『ダイアモンドクレバス →Re:start』ずっと、帰りを望んでいたディノが俺たちの元へ帰ってきた。それからのキースは毎日が楽しそうで、笑うことが増えた。
だらけた姿勢やサボり癖は昔からのものだから、それ自体がなくなることはなかったが、それでも、ふとした瞬間に胸が痛むような笑みを溢すことはなくなった。
タワーの屋上で一人、煙草を燻らせて過去に沈むことも、戻らない時を…楽しかったあの頃を振り返り自虐的に笑うこともない。
あいつの隣にはディノがいて、その背中を優しい手で支えている。いや、その手を取って歩いている。
…その、道の先には俺はいるんだろうか。地獄を越えたその先に、明るい未来があると信じて歩いたこの先に、俺は。
もう支える必要のなくなった背中を、俺はただじっと見つめていた。
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