる。ガキじゃねぇと、その手を叩き落とすには変に時間が経ちすぎてたし……オレも、頭を撫でてどこか満足そうなツラしたブラッドもまんざらじゃなさそう、だから。

    「ガキじゃん、オレ」
    「子供のようなものだろう。わかりやすくぬいに嫉妬して」
    「嫉妬!?」
    「しただろう?拗ねていじけて、本当に仕方のない奴だなお前は」

    最後にポンっと、軽く頭を叩いて。ブラッドはそのままゆっくりオレの唇にキスをする。触るだけの、ほんの軽い、それこそガキのキス。いや、こんなもんキスのうちに入りもしねぇ。そんなことをして、ブラッドはただ楽しそうに笑うだけ。けど、頭に置かれた手が、その指が明らかな意図をもってオレの顔に触れる。

    「ぬいは可愛く、いくらでも愛でたくなる存在ではあるが……直接熱を交わすことはできない」
    「……なんだよ、それ」
    「わかりやすく言うと誘い、だな」
    「えっちすぎだろオイ」
    「無論それ以外にも、旨い飯を食べて、しょうもない話をして、同じベッドで朝を迎えたい」
    「やっぱ、えっちじゃねぇか……」

    完敗も完敗。こんなふうにあやされて、頷かねぇヤツがいたらオレは見てみたい。
    顔に触れたままの手を掴んで……ブラッドのもう片方の手に持ったままになってたポーチを能力で浮かせて棚に伏せて置く。ここから先は大人のお時間ってやつ。いや、単純に見られてるのもなんだかって思ったから。

    「飯、作ってくれんの?」
    「それはお前次第だろう?」

    鼻先でやっぱり楽しそうに笑って、上目遣いに飯が食いたければわかっているな?と言ってくるブラッドにとりあえず大人のキスをした。
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    recommended works

    和花🌼

    DONE夏祭りワードパレットを使用したリクエスト
    7 原作
    ・帰り道
    ・歩調を落として
    ・特別
    ・あっという間
    ・忘れられない

    暑苦しいほど仲良しな二人を楽しんでいただけたら嬉しいです。
    夏祭り 7(原作) 夏祭りといえば浴衣を着て、友人や家族、それに恋人なんかと団扇で顔を仰ぎつつ、露店を横目で見ながら、そぞろ歩きするのが醍醐味というものだ。それに花火も加われば、もう言うことはない。
     だが、それは祭りに客として参加している場合は、である。
     出店の営業を終え、銀時が借りてきたライトバンを運転して依頼主のところに売り上げ金や余った品を届け、やっと三人揃って万事屋の玄関先に辿り着いた時には、神楽はもう半分寝ていたし、新八も玄関の上がり框の段差分も足を上げたくないといった様子で神楽の隣に突っ伏した。そんな二人に「せめて部屋に入んな」と声をかけた銀時の声にも疲れが滲む。暑いなか、ずっと外にいたのだ。それだけでも疲れるというのに、出店していた位置が良かったのか、今日は客が絶え間なく訪れ、目がまわるような忙しさだった。実際のところ、目が回るような感覚になったのは、暑さと疲労のせいだったのだが、そんな事を冷静に考えている暇もなかった。
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