第一章
──オマエとの家が欲しいのだ。
突拍子もなく放たれたその言葉が、今も頭の中で反響している。あっちじゃ領地争いなんて微塵も興味なかったくせに、こっちに来た途端に欲しがるなんざ笑わせる。
だが、まあ。その提案を嫌だとは感じなかった。故に、バールベリトは現在進行形でこの場に座しているわけで。
「お金の稼ぎ方を知りたい?」
「おう。なんか良い方法知らねぇ?」
「うーん、そうだな……」
家が欲しい。じゃあ買うか。その二言で完結できれば楽なものだが、実際はそう上手くはいかない。当の発案者がどこまで考えていたのかは知らないが、家を手に入れるとなるとやることは山積みだ。
土地を得るには対価が不可欠。つまり、こっちの原始的な物々交換システムに合わせて、金を用意する必要があった。メギドラルでは一等価値のあるもの──フォトンをそれなりに所有していたとしても、ここヴァイガルドにおいては全くの無一文に等しい。金を、まずは金を手に入れなければ。そうしないことには、なにも始まらない。
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