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    misa

    宇煉の字書きです

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    misa

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    相互様のお誕生日に贈りつけたお祝い小説。台湾うれん→の続きものです。
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21749647

    年齢逆転 強め煉さん

    #宇煉
    uRefinery

    love egg「よもや!また来たのか君!」
    「お邪魔してマス」

    世間は(日本ではね)ゴールデンなウィークで。新年度の講義が始まるぎりぎりまで杏寿郎さんのもとで春休みを過ごした俺は、流石に休暇が終われば帰国せざるを得ず、内心泣く泣く彼の元を離れた。少ししてやって来た5月の大型連休に今までこんなに感謝したことはない。お陰でまたここへ来られたのだ。この、恋人ながら未だに全てをくれない、意地悪くも強烈な魅力で俺を掴んで離さない年上のひとの元へ。
    春休み終了から一ヶ月足らず。先の滞在でバイトで稼いだ貯蓄をだいぶ減らしてしまった俺は、またバイトと講義の日々に明け暮れた。そのため過去にたまに助っ人で顔を出していたバスケのサークルの試合の誘いも、仲が良いゼミの奴らからの飲みの誘いも全て断っていた結果、最近宇髄が付き合い悪いという評価を受けたが、今の俺には友人たちの付き合いよりももっと、ずっと、最優先事項があったのだからそんなことは歯牙にもかけなかった。今まで人並みの交友関係を保ってきた自分がガラっと一転してしまうくらい、それくらい、自分の人生において杏寿郎さんは正に目の前に落ちた雷鎚の如き、そんな存在だったから。

    「だって、せっかく大学休みだし」

    みみっちいとは思う。表情を見る限りは迷惑そうではなくどちらかと言うとただ驚いているだけに見えるけれど。たった今言われた「また」という単語に反応してつい言い訳のような言葉を溢した。ちょっとした言葉の引っ掛かりなんてそんなのさらっと流してただ"会いたかった"って、大きな目を見つめてスマートに、且つ熱を燈した声で囁くとか。そういうことが出来ないから彼にとって自分は懐いてくるわんころぐらいにしか映らないんだろう。くそ、解ってんだよそんなこと。ほらほら自分の胸中の反省の原因を肯定するように、仕事帰りの杏寿郎さんが食事の支度でキッチンに立っていた俺に近づいてきてひしりと抱き締めてくる。
    そんな拗ねたような顔をするんじゃない、何も嫌だと言っているわけじゃないんだから、だって。

    「けれど君ときたら春休みも全てこちらで過ごしてしまって、折角の連休もまた俺のところに来たりして、他の付き合いを蔑ろにしてるんじゃないかと心配なんだ」

    「そんなことはしてないよ?恋人との時間を優先してるだけ」

    そういうことにしておいて。

    「迷惑だったなら、帰るけど」

    辛いのは課題ぐらいのお気楽な学生の俺とは違って、彼は社会人でセンセイなのだ。

    「ああ、天元」

    そんなことを言いつつ少しも帰る気なんて無かったが、殊勝な言葉を吐いてみせる俺に、きっと彼も俺が本気で言っているのではないことを見抜いていながらわざと悲しそうな声を掛けてくる。

    「せっかく会えたのに、君自身が俺から君を取り上げるのか?」

    今度は彼が拗ねる番。訂正。拗ねたふりの番。ねえ、俺らって恋人同士になってもまだこんな風に駆け引きしなきゃなんねぇの?

    「じゃあ逃げないように捕まえといてよ。せっかく杏寿郎さんが持ってる赤い糸辿って来たのにつれないこと言わないで」

    嘘でも会えて嬉しいって言ってよ。

    「ふふ。あれな、大事なところにしっかり仕舞ってあるぞ。…ちゃんと戻って来られて偉いな?天元」

    後で見せてあげような。そう言って伸び上がった杏寿郎さんはちゅ、と可愛いリップ音を立てて俺の唇にキスをした。
    赤い糸とは、前回会いに来た時に神社で俺が手に入れた形状も名前も本当に『赤い糸』という御守。鍵をくれても、数日ずっと一緒にいても、それでも拭えない不安に女々しくも神に縋ったのだ。杏寿郎さんが自分と同じ気持ちでありますように。
    けれどそこで起こったある出来事によってこの良縁を手助けしてくれるアイテムが早速効果を発揮したため、手にしてものの数分で不要になってしまった。そこの神社で俺をナンパしてきた女の子に向かって杏寿郎さんが恋人宣言したからだ。その後、何故か彼がこの御守を自分にくれと言ったのだ。次にまた彼に会いに来る時、目に見えなくとも自分たちを繋げているこの赤い糸をちゃんと辿って来るんだぞ、とも。

    「言いつけ通りにしたご褒美くれる?」
    「ふふっ。勿論、いいとも」

    くすりと笑って、キッチンの電灯の光を弾いた瞳が弓形に妖しく撓む。
    ツイてる。渡台して早々いちゃつけるなんて!

    「だが食事が先だな!」
    「がっ」

    しめしめとキスしようと屈んだ俺の顎をまるで掌底打ちのように強い手のひらが押し退けて来て変な声が喉を突いた。
    ああお腹空いてんのね。おシゴト帰りですもんね。

    「あははっ、そんなに萎れるな。後でたっぷりくれてやるから君も食べて蓄えろ。ベッドで早々に音を上げるなんて許さないぞ?」

    天井に向けられ晒された俺の顎下を猛獣でも可愛がるように気ままな指先に擽られた。今度はごきゅりと違う意味で喉が鳴く。けれどまずはこの猛獣使い様にご飯をサーブしなくっちゃ。




    満腹中枢が満たされたら、働き者の日本語教諭煉󠄁獄センセイ、今度は寝床で夜の授業。教わるのは勿論語学じゃなくてマッパでする体術の方―――のはず、………だったのに!!!!

    「38.5℃。高熱だな!」

    俺の腋に挟んでいた体温計を抜き取って、その小さな液晶を覗き込んだ杏寿郎さんが絶望的な事実を叫んだ。最悪。普段熱なんて滅多に出さねぇのに何で今日!?そういえば体が何となくふわふわすんなとは思ってたけど、杏寿郎さんに会える高揚感かと思ってた。だって何の前兆も無かったんだ。怠いとか咳出るとか、あ…そういやちょっと喉痛いかも。飛行機の中の乾燥のせいかと思ってたけど。

    「………マジでさいあく」

    首元まで引き上げられた布団に大人しく埋まりながらやるせなさに呟くと、ベッドの俺のすぐ隣に腰を下ろしていた杏寿郎さんが笑った。

    「こっちへ来るために無理をしすぎたんじゃないか?熱が出たということは、体がゆっくり休めと言っているんだ」

    今はひんやりと冷たく感じる手のひらが額に当てられたのが気持ち良くて目を眇める。

    「…三日しか居られないのに」

    「そうネガティブに考えるな。元々俺は仕事で日中一緒に過ごせる訳ではないんだから、君は夜と言わずベッドで一日中ゴロゴロ出来る大義名分が出来たぐらいに考えておくといい」

    「けど飯作ってあげられねぇ…」

    「そんなこと気にするな!君はよほど俺の餌付けが好きだな!」

    だってかわいいじゃん。あんなに嬉しそうに美味そうに食うんだもの。

    「…あと、エッチしたかった」

    次いつ会えるか解らない恋人の家で体調不良で寝込むなんて、もうがっかり過ぎてカッコつける努力すらどうでも良くて本音を溢す。

    「んふふ、正直だなぁ。治ったらたんと搾ってやるから覚悟しておくんだぞ?」

    これ普通逆だよな?なんて、平常時ならムスコがヒートしちゃうようなセリフも、今は別の熱に侵されているお陰というべきか、エロい顔して微笑むおにーさんを前にしてもムスコ共々大人しくベッドに沈むしかなかった。


    再会初日からベッドで過ごすことが余儀なくされた俺は翌日、仕事へ出かける杏寿郎さんを見送ってまた独り寝には広すぎる寝床に逆戻りした。一緒に過ごせないならあの人のためにせめて何かしていたかったのにそれも出来ないなんていったい何しに来たんだか。我ながらバイトのフル出勤やら徹夜で課題をこなして体を酷使していた数日前の自分が恨めしい。けれどそんな風に鬱々としている内、やっぱり体が弱っているらしくいつの間にか休息を求めて眠ってしまっていた。そして。


    「んん…?」

    あったかい柔らかい匂いで目が覚めた。昼飯を食べるのに一度起きて、その後また寝たのだが、深く寝入っていたらしく部屋の中はいつの間にか薄暗くなっていた。キッチンの方でかちゃかちゃと料理をする音がする。

    「杏寿郎さん」

    首だけ少し起こせばワンルームのここは部屋全体が見渡せる。背中に掛けた声を拾った彼が、首だけ振り向いて笑った。

    「おはよう。気分はどうだ?」

    うわ、お嫁さんかな??目を覚ました俺に料理しながら朝の挨拶(夕方だけど)をしてくるのがまるで新婚さんみてぇ。それから杏寿郎さんが一人でキッチンに立ってんのめちゃくちゃレア。いや普段俺がいない時はきっと簡単な朝食ぐらいは作ってんだろうけどさ。でもそれをベッドから眺めるのがすげー新鮮。

    「おかえりなさい」

    「うん。たまご粥を作ったんだが、食べられるだろうか」

    逆に食べないという選択肢が?正直あんまり腹は減ってねぇんだけど、杏寿郎さんが俺のために作ってくれただなんて食うの一択だろ。

    「うん、食べたい」

    頷いてベッドから降りようとすると、「ああそのままそのまま」と留められた。大人しくベッドに座り直して待っていると、ミトンを嵌めた両手で小丼を持ちながら杏寿郎さんが嬉しそうにベッドの縁まで来て座った。どうするのかなと黙って見ていると、木の匙に一口分掬って「あーん」なんてしてくるものだから俺はいよいよいつの間にかこの人と結婚したのかもしれないな、と目の前で起こる幸せに却って現実逃避をした。

    「あーんっぁあ゙あ゙っつッッ」

    いや完全に浮かれていた。ミトンで器を持ってくるくらいなんだからその中身はかなり熱いに決まってる。けど杏寿郎さんも口を開けた俺も、どちらもフーフーせずにそれを口に入れたもんだから火傷しそうなほどにめちゃくちゃ熱かった。いやこれはちょっと火傷したかもしれない。

    「よもやっ…これは、すまない、大丈夫か?!」

    スプーンごと布団の上に落とすなんて悲劇を起こさずに済んだのは良かった。この人がせっかく俺のために作ってくれたんだから米一粒すら無駄にできねぇ。焦った声で覗き込んでくる杏寿郎さんを左の手のひらで制して大丈夫だと伝える。マグマの塊のように感じたそれを何とか飲み込んで、滲んだ涙もそのままに顔を上げた。

    「ちょっっっと熱かったけど大丈夫。おいしい」

    「すまない、昔熱を出した弟を看病してやった時のことを思い出して…つい浮かれてしまっていたようだ」

    あ、弟がいるんだ。そういや杏寿郎さんの家族構成とか全然知らなかった。杏寿郎さんは長男かな。弟思いの優しいしっかり者なのにほんとのプライベートでは家族も知らないめちゃくちゃエロい一面があるってすげぇいいな……。
    というか。

    「なーんだ、なんかご機嫌なのって急に弟くんの代わりができたみたいで嬉しかったからなのね」

    恋人の世話を焼けることにちょっと楽しくなってるのかと、とんだ恥ずかしい勘違いをしていたらしい。火傷が原因の涙目も手伝ってかだいぶ拗ねてるような感じに見えたようで、見上げた先の杏寿郎さんは二、三度ぱちぱちと瞬きをすると可笑しそうに笑い出した。

    「君、俺の弟にヤキモチを焼いているのか。あの時とは逆だな!」

    『あの時』とは例の赤い糸を手に入れた俺が神社でナンパされた時のことだ。

    「妬いてるとかそういうんじゃないけどさ…もうちょっと恋人っぽい理由だったら嬉しか「心配するな!」

    俺の言葉を遮った杏寿郎さんはさっきよりもよりご機嫌な様子で匙で再び粥を掬うと、それをふーっふーっと冷ましてパクリと何故か自分の口に含んでしまった。
    え?お腹空いてたの?いやいつでもどこでもいくらでも食べられる人なのは知ってるけど今の流れで食う??と俺が呆気に取られていると、彼はこちらと向かい合うようにしてベッドに乗り上がって来た。俺の腰を挟むように膝立ちをして見下ろして笑う。そして、

    「!」

    不意に屈んだかと思うと、顎を捕られて唇が重ねられた。反射的に開いた唇の狭間に杏寿郎さんの舌が直ぐ様入り込んでくる。とろりとした粥と一緒に。

    「ん、っちょ、…っ」

    俺の舌に粥を乗せようとしてか、上から覆い被さるようにして杏寿郎さんの柔らかい舌にふにゃふにゃの米と共に舌を撫でられる。元々とろみのあるそれが、彼の唾液と混ざってもう殆ど流動食のようにとろとろと口の中に流れ込んできた。親鳥が雛の口に直接餌を運んでやるように、献身的に念入りに一粒も惜しまず奉仕してくれる。大方の粥が移され俺がそれを呑み込んでしまっても、いつでも俺を甘美な気持ちにさせる彼の柔らかい肉はすぐには出て行かなかった。米と玉子の甘みの余韻を確かめるように互いの舌を吸い合って、湧き出てくる唾液を交換する。気づかない内に口の端から漏れていたのか、俺の口元に付いていたらしい米粒を彼こそまるで火傷したような真っ赤な舌でそれを舐め取ったところで顔が離れた。俺はようやく遅すぎる非難を口にする。絡んでくる舌を散々甘咬みして吸っておいて何だけど。

    「風邪、伝染ったらどうすんの…」
    「伝染らない。俺は生まれてこの方風邪をひいたことがないからな!」
    「うそー…」

    嘘、と言いながら真冬でも家の中でTシャツ短パンでフラフラしていた姿を思い返すと、あながちそうでもない気がしてきた。

    「天元!」
    「ひゃい」

    むにゅん、と顔の中心に頬の肉が寄る程急に両手で顔を挟まれ至近距離から迫られる。

    「俺が君を弟の身代わりにしたわけじゃないことが今ので解っただろう。弟にはここまで“手厚い“看病はしないぞ?」

    そうでしょうとも。兄弟で粥を口移しだなんて。どんな弟か知らないが何かそれはそれで禁忌な匂いがしてちょっと興味をそそられるけど。だってもし杏寿郎さんに似てるなら美人ってことじゃん?いや弟に美人って変かもしれないけど。この人に出会ってから何が普通かがもう段々解らなくなってきてるな。
    そんな俺の悩ましい思考など知らず、杏寿郎さんは「熱はどうなんだ?」と手挟んだ頬をそのままにおでこを俺の額にくっつけてきた。

    「………うん。だいぶ下がったようだな」

    「さっき寝る前に計った時はほとんど平熱に近かったよ」

    「それは良かった!なら…………」

    一度言葉を止め少し体を離したかと思うと、するすると俺の胸筋の間を指で撫で下ろしてゆき、体調不良でまだ一度も出番の無い俺のムスコをスウェットのズボンの上からよしよしと緩く撫でた。

    「こっちの天元の活躍の機も近いか?」

    口角を持ち上げ、上目でそんなことを聞いてくる。

    「そんなこと言われたら今にも大活躍しちゃいそうだけどね」

    「それは駄目だな!今日くらいはいい子に寝ていなくては」

    こっちの天元は俺の分身だから元気にお相手できるけど?、なんて冗談を続けると、くすくすと笑いながら杏寿郎さんがサイドチェストの引き出しを開けた。視線でそれを追っていると、中にはもう見慣れてしまったピンクのスキンとローション、それから、あの赤い糸が。杏寿郎さんはその一際目を引く緋色を取り出すと、お行儀悪く手掴みで上から垂らしたスパゲティでも食べるみたいに端から少し口に含んでしゃぶった。

    「言う事を聞けないとリード代わりに君のソレをこの赤いので縛ってしまうぞ?」

    「うわーすっごい罰当たりそうだね、主に俺の分身が」

    「罰が当たって大人しくなったぐらいが丁度いいだろう」

    ひどっ。いつもどっちかって言うと杏寿郎さんの方が仕掛けてくるのに。

    「冗談はこのくらいにして、早く良くなるように今日一日はしっかり寝るといい。お粥は?料理のできる君の方がよく知っているんだと思うが、玉子は滋養満点だろう」

    まだ食べられるか?
    そう言ってまるで遊女の顔から聖母に変身して中身を掬ったスプーンを差し出してくるんだから。

    「うん、食べる」

    素直に頷くと、童顔な印象を与えるたまご型の綺麗な顔が嬉しそうに笑った。今度はちゃんと冷まして口に入れてくれる。ふわふわな食感と優しい出汁の風味、それからどこか甘みを感じる玉子の味が口いっぱいに広がった。起き上がれるんだしもう自分で食べるよと伝えたが、杏寿郎さんは首を縦に振らなかった。これってやっぱり弟クンの看病と重ねてない?



    弟クンにはない俺限定の役得と言えば夜のお相手ぐらいなわけで。翌日すっかり快復した俺は、少し拗ねた気持ちに任せていつもよりちょっとだけ乱暴に恋人を抱いた。そういうのに喜んじゃうような人だからそんな俺の意趣に気づいていないのか、はたまた気づいていても汲んでくれるつもりもないのか。セックスという行為だけは大いに盛り上がったけれど。もう帰国する日である翌朝、目が覚めた時には杏寿郎さんはもうさっさと出勤してしまっていた。そう言えば昨晩イチャイチャするちょっと前に明日は朝早いとかそんなことを言ってた気もする。やっと触れられる喜びに右から左に流れてしまっていたらしい。今になって思い出した。


    「ん?」

    あの人の気配ももううっすらとしか残っていないベッドからのそのそと起きてダイニングテーブルの方へ行くと、そこに書き置きがあることに気がついた。真っ白な飾り気のないその紙には日本の都内の住所が書いてあって、その下にメッセージが書き添えてある。

    『俺の実家の住所だ。夏休みに一度帰国しようと思う。その時また君に会えたら嬉しい。是非訪ねて来てくれ』

    いやいきなり実家?日本で初めて会うのに?実家に来いってこれもうご両親に挨拶しろってこと?
    いずれは、『結婚』。なんてそんな大それた文字が頭に浮かんだが、いやいやいやそこまであの人が考えてくれてる筈がないよな。てゆーかこんな色々書くならメアドの一つでも書いてくれたら良くない??突き放したいのか受け入れてくれているのか相変わらず解らない。

    「うおやべ…!」

    ふと時計を見ると、そろそろ支度をして出なければフライトの時刻に間に合わない時間になっている。
    結局またこまめに連絡を取れる手段はお預けのままだが、実家を教えてくれるというかなり踏み込んだところまでを許されて、思わぬ収穫を得た黄金のウィークだった。

    「え、……息子さんをくださいとか言うべきなのかな」

    あの人の夏休みがいつなのか、日本には何日間滞在するかも解らないまま、果たして母国での逢引は叶うのか。そんな根本的な問題をよそに、とりあえず俺の頭を占めたのは、あの人への両親への挨拶の場面なのだった。



    To be continued
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    🅰✝🅰♏ℹ✝🅰ℹ‼💯💯💯😍😍😍👍💯💯💞💎🍠💓😆😍💘💘🙏👏👏💴💴💴💖💖❤👏💴💴💴💴💴💴💖💖💖💖🙏😍💘💘💲🐉🎋ℹ💘💘💘💘💘
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    Replies from the creator

    misa

    DONE《現パロ》宇←煉←宇オトウト《宇煉》《弟煉》1️⃣1️⃣話

    ⚠何でも楽しめる方向きです
    キョーダイの静かな衝突。宇さん始動です🏃
    11.照らしてよ、ペリドットカラカラに渇いた喉が張り付いて痛い。でも今はそんなことは取るに足らないことだった。人生で未だかつてない全速力で脚を回し目的の場所を目指してひたすら走った。髪がばさばさとあちこちに振り乱れるのが鬱陶しい。こんな時だというのに、ふとあいつがこの髪を綺麗だと言って昔褒めてくれた時のことを思い出した。

    『君だから、こんなに綺麗だと思うのかな』

    言った後に、少し照れくさそうに笑って。
    こういう何気ない会話一つ一つが、実はかけがえのないものだったんだと今さら。いつから想ってくれていたのかは解らないけれど、『君だから』の意味が今は解る、から。

    「煉獄…っ」






    明日の仕事の打ち合わせに備えて寝ようとしていたところだった。不躾に鳴ったインターホンに小さく毒づいて通話ボタンを押すと、自分によく似た顔が手のひらに収まるほどの小さな液晶に映し出されたものだから、しばし固まってしまった。まだ仕事で海外に行っているはずだと思い込んでいた弟がそこにいるから、夢でも見ているのかと。
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