パメラ後編飛び起きたスザクの心臟の鼓動が早鐘を打つかの如く好き勝手に脈打っている。
「っ!?夢…?」
そこは常夜灯だけが灯る薄暗い部屋、普段使用している私室の見慣れた寝室であるはずだったが、一瞬自分がどこにいるのか解らなくなった。
「今更なんて夢を見たんだろう…もうルルーシュはこの世界のどこにも存在しないのに全く未練がましいにも程がある」
ベッドの上に立てた両膝に顔を埋めているスザクの唇に自嘲気味な笑みが浮かぶ。
彼はスザクが自らの手で殺めたのだ…まだスザクの手にはルルーシュを剣で刺し貫いた感触も残っている。
悪逆皇帝として悪行の限りをつくしたルルーシュに世界の憎しみを集めた後、再び表舞台に現れた英雄ゼロによって討たれるというルルーシュ自身が書いたシナリオ通りにゼロレクイエムを完遂し、半年近く経過した今、スザクは仮面の英雄として黒の騎士団の代表という多忙な日々を送っていた。
自らを顧みる時間などなかったが、こうしてゼロの仮面を外し一人で過ごす時間が増えると普段自制心が働いている間は意識的に考えることを放棄していられたのに無意識下の夢の中に現れたのは彼と過ごした夜の記憶。
肌を重ねて身体の奥深くまで彼を受け入れて交わる記憶。肌の感触も熱い吐息も、荒い息遣い、深く繋がった内部が擦れ合う度に聞こえる淫らな水音もやたらリアルだった。
スザクは深いため息を吐いて膝に埋めた顔を苦しげに歪めた。
やっぱり君なんて嫌いだ…君が傍にいないのが当たり前だったのに、気が付いたら彼は僕の隣にいて、いつの間にかこの時間が少しでも続いて欲しいなんて罪人の自分が決して望んではいけない望みを持った。
君がいない世界に慣れさせてくれない
いつか君がいないことにも慣れて、なんとも思わなくなった頃この人生もやっと終わりを迎えられるのだろうか。
そんな未来など想像つかないが、平気になってみせる。
スザクは唇をきつく噛みしめる。