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    mizuti_kisi

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    mizuti_kisi

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    獣人パロ。雄どうしでも番になれるが、雄は基本母乳が出ない世界で出る番の雄は超レア扱い。帝国の大公ビマと元は帝国の本家だった公国の次期国王ヨダのビマヨダヱ口

    #ビマヨダ
    #獣人パロ
    animalParody

    風する馬牛も相及ばず、されど琴瑟相和す1昔々、月に住まう神様が美しい人と出会い子供を授けました。その神様の子供は豊穣の力を与えられ、雄牛でありながら乳を出し、その乳を飲んだ者は死にかけた者さえ生きる活力を得たとさえ言われた。

    そうして、人々を助けた神様の子供は豊穣の国の王となったそうな。
    牛の獣人の中には、この王と同じ権能を持って生まれる事が偶にあり、その者を人々は「聖なる牛」と呼び血眼になって探すようになった。
    「聖なる牛」は、一人しか生まれず、その一人が死ぬまで新たな者が生まれないとされていた。
    それ故にカウラヴァ公国では、「聖なる牛」の特徴であるアメジスト色の髪を持つ男子は、誘拐される確率が高く、生まれた場合王宮で保護される事が義務付けられていた。

    ただ、このアメジスト色の髪とは、カウラヴァの王族に連なっていればほぼその髪色で生まれてくるため…

    「この前は、チトラが攫われかけていたな…その後の警備はどうなっているユユツ?」
    「殿下の采配通りに運搬される物は、食材だろうとゴミであろうと全て城門で確認作業を3人以上で行うように徹底しています。」
    「ユ・ユ・ツぅ〜、馬車の中くらい家族モードにせんかぁ〜?わし様、これから出たくもないパンダ共の建国記念の式典なんぞに出るんだぞ!少しでも心安らぎたいんだが〜!!」
    「まぁ、兄弟達の中で牛の獣人じゃないのって俺ぐらいだしね。サナだと絶対問題起こすし、ヴィカルナはアレの適正ありそうだから連れて来れないもんね。」

    手に入れたら一族に繁栄をもたらす「聖なる牛」は、元は同じ血を分けた分家筋のパーンダヴァ帝国とて喉から手が出るほど欲しい存在なのである。

    「ァァァ〜、本当に、わし様達この世で生きづらくないか?」
    「雄の牛の獣人にとってはそうだよね。ま、俺は側室腹の白鳩だから関係無いけど。」
    「こんの裏切り者ぉ〜!!」
    「はいはい。今回の式典は誰かしら父上の代理で行かなきゃなんないんだから、茹で王との会談ちゃんと備えてよ?」
    「お前、帝国の皇帝そんな風に呼んでよいのか?」
    「これで少しは兄様も気が晴れただろ?」
    「ふはっ。お前も良い性格しておるわ。」

    「(兄様もアレの適正あるからなぁ。身内と民に対しては優しいから…気を引き締めてかからないと…)」

    国を出る前からしている嫌な予感に蓋をし、久しぶりに独占できる兄との時間に浸りながらユユツは遠くに見え始めたパーンダヴァの宮殿を視界から外した。


    絢爛豪華な式典は、ドゥリーヨダナの気持ちを下降させるには十分なものであった。どんなに父と自分達が公国を良くしようと努めても、ここまでの発展に至らない。
    帝国は武働きで公国を守り、公国は守られる代わりにその肥沃な大地で育てた穀物を帝国に提供する共依存の関係を保ってきた。

    本家はこちらでも、分家の帝国がここまで領地を広げている以上こちらの分が悪いのは明確で「カウラヴァの皇太子殿下、会談のご用意が整いました。」
    「今、参ります。」
    従者として毅然と立ち振る舞う姿が頼もしいと、ドゥリーヨダナは思いつつ、まだ他国の情報収集が不完全であると思考を巡らす。
    で、あるならば…
    「ユユツ、お前ここに残れ。」
    「え?あ、兄様?」
    それでは、護衛がと、焦る弟に今まで自分の肩にかけていたストールを周りの者達が興味を持つように、悠然と艶やかな所作でかけてやる。
    「我が国で手掛け始めたこの絹織物を、まだまだ御婦人方に宣伝しきれておらん。わし様の代わりにやってくれるな?」
    「っ、畏まりました。殿下。」
    「うむ、分かってくれたか?さすが、わし様の弟だ。ここは、帝国。次期カウラヴァ公国の王であるわし様の玉体に、不審な者を近づける護衛などおりはせん。」

    殿下と、呼べたのならば少しは落ち着いたか。
    「では、行ってくる。」
    鮮やかに、上品に、優雅に微笑みを浮かべ天上の華に例えられたかの王子は式典会場を後にした。





    件の「聖牛」探しの末、王族誘拐未遂を起こした犯人が、帝国の高貴な人物に依頼されたと吐いたのは、ある意味僥倖であった。
    法を重視するユディシュティラの性格ならば、この事実を訴えるだけで、犯人探しと警備用の人材派遣を快く買って出るだろう。

    薄暗い、月明りとわずかな蝋燭の灯火を頼りに宮殿の廊下は、祝賀会場と打って変わった静かさで清涼感と何か言いしれぬ陰鬱さをドゥリーヨダナに感じさせた。

    しかして、たどり着いた会談場所で迎え入れたのは…

    「久しぶりだな?トンチキ王子。」
    「げぇっ、貴様、何故ここにいる!ビーマ!!」

    想定していなかった、己の宿敵であった。
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